第4話 現世に転移!

運が悪かった。


国境まで騎士が数名ついて来てくれたんだが、それが仇になった。


騎士がついていたからお宝でも積んでいると思ったのだろう...盗賊団に襲われた。


しかも、それはあっている..僕は人一人が一生食べていけるお金を持っていた。


騎士も強かったがこの盗賊団の人数は多かった。


1人1人死んでいき、とうとう僕1人..僕はこれでも剣の腕はたつ..だが多勢に無勢..8人程切り殺した所で...心臓を貫かれて死んだ。


.........



「セレナ...セレナ、起きなさい」


《あれっ可笑しいな..僕は死んだはずじゃ..》


「ええっ貴方は死にましたよ..」


「貴方は女神イシュタリア様ですか..」


「流石は信徒だけありますね、一目で解かるなんて」


「僕はイシュタリア信徒です..生まれてから今迄ずっと祈りをかかした事はありません」


「そうですね」


「そんな僕が貴方の姿を見間違える訳がありません」


「私はそんな貴方を傷つけました」



「勇者の事ですか..でも世界を救う為には仕方なかった..そうですよね」


「はい、ですが結果私は貴方から全てを奪ってしまった...その償いをしようと思います」


「女神様が償う事なんてありません」


「ですが、それでは私の気が済みません..だから貴方にはもう一度別の人生を与えます」


「それは一体..」


「勇者の世界に行って貰います」


「勇者の世界?」


「はい、貴方には 天空院 翼の世界に行って、天空院 翼になるというのは如何でしょうか?」


「翼に?」


「はい、翼の居た世界は、此処よりも高度に進んだ世界で、安全な世界です..そこで勇者に成らなかった翼が歩む筈だった人生を生きてみては如何でしょうか?」


「死んだ僕に新しい人生を下さるんですか? 」


「はい、こんな事しか私には出来ませんが..」


「有難うございます」


「はい、ではお行きなさい」





女神 イシュタリア


良かったわ..素直に行ってくれて、向こうから魂を一つこっちに持ってきたのがばれそうだったのよね...これで誤魔化せるわ!


しかし、こっちの世界の人間は良いわね...チートくれとか言わないしね...女神として素直に祝福しましょう..貴方に幸がある事を..


別に誰でも良かったのだけど...少し位は依怙贔屓しますわ..より私を信心してくれて、あそこまで酷い事になっても私を信じたセレナ..


次こそは幸せにね...もう私のご利益は届かないのだけどね...





転移直後 教室にて

うーん、ここは、そうか僕は天空院 翼になったんだな


えーと、姿形は..僕のままだな..あれっ何故か 翼の記憶もある..


ただ、感情は..ちゃんと僕のままだ。


《それは意識阻害で周りには貴方が 翼に見えています..すこしづつ薄れていって暫くしたら貴方を認識するはずです》


えっ女神様?


《そうですよ? あと、そのままじゃ困るだろうから、困らない程度に翼の記憶も入れて置いたわ..これで本当に最後、頑張って》


はい




女神イシュタリア


《やっぱり、良いわー この世界の人間と違って初々しいわね..この程度で感謝してくれるんだから..お別れなのが残念ね》




僕はそのまま前を見た。


ここは学園って所だな...どうやら僕は机で俯せになって寝ていたようだ。


そのまま起きて前を見た..


《ななななな、なんだ此処は、天国なのか? この世の物とは思えない美女ばかりだ》


きょろきょろと辺りを見る。


男は普通だが、女性が綺麗すぎる、可笑しい、可笑しすぎる。


美しくない女性何て一人も居ない。


《これがこの世界の女性なのか? これが翼の世界...天使にしか見えない》



思わず、見惚れるように見てしまった。


そして、近くにいる1人の女の子と目が合った。


「お前、何見ているんだよ、キモイんだよ!」


《確かに言われても仕方ないと思う...確かにジロジロ見過ぎていた》


「ごめんなさい」


《ここは謝るべきだ》


「大体、翼はよ、この学園にはブスしかいねーとか言って無かったか? 馬鹿にしているのかな?」


「そうそう、見る価値も無いとかいっていたよね?」


《翼ってそんなに理想が高いのか...こんな女神様や天使にしか見えない、こんな凄い美女にブスだなんて...可笑しいよ》


「何とかいえよ、黙ってないでさ!」


「素直に謝るよ..こんなにも綺麗な女性にブスだなんて、僕が悪かった、ごめん」



「「「「.....」」」」




「あははははっ可笑しいので、それは何の冗談なのかな?」


「昨日まで見る価値も無いとか言って無かったかなかな?」



「謝るよしか言えない..」


《それは僕じゃないんだが》


「そう? それじゃ、私は綺麗って事で良いんだよね?」


「綺麗だと思うよ!」


「そう、だったら、私が綺麗に思える点を5個いって、ちゃんと言えたら信じてあげるよ!」



「目が凄く綺麗で思わず吸い込まれそうになる。髪が長くて艶やか。鼻も高いし、唇も艶やかだし、顔も小さいし..スタイルも良いし、足も凄く綺麗でそれで..」


「ああ、もう良いよ5個超えているし..とりあえず様子見、私は様子見してあげるよ」


「そうだね、悪口言われて嫌な気分にさせられるよりましかな..私も考えてあげるよ」


「だけど、今迄が今迄だからね..まぁ解ったわ」


《翼ってこんなに嫌われいるんだ..こんな美女たちを怒らせるなんて何しているんだか》



「今言った事が嘘じゃないならこれから証明してね..とりあえず貴方は女子の中では最低な男だったんだから」


「解った、これからは気をつけるね」





何からして良いのか解らない...


正直言って話したいのだが、此処まで綺麗な女性になんてどう話掛けて良いのか解らない。


正直いって貴族同士の夜会や王に謁見した時の方がまだ緊張しなかったと思う。


何も出来ないまま一日が過ぎていった。


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