第58話 大いなる力
僕達は離れた所で藤堂くんと東郷さんを見送っている。
勇者パーティーだから派手に送り出されていた。
これでもう会う事は無いだろう。
同級生だから心配ではあるが仕方ない。
討伐に向うのは勇者 祥吾 剣聖 梓 アカデミーが誇る大魔導士隊6名 教会からは戦闘ヒーラー4名彼らは戦いながら回復魔法を使うエキスパート。
合計12名で戦いに挑む。
恐らくはこの戦いは破綻する。
僕が考えるより魔族が頭が悪い、そう思いたい。
【王宮、教会SIDE】
一体何が起きたのか解らない国王エルド6世は焦っていた。
何故、聖女も賢者も手放す事になったのか...正直解らない。
自分で許可などする筈はない、だが知らないうちに許可をしていたらしい。
「お父様自ら許可して王印を押してサインをしていましたよ」
そう、王女であるマリンが言っていた。
確かにその後、書類を見たが全て自分のサインがしてあった。
どう見ても自分のサインにしか見えない。
そして何よりマインや信頼できる家臣が見ているのだ偽造ではない。
何が起きているのか解らない...まさか何かの呪いなのか?
もしやと思い、教皇様に相談をしたら、教皇様の身にも同じ事が起き、聖女を諦めたのだそうだ。
私になら解る、だが、この世界で一番信仰心が高い教皇様に同じ様な事が起きたのだ。
呪いなどではない筈だ。
「教皇様も身に覚えがないのですか?」
「はい、私にとって聖女様は勇者様の次に大切な存在、それゆえ問題は全て押さえました、なのに突然抜けられてしまい...しかもそれを私が知らないうちに許可していたのです」
「それは一体何が起きたのでしょうか?」
「考えられる事は、女神様の怒りです」
「女神様の?」
「はい、今回の召喚した者で調べた所亡くなった者が多すぎます」
「それは」
「解りませんか? 異世界人は女神様が直に会い力を与えた者です、彼等を粗末にした結果お怒りを買ったような気がします」
「あの、異世界人はどの位亡くなったと言うのですか?」
「そんな事も調べていないのですか? こんな短時間で約半数が亡くなっています...そして消息不明も多い」
「そんなに!」
「そんなにではない! 恐らく女神イシュタス様はお怒りだ! 聖女様も賢者様そして数人の者を我々が手が届かない所で守られている」
「どういう事でしょうか?」
「聖女様が魔王との戦いを辞めたい、そう思われたら、もう説得も何も出来なくなった」
「そんな馬鹿な事ができるのでしょうか?」
「貴方も感じている筈だ、大きな力で自分が捻じ曲げられる、どうでしょうか?」
確かにある、自分が自分じゃない時がある。
「確かに御座います」
「多分、それがイシュタス様のご意思なのだ、そうで無ければこの不思議な力は解らない」
「それでは、これからどうすれば良いのでしょうか?」
「逆らわなことです、大いなる力には...それが良いと思います」
「解りました」
自分達がした事を考え《罰があたった》そう教皇と王は考えた。
その結果、あり得ない現象をそのまま受け入れてしまった。
※悲しみの勇者篇、終了まであと数話、そして最終章がその後始まります。
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