第6話 家族と

結局僕は、とびっきり綺麗な女の子の写真集を残して全部処分する事にした。


変な人形や書物はアニメやマンガという物らしいが美的感覚が合わないせいか不気味にしか思えない。


そして、やっぱりこの世界の女性は全ての人が恐ろしい程に美しい。


僕の目からしたら全てが想像を上回る美女しかいない。


今迄、僕はジョセフィーナを上回る美女なんて存在しないと思っていた。


他国の王族も含み、恐らく前居た世界じゃ間違いなく世界一だったかも知れない。


それがだ...この世界だったら、多分並み以下だと思う..何しろジョセフィーナ以下の女性がまず見つからない。


母親や妹ですら遙かに綺麗だし。


お年寄りですら気品がどことなく漂ってくる。


勇者、翼がこの世界の人間だったなら、この前の言動も理解できる。


この世の者とも思えない美女に囲まれていたんだから、前の世界の女性がブスに見えるのも仕方無いと思う。


だったら娶らなきゃいいのにとは思うが、そこは何かの事情があるのかも知れない。


これから何をすればいいのだろうか?


まずは知識の収集だ、女神様がある程度この世界の事が解るが万全ではないと思う。


前の世界よりかなり進んでいると思う、勉強も含みかなり頑張る必要があるだろう。



そして、この世界の女性に対しての慣れが必要だ。


まずは家族からだな。


何からしようか?


うん、何も出来る事は無いな..


仕方ない、何か買ってこよう...



翼の記憶によれば、近所に手作りの最中アイスの店がある。


そして、その最中アイスの小豆味をお母さまや妹が好きだった筈だ。


試しに購入してこようかな?


一緒に食べれば、少しの時間は会話ができる筈だ。



「あらっ出かけるの?」


《この子が外出なんて珍しいわね》


「ちょっとね」



小豆味の最中アイスを3個買ってきた。



「お母さま、まひる、、小豆アイスを買ってきたんだけど食べない?」


「あらっ、翼が買ってきてくれたの? 頂こうかしら」


「お兄ちゃんがアイス? 珍しいね、うん食べる」



《お母さん、お兄ちゃんどうしちゃったのかな..おかしいよ?》


《ええっ、いつもは引き籠って部屋から食事とトイレとお風呂の時しか出て来ないのに..変ね》



「翼っ...えーと」


「何、お母さま..」


「あのね、そのどうしたの? お母さまって、どうかしたのかな? ちょっとおかしいわ!」


「お兄ちゃんとお話するの久しぶりだと思うの..どうしたの本当に何かあるのかな?」


《確かにそうだな、何しろ、翼って結構家族に辛く当たっていたようだし..》


「旨く言えないけど、結構、僕って酷い事してたと思う、だから、これからは少しはマシになろうと思って...」


「そう、だけど、お母さまは言い過ぎよ、そうね普通に母さんで良いわよ」


「そうなんだ、お兄ちゃん頑張ってね..まずは半引きこもりを辞めようよ?」


「解った、母さん、まひる」


その日、僕は寝るまでリビングに居るつもりだった。


まひるとテレビを見ながら母さんと話しをした。


笑うと綺麗な母さんがさらに綺麗になる。


まひるの笑い声は凄く可愛くて天使の様だった。


凄く、楽しいんだけど...服装が刺激的で困る。


何で、太腿が見えるような服をきているんだろう。


「お兄ちゃん、鼻血が出ているよ」


「どうしたの本当に」


刺激が強すぎるよ..


結局僕は早目にリタイアした。



朝の出来事

色々考えていたら眠ってしまったようだ。


階段を降りて歯を磨こうと思っていたら...


「おおはよう..」


「お兄ちゃんおはよう! どうしたのへーん!」


変にもなるさ、とんでもない美少女がタンクトップという肌の露出が多い服を着て、これまた足が丸出しのミニスカートを履いているんだから。


《何を言って良いか解らない》


「いや、まひるは、いつ見ても可愛いなって、思わず見惚れそうになった」


「昨日から何の冗談なのかな? お兄ちゃん前には俺もこのアニメの主人公みたいな妹が欲しいって言っていたよね?」


《それは僕じゃない》


「そうだね、少し反省したんだ、これからは少しは真面な兄貴になるよ」


「そう?まぁ無理だと思うけど頑張ってね..少しは真面になってくれたらありがたいよ、何しろ友達からもお兄ちゃんの評判は凄く悪いから」


「解った気を付けるよ!」



「母さん、おはよう!」


「おはよう、翼、今日はちゃんと起きて来たわね! そう言えば良いの? あのフィギュアやポスター大切にしていたんじゃないの?」


「いいんだ、もうあういう物からは卒業しなくちゃね..あんな人形より、母さんやまひるの方がよっぽど綺麗だしね」


「あら、そうお世辞でも母さん嬉しいわ」


「お兄ちゃん..それは無理があるけど、オタクを辞めるんなら賛成だな」


「さぁ、せっかく早く起きたんだから朝食にしましょう..直ぐに準備するわ」


家族だからだろうか、それとも、少し耐性が出来たのかな?


割と普通に会話が出来た。


「それじゃ行ってきます!」


「「行ってらっしゃい」」


僕の方がまひるの中学より遠いので先に家を出た。




「あのさぁ、まひる、翼なんだけど」


「何だか本当に変わろうと思っているみたい」


「そうだわね、何しろあんなに大切にしていたフィギュアやポスターを捨てた位だからね」


「本当に驚いた..しかもまひるに見え見えのお世辞まで言ってさぁ..ブスなのは自覚しているのに」


「そうね、私に対してもしっかり、母さんだって」


「この間までは、口を開けばブス、俺も可愛い妹が欲しかった、何ていっていたのにさぁ」


「それなら私も一緒だわ、ババアかおいだったもの」


「そのくせ、自分はちゃんと呼ばないと切れるし、正直、何様って言いたくなったわ..兄妹なんだからお兄ちゃんも不細工なのに..」


「まぁ翼はやたら面食いだからね..」


「だけど、変わろうとすることは、まひるは良い事だと思うの! お兄ちゃん友達1人も居ないし、人の友達迄ブス呼ばわりするから友達も家に呼べないし」


「まぁこのまま、本当に変わってくれたら母さんも嬉しいわ..まひる、直ぐに家を出ないと遅刻..」


「あっいけない..行ってきますお母さん」


「はい行ってらっしゃい」


だがこれはまだ始まりに過ぎなかった。

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