第7話 登校にて
何故なのだろうか?
どこか僕が可笑しいのか?
綺麗な女の人が僕を見て笑っている。
《そうか、翼は結構嫌われていたから..仕方ないか》
この世界の女性は凄く綺麗だ、まるで神話世界の女神や天使を彷彿させる。
僕も頑張れば誰か1人位は好きになって貰えるのだろうか?
今は無理だろうな..嫌われているし...だけどいつかは友達になって出来れば交際したいな。
《嘘、あの子凄くイケてない! 芸能人なのかな?》
《昨日見たBLの王子様が、王子様がここに居るよ..》
《あんな綺麗な男の子見た事無いな..私じゃ釣り合わないよね》
《観賞用だよね、きっとあんな男の子綺麗な彼女が居るに決まっている》
意識阻害は、翼を知っている人間に違和感を感じさせない為に存在する。
それも少しづつ違和感を補正していまの彼(セレナ)その物を翼として感じるようになる。
だが、元々翼を知らない人間には、意識阻害は必要ないし、要らない、だから本来のセレナの姿が見える。
セレナが居た世界は女のレベルは現世より恐ろしく低い、だが男のレベルは物凄く高い。
勇者である翼が「男は美男子しか居ない」そう言う程に。
毒舌の彼ですら「美男子」に見える男性しか居ない。
そしてセレナはその世界でも美少年だ、それは彼があの世界で美姫と言われるジョセフィーナ姫を射止めた事からも解かるだろう。
つまり、何が言いたいのかというと「美少年の中の美少年」「現世より遙かに綺麗な男性が居る世界での究極の美少年と言える」
そして、貴族として育った、だから何とも言えない優雅なオーラがある。
《さっきから、態々足を止めてみているよ、やっぱり翼は嫌われていたんだな》
翼の記憶では女の子に嫌われていた記憶しかない、根暗で陰湿、それが翼だったのだから当たり前だ。
だからこそ、セレナは自分が女の子に嫌われていると思っていた。
「だから、そういう気はないって..馬鹿じゃないの?」
「はぁー、散々奢らせるだけ奢らせて逃げやがって、やれないならお前みたいなブサイクに奢る訳ないだろう」
「下心見え見えだってーの、私はそりゃ不細工だけど、やりたいだけの男なんてカラオケまでしか付き合う訳ないでしょ 馬鹿じゃない」
「うるせいーな、お前今日は学校休んでつき合えよ!」
「はぁー何言っているの、馬鹿じゃ無いの!」
「お前が逃げるから悪いんだろうが?」
「はぁ、頭おかしいの? 元々カラオケだけで良いからって言うから付き合っただけしょっ」
「だからって1万5千円も飲み食いして、気が付いたら居なくなりやがって..」
「奢ってくれるって言ったの健司でしょう? 危なそうだから逃げるのは当たり前じゃん」
「どうせ、不細工で遊び人なんだから、男とやりまくっているんだろう!」
「私は夜遊びしているだけで、そんな事はしないんだよね! そういう相手が良いなら他をあたれば良いでしょ!」
「いい加減にしろよ..おらっ!」
「痛い、いきなり殴るなんて最低!」
「うるせいよ、おらよ」」
「痛い」
《どうせ、誰も助けてくれないよね、綺麗で可愛い子は良いな..こういう時はさぁ..今日に限って連れは誰も通りそうにないし、ボコられれば気がすむのかな》
「おらおら、どうしたブース」
「好きなだけボコれば良いじゃん! 私は幾らブスでも好きな男じゃなくちゃ、そういう事はしないんだよ、クズ野郎」
「じゃぁ、処女決定じゃん、お前みたいな女好きになる奴なんて居ないさぁ、体目当て以外じゃな!」
「そんな女をホテルに誘おうとしたあんたもかなりの不細工だと思うけどね」
「うるせいな、殺すぞ!」
見てられないな。
「その子が可哀想だろう、いい加減にしませんか?」
「お前なんだ、何だお前は2年の翼じゃないか? オタクが何を粋がっているんだ、とっとと失せろ!」
「はー..解りました、虐められたく無いのでこれで失礼しますね、それじゃ行きますか?」
僕は手を差し延ばした。
「あっありがとう..」
《何この人、後輩なのかな? サラサラした髪に、涼しげな顔..凄い綺麗..》
「待てよ、翼、さり気なく何連れて行こうとしているんだ..手前っ」
「だって、この人好きじゃないんでしょう? だったらこれでいいんじゃないですか?」
「お前、何言っているんだ! ふざけんなよ!」
「好きでもない、可愛いとも思わない、だったらつき合う必要ないでしょう!」
「お前、生意気なんだよ、しゃしゃり出てきやがってよ、マジでムカついた」
「だったら?」
「こうするんだよ!」
「やめて」
《健司はボクシング習っていて喧嘩が強いんだ、危ないよ..》
「大丈夫だよ!」
《この世界の男ってこんなに弱いのか? まるで止まって見えるんだが》
仕方ない、僕は交わして軽くお腹に一撃を入れた。
「うげっ」
「まだやる?」
「うるせーな、この野郎ムカついた、マジでムカついた、半殺しにしてやんよ」
《しかし、本当に遅いな、これじゃオークにすら敵わないんじゃないかな》
簡単に躱して軽く顔を殴りつけた。
「うげっ 殺してやる」
「あのさ、これでも手加減してあげているんだけど、次からは本気で殴るよ?」
少し、殺気を込めて睨みつける。
騎士団長程には上手くないが、それでも殺気を込めれば相手は...怯える。
相手は怯んだ、もし、相手に殺し合いの経験があれば腰も立たなくなったかもしれない。
安全な世界で生きて来たからその怖さの原因が解らない。
だが、ここで引かなければヤバイ、それだけは解った、だが経験の無さが怖さを鈍らせ強がってみせた。
「けっ、ブスとオタクでお似合いだ、勝手に乳繰り合って居ろよ、やってらんね!」
「今度、手を出したら..」
「出したらどうすんだ..」
「殺すよ」
僕は更に殺気を込めて睨みつけた。
《不味い、此奴可笑しい..あの目、本当に殺す気なのか..ヤバイヤバイヤバイ》
「そんなブスもう手なんて出さない、それで良いんだろう..」
「それで良い」
逃げるように健司は立ち去った。
「大丈夫だった?」
「大丈夫..本当にありがとう、貴方こそ大丈夫でしたか?」
「うん、全然、一発も当たって無いし」
《可哀想な位に弱かったし》
「あっ不味い、遅刻しちゃう..じゃぁね!」
「あっ..」
《行っちゃった、彼凄く綺麗でカッコ良かったな、翼っていうんだね、覚えた同じ学校なんだから探せば簡単に見つかるよね。》
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