第11話 【閑話】 裕子 理想の男性が現れた!

私は今、家に帰ってポスターやCDの処分をしている。


正直、私って凄く男性に対しての理想が高いんだと思うの!


だってさぁ、本当にときめかないんだから仕方ないんじゃないかな?


正直言って、そこそこ私は可愛いい、背は少し低いんだけどそれが一部の人には良いらしい。


だけど、今迄、結構、手紙や告白は受けたけど...付き合う気にはなれなかった。


「何でかって?」だってときめかないんだもの仕方ないじゃない!


しかも、告白する奴の多くに妥協が入っている気がして仕方ない、近くの高校には有名な「剣道小町」何ていう美少女がいるし、他にも名前が通った美少女がいる。


うちのクラスの男子の多くも一度は憧れた事がある筈だ。


だから、ある意味、私への告白も妥協なのかも知れないと思う。


実際にこの学校にも「麗しの生徒会長」なんて呼ばれる女の子が居るし、もし私とその「麗しの生徒会長」が同時に告白したら絶対にあっちを選ぶはずだ。


つまり、「私が好きで好きでたまらない」んじゃなくて、適当な所で妥協している..そうとしか思えない。


だから、全員交際をお断りした。


そんな事を恵子やまひるに話したら..


「何様なのかな?」


「はいはい、解りました」


だそうだ。



身の回りに好みの男性が居ないからアイドルに逃げた。


そのアイドルだって私が点をつけるならせいぜい60点位..でも私の周りには30点以下しか居ないから仕方ないよね。


ネットも含んで、それ以上の男の子が居ないから惰性でファンなだけだし...


アイドルが相手でも、他の女の子の様に結婚したいとか彼氏にしたいとまでは思えないんだよね..


だけど、何処にも好きになれる相手がいないんだから仕方ないくこの60点アイドルのグッズを集めている。


恵子は良く漫画や小説を読むけど...まぁ本の中まで探せば、居る事はいるけど..本の中の王子を好きになっても仕方ない..虚しいだけだよね。


簡単に言えば..私はとてつもなく理想が高いのよ。


でもこのまま行っても仕方ない...まひると恵子が、男と付き合ってみればと言われて「このままじゃ」と思い 知久と試しに付き合おうかなと思っていたんだ。


まひるが「知久くんってクラスのアイドルだよね? 何でそんな事いいだしたのかな?」とか言っていたし、


恵子には「あんた何様なの?」とか言われたが、一度は告白も受けたしいけるんじゃないかと思う。


まぁ断られたらそれで別に構わないし...


所詮30点の男の子、断られたって別に何とも思わない。


そうしたらおせっかいのまひるが「男の子に目を向けるのは良い事だよ」とか言い出して、知久に「機会をみて言って来る」と言い出した。


そこまでしなくても別に良いのに...



まぁどうでもいいや...


何て思っていた事がありました。


そしたらね、そしたらね...見つけちゃったんだよ! 見つけちゃったんだよ! 100点満点、いや10万点以上の男性。


それが、灯台下暗し、何と、まひるのお兄さん...翼さんがそうだったんだ!


可笑しいと思ったんだよね、まひるってさぁ、散々人の家には来るくせに絶対に自分の家には呼ばないんだ。


「遊びに行く」って言っても、「また今度」とか「今日は駄目」とか言って絶対に断るの!


私だけじゃなく恵子もそうだったから、2人してある日問い詰めたんだ。


そうしたら「根暗で性格の悪い兄貴がいるから」だってさぁ...まぁ友達だし、それなら仕方ないかな、そう思ってたんだけど..


まひるって嘘つきだよね!


多分、凄いブラコンなんだと思う..あんなにカッコ良いお兄さんだから見せたく無かったんだよ!


親友なんだから会わせてくれても良いのにね...まぁ解らなくもないけどさ...


あった瞬間に電流が走ったもん..


ようやく理想の人に巡り合ったんだって涙が出そうになっちゃった。


「今、学園の帰りなんだけど、見かけたからさぁ..そうだ、初めまして、まひるの兄の翼と申します、これからも妹を宜しくお願いしますね」


たったそれだけ..ただ挨拶されただけ、それだけでまるで時が止まったように何も言えなくなるの...信じられないよ!


まひるを見たら凄く嫌そうな顔をしてた。


多分、お兄さんが美形なのがばれるのが嫌だったんだね...


もう遅いっていうの...


「もう、お兄ちゃんあっちに行ってよ!」


直ぐに追い払おうとしてさぁ...


「ごめんね、お兄ちゃんが不愉快な思いさせて、もう話掛けないように言うからさぁ」


悪いけどもう騙されないよ...


恵子と一緒に問い詰めた。


はっきり言ってこれ以上誤魔化すようなら、もう親友でも何でもないよね?


そう思った、恵子も同じだったかも知れない。


「親友辞めちゃおうかな?」


「LINEOの登録外しちゃおうかな?」


ここまで言ってようやく紹介して貰えるようになった。


まだ、最後の抵抗で



「本気で言っているの?..はぁ仕方ない..良いよ紹介するよ..だけど、毒舌だから嫌な思いしても私のせいじゃないからね」


だって、だけどあんな挨拶をするような人がそんな人とは思えよ、悪いけどさ。


それに万が一本当にそうだとしても受け止めちゃうよ!


《この豚が》


とか言われても《私は醜い豚です、だけど傍に置いて下さい》うんそう答えちゃうかも知れない。



時間を置いたらまた、まひるが誤魔化しそうだからさ、無理やり今日紹介して貰う事にしたんだ。


そしたら、そしたら...マジか? マジなんですか? 凄く優雅なんだもん..驚いた。


紅茶の入れ方が凄く綺麗、一瞬映画のワンシーンを見ているみたいだった...


直ぐに行こうとするから直ぐに引き留めたよ


今思うと「ちょっと待って下さい! 翼お兄さんはこれから忙しいんですか?」必死さが滲み出ていて凄く恥ずかしい。


思いっきり大きな声だしちゃったよ。


しかも何処が毒舌なのかな?


私の事、私の事「可愛い」なんて思わず顔が真っ赤になっちゃった..


しかも、こんなにカッコ良い翼お兄さんなのに、彼女が居ないんだって..信じられない。


ああ良かった..本当に..


一生懸命、「裕子は居ません、フリーですよ、フリー」ってアピールしたよ...


「本当? 怪しいな、こんなに可愛いくて綺麗なのに...」だって、だって...また可愛いって言われた。



話を止めると席を外しちゃいそうだから..趣味について聞いてみたんだけど...


何か考えているらしくなかなか答えてくれなくて...


「あの、焦らさないで教えて下さい!」とついせかしちゃった。



「そうだね、剣術と読書かな」だって


剣術? この辺りがまひるが言っていたオタクの面なのかな?


剣道じゃない辺り中二が少し入っているのかな? だけど別にいいじゃん!


その分割り引いてもカッコ良いんだからさ...


そう思っていたんだけど...



あの、《本物じゃん..どう見ても凄い腕前だよね...本当に剣道じゃなくて剣術じゃん》


正直、「私は実は勇者です」とか言われても信じてしまいそうな位綺麗だった..


一番、近い所だと、騎士とかが近いかな。


実はアーサーの生まれ変わりです...とかランスロットって言います...そう言われても信じちゃうよ。


本当にその位凄いんだよ!



全てが完璧すぎるよ...


これから、私はまひるの家に入り浸るつもり!


親友の私に嘘ついたんだから良いよね?


明日から毎日行かなくちゃね...


多分、恵子も一緒だと思うけど...


そして出来る事ならお近づきになりたいな...



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る