第12話 【閑話】 恵子 本当に..本当に居るなんて

私は文学系の美少女を装っています。


確かに本は好きだけど、実際の所は悪食。


《本》であれば何でも読む..何が言いたいのかと言うと...漫画でもライトノベルでも何でも読むの。


ええっBLから何からね。


だから、皆が思っている、文学少女では無いの!


文学少女+腐女子っていうのが一番しっくり来るかも知れないわね。


私の家には、友達に見られたらひかれるような本が沢山ある。


最近のブームは逆ハーレム物に少しだけ、本当に少しだけ嵌っています。


この事は、親にはバレているけど、勿論友達にはバレていない。


「本ばっかり読んでないで貴方も中学生になったんだから少しは現実に目を向けなさい!」


「はいはい、解りました」


《いつも親はこればかり...本当に嫌になる》


これに増して最近は..


「そんな現実に居もしない男の子に憧れてどうするのかね..ちゃんと目を向けないとお母さん心配だわ!」


《だけど、現実の世界の男の子なんて子供みたいだし碌なのいないじゃない! 好きになんてなれないよ》


「心配しなくて良いよ、そういう気になれないだけだからさぁ」


《正直、恋愛はまだ私には早いと思うよ..だって好きになれそうな男の子なんて居ないんだもん!》


「少しはまひるちゃんや裕子ちゃんみたいに明るくしないと彼氏が出来ないわよ!」


《彼女達だってお母さんが思って居るほど明るい訳では無いのに..私ってそんなに暗いのかな?》


「煩いな、善処します..これで良いんでしょう?」


「まったくもう!」



だけど、現実問題として男子と付き合うなんて無理だよ!


粗暴でガキで、エロくて本当に猿みたいにしか見えない..まひるは彼氏が欲しいなんていっていたけど、何が良いのかしら?


逆ハーなんて要らないわよ!


1人で良いのよ! 1人で!、思わず小説の主人公に突っ込んだ事があったわ。


別に「傾国の美少年セレス」と付き合いたいなんて言わないわ、貴方の取り巻きの1人「伯爵の次男で騎士見習いのクロード」で良いのよ!


わけて頂戴...そうしたらさぁ悪役令嬢なんて私が消してあげるから...虚しいわね...小説のヒロインに馬鹿みたい。



結局は、私は子供なんだわ..よく大人びてる、なんて言われても中身は中学生のガキなのよ..まだ恋愛は早いと思う。


誰かとデート? あり得ないわね..だけど、このままじゃ一生真面な恋愛なんて出来ないんじゃないかな?


そう思っていた時期があったんだけどね...


とんでもなく近い所に...居たのよね。


まさか、友達のお兄さんが正にそれだと思わなかった。


まひるって凄い嘘つきだ、だけど気持ちは解る気がする。


こんなお兄さんが居たら..私だってブラコンになって女なんて追い払うと思うからさ..


だって、そこに居たのはまるで「傾国の美少年セレスのお兄さんのセレナ」に見えるんだから。


セレナってのはセレスのお兄さんで、公爵家の長男。


私的にはセレスより、落ち着いた雰囲気で大人のセレナの方が好みです..はい。


乙女小説のキャラクターがいきなり目の前に現れたらどうなるのか?


答えは簡単...見惚れてしまい体が動かなくなるの...本当にそうなるなんて初めて知ったよ..


体に電流が走るのよ..



出会いは本当に突然起こるの..


こんな風にね...



「まひる、今帰り? 横に居るのは友達?」


なんでこんな人とまひるが知り合いなの? 


まさか、まさか彼氏とか? そうだったら多分私は友達でいられないわ..羨ましすぎるもん。


なに嫌そうな顔しているの? そうか私達に見せたく無いののね..


「今、学園の帰りなんだけど、見かけたからさぁ..そうだ、初めまして、まひるの兄の翼と申します、これからも妹を宜しくお願いしますね」


そう、兄妹なんだ、良かったわこれで親友でいられるわね...




「もう、お兄ちゃんあっちに行ってよ!」


「解った、直ぐに行くからそう言わないで..それじゃね、まひるを宜しくね」



あんた何してくれるの?


お兄さんを追い払うなんて! そこは親友なら紹介してくれるべきじゃない。


はぁ行っちゃったじゃない何してくれるのよ!



「ごめんね、お兄ちゃんが不愉快な思いさせて、もう話掛けないように言うからさぁ」


どの口が言うのかな?


あれが気持ち悪いお兄さん?


正直あれが不細工ならこの世界に美形なんて存在しないわよ!


ええっあれだけ美形なら..性格がどれだけ可笑しくても許しちゃうわ!


赤ちゃん言葉で「恵子たん..はぁはぁ」とか言っても笑顔で「はーい」って返すわよ!


もちろん、こっちから抱きしめちゃうよ...




まったく、これ以上誤魔化すなら友達辞めるわ..思わずスマホ取り出してさぁ..


「LINEOの登録外しちゃおうかな?」と言っちゃったよ。




「本気で言っているの?..はぁ仕方ない..良いよ紹介するよ..だけど、毒舌だから嫌な思いしても私のせいじゃないからね」



はぁ? 何を言っているのかな?


これ程の美形なんだよ毒舌でも良いよ..うん。


リアルセレナなんだよ! リアル乙女ゲーキャラなんだよ! 芸能人のパチモンじゃないんだよ!


《こんな事も出来ないのか愚か者!》何て言われたって


《愚かな私をお許しください》 《愚かな私を導いて下さい》 そう答えちゃうよ..間違いなく!


正直ご褒美にしかならないわ..



誤魔化されそうだから、なし崩し的にその日のうちに紹介して貰う事にした。


やっぱりまひるは嘘つきだ..これでもかって位に優雅で優しいじゃないの。


「可愛いい」だなんて..乙女ゲーのヒロインが心を根こそぎもっていかれるのが解る気がするよ..本当に。


私、この人に言われたら多分、何でもしちゃう気がする。



きききキスとか..それ以上でも多分してしまうかも知れないわ..


だが横を見ると..うん裕子も同じみたいね..


恋人の話しになったら


「裕子は居ません、フリーですよ、フリー」


こんな凄く、必死な裕子初めて見た..おかげで少し冷静になれたよ。


「恵子も居ません」


だけど、顔が赤くなってドキドキが止まらなくなりそう。



そして、翼お兄さんの趣味は「剣術と読書」なんだって。


思わずキャーとか黄色い声あげそうになっちゃった。


剣道じゃなくて剣術だよ?


リアル乙女ゲーキャラじゃん!


そして剣術を見せてくれたんだけど...本物にしか見えない。


目がね、目がね..凄く幸せなんだよ、緩みっぱなしになるの..あり得ないわ..本当に。


見続けるとね、まるでパズルのピースが嵌め込まれていく見たいに「好きという気持ちが組み上がっていくの」


気のせいか、本当に彼の周りに白百合が見えて、その後ろにお城と綺麗な高原が見えてくるの!


この人が手に入るなら他は何も要らないわ..子供の筈の私の心に何だか変な物が芽生えてくるのよ..


この人が私の王子様...運命の人..今なら解る、恋人の為に喜んで死んで行くヒロインの気持ちが..


私もこの人の為なら..喜んで死ねるわ...



「嘘でしょう? 恵子ちゃんも何か言ってよ!」



あれっ何、まひるが何かいっているわ...



「そうね、まひる、私の義理の妹にならない?」



そうね、将を射止めるには馬から..まずはまひるから攻略しようかしら..


親友なんだから..毎日遊びに行こう...うんそうしましよう..



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