第46話 括ってくれてありがとう。
結局、起きてすぐに夕食を済ませて、そのまま寝ることになった。
だけど眠れない。
右側が三浦さん、左側が湯浅さん、そして上にサナが乗っている。
「ごめん、流石に重くて眠れない」
「それじゃサナさん退いてあげて下さい」
「そうですね、礼二様が重そうです」
「そんな、今日は私二人より凄く少なかったんだからこの位良いじゃない...ねぇ礼二」
サナが涙目になっている。
どうしようかな?
「不公平だから、今日は僕はソファで寝るから、ベッド二つは三人で使って」
「そんなぁ」
「そうですよ、これからしないんですか?」
正直言えば病みつきになる。
だけど、真面目に生活しないと不味い。
働かないと...お金があるからって流されちゃ駄目だ。
「今日は止めておくよ...あれだけ過激なサービスしてくれたらもう満足だよ」
本当は違う...僕はとんでもない位にドスケベだったようだ。
まだまだしたくて仕方ない。
だが、こんな肉欲に溺れちゃだめだ。
だけど、何を勘違いしたのか三人は顔が真っ赤になりおどおどしだした。
「あの、違うんですよ? あんな事していて何ですが、私は決して淫乱とかビッチとかじゃないんです...ああああっあんなになるのは礼二さんだけですからね...本当に違いますから」
うん、竹刀振るっている姿を見ていたから知っているよ。
「私だってあんな淫乱じゃ、ないです、礼二様にしかあんな事しません...だけど礼二様には淫乱女で良いです、何でもしたくなりますから、うん何時でもして良いですよ」
知っているよ、文学少女だもんね、凄く清楚だったの覚えているから。
「わ..私は礼二が初めてだし(人間では)解っているでしょう」
そうだね。
「「「だからーーっ本当に違います(よ)(から)(ね)」」」
「うん、解ったよ、そんな三人が僕にだけそうなるなら...嬉しいから」
「「「ありがとう」」」
こっち迄顔が赤くなるよ...まったく。
次の日、ギルドに能力測定用紙を買いに行った。
「能力測定用紙は日本にはありません、強引に会わせると健康測定になりますが、こちらの方が精度が高いので1枚8万円になります」
触ると効果が無くなりそうだから、持って行った風呂敷に包んで貰った。
本当は湯浅さんや三浦さんに頼めば良いが、歩行困難で手が無い...そして男性恐怖症だから無理だよね。
「ただいま」
「お帰り、礼二」
「お帰りなさい礼二さん」
「お帰りなさいませ礼二様」
うん、家に誰かが居るって凄く嬉しく感じる。
それが美少女三人なんて嬉しすぎて堪らない。
「それで、今日は能力測定用紙を買ってきたんだ、今の三浦さんや湯浅さんに異常がないか知りたくてね」
「確かに、あんな事があったから能力に変化があっても可笑しく無いかも」
「うん、手が無くなってから、体力が無くなったかも知れない」
「それじゃ試してみようか」
本来は手で握っていれば良いが、彼女達は手が無いから口で加えた。
案外口で紙を加えている少女って可愛いかも知れない。
よく考えたら、前に王城の時に僕はこれを使った記憶がある。
そう考えたら此処まで慎重でなくても良かったかも知れない。
だが、念の為、見るまでは触らない様にしよう。
2人が口から離した後見たステータスは
三浦 陽子
LV 8
HP 58
MP 0
ジョブ 無し
スキル:翻訳
湯浅 真理
LV 8
HP 50
MP 0
ジョブ 無し
スキル:翻訳
「嘘でしょう、私HPは200近くあったし、MPは300位あったよ...しかもジョブも無くなっている」
「私はMPは余り無かったけどHPは350あったのに...何でまぁ使えないから回収でもしたって事」
あの糞女神やってくれる、2人は用なしですか...そうですか。
ますます僕は女神が嫌いになった。
うん、待てよ...女神から恩恵を受けていないなら、2人とも《日本に括れる》のではないかな。
そう考えていたら。
頭の中にサナの時と同じアナウンスが流れた。
あれっサナはこの世界の人間なのに、今思えばよく括れたな。
どうしてだろう?
まぁ良いや、今はそんな事より二人だ。
《三浦陽子を日本に括りますか?》
《湯浅真理を日本に括りますか?》
「あの二人ともちょっと話があるんだけど良いかな」
《まさか、此処までの無能だからまさか、捨てられちゃうのかな》
《違うよね、そんな事しないよね》
「なんで涙目になっているか解らないけど、異世界人じゃ無くなったなら《日本人の迷い人》にならない?」
「それって礼二さんやサナさんと同じになるって事ですか?」
「そう言う事ですか?」
「うん」
「礼二さんと同じになれるなら嬉しいです」
「私も同じです、是非お願い致します」
僕はそのまま《日本に括る》を選んだ。
《三浦陽子は日本に括られました》
《湯浅真理は日本に括られました》
うん、無事に括られた様だ。
「うん、終わったよ」
「えっ、何か変わったのでしょうか?」
「何も変わったきがしませんが、本当ですか?」
「外に行く事が出来れば実感できるんだけど、難しいよね」
「すみません、怖くて」
「私も男性が怖くてごめんなさい」
サナが袖を引っ張った。
「どうした?」
「私に二人と話させて貰って良いかな?」
「別に良いけど?」
「じゃぁ少しだけ席を外して貰えるかな?」
「了解」
【女三人で】
「どうしたんですかサナさん」
「礼二様抜きなんてどうしたんですか?」
「あのさぁ、こんなチャンス逃して良いの?」
「チャンス?」
「チャンスって何かあるの?」
「外に出掛けるのを1人にすれば礼二とお出かけ...デートだよね? しかも歩けないならおぶって貰って、私ならこんなチャンス逃したくないけど」
ハァ~また私だけ適用外...詰まんないな。
「はぁ~気がつきませんでした、一緒じゃ無くてバラバラにすれば、確かに二人っきり、しかもおんぶで...ううっどうしよう」
「礼二様がずうっと密着したままで半日、そんな快楽もう溜まりませんよ...頑張ってみようかな」
「それでどうするのかな?」
「そうですね、何時かは治さないといけないと思うから挑戦しようかな?」
「私も頑張ってみます、無理なら礼二様に帰ってきて貰えば良いんです」
「そう、なら直接外出したいって伝えてね」
「「はい」」
【翌日】
「サナさん騙しましたね?」
「サナさん、酷いです...そんな」
サナは車椅子を2台用意していた。
昨日のうちに、礼二に楽に足の悪い人を連れだせる道具が無いか聞いてみた。
この世界には無くても日本という凄い国にはあるかも知れない、そう思ったからだ。
そうしたら案の定あった。
早速、朝一で見に行って2台買ってきた。
馬車代(タクシー代)は勿体なかったが、2人きりのデートが防げるなら安い物だ。
まぁサナにとってはだが...
確かにこの世界にも車椅子はあるが、これは別物、こんな凄い物があるなんて、日本って凄い...サナは本当に思った。
「それじゃ行かないの? 確かにグレードは下がったかも知れないけど? 二人が来ないなら良いや、今日は思いっきり礼二に甘えちゃおう」
「「うぐっ」」
成程、これはサナの策略なんだな、よく考えた物だ。
なんだかんだ言ってサナは2人に優しい。
ちゃんと二人の世話をしているし、今日だって早起きしてあの車椅子を買ってきた。
「私が礼二さんと一緒に出掛けない訳ないじゃないですか」
「私だってそうです!」
結局4人で出かける事になった。
これも、多分日本に括られているからか、周りに注目される事は無かった。
二人が気がついたようだ。
「礼二様、この車椅子..メイドインジャパンって書いてある」
「嘘...本当だ、しかもこれどう見ても新品だよね、タイヤのメーカーも日本の会社だし...何で」
二人して僕の方を見て来た。
「これも迷い人の力かな、あはははっ」
「迷い人って何なんですか?」
「よく考えたら、あの部屋にある物、殆ど日本製でしたね? シャンプーにリンス、挙句は石鹸迄、しかも毛布にはウールマーク、布団にはダウンのパーセント表示がありました」
「口で説明しにくいから、今日実際に経験してみてよ」
「何が経験できるんでしょうか?」
「何か解りませんが面白そうですね」
サナが自慢げな顔をしていた。
「それで一件目なんですが、良いお店みつけたので、そこに付き合って下さい、その後は礼二にお任せで良いので」
「解ったけど、どんなお店行くの」
「内緒です」
路地裏の奥に来た。
サナはニコニコしながら歩いているけど変な場所な気がする。
看板も出てない、お店に案内された。
「礼二ここです、此処」
「何のお店?」
「此処凄いんですよ? 車椅子を探していたら辿り着いたんです、凄く良い物が沢山あるんですよ」
入って見ると此処は介護用品店? なのかな、流石の僕もこう言ったお店には入った事が無いから解らない。
「いらっしゃいませ」
「礼二さん、もしかして日本に帰ってきたんですか...日本のお店ですよね此処」
「そうなのかな、あれ、少し違う様な気もしますよ」
驚くよな、これ、僕も驚いたよ。
「家に帰ってから詳しく話すから《迷い人》生活を今は楽しもう」
二人はぽかーんと口をあけたまま、首を縦に振った。
「礼二、これこれ、これを二人に買ってあげたかったんだよね」
サナがバイクの時に履くようなプロテクターブーツ? みたいな靴を持っていた。
「それは何?」
サナに聞いたのだが、店員さんが答えてくれた。
「それはですね、下肢装具って言いまして歩行を補助する物になります。その中でもそれはかなり固定力が強い物になります」
成程、2人は足を斬り落とされた訳じゃ無いから、こういった補助器具をつければ歩けるそういう事か。
「確かに、それをつければ歩けるかも」
「うん、歩けるね」
「それじゃ、それを2人分下さい」
「左右揃えて2足ですね、有難うございます」
良く見ると、周りには他にもいろんなタイプの下肢装具があるがこれが一番良さそうだ、その分金額も高い。
高いとはいえ二人分で10万円もいかないからそれ程痛い金額じゃない。
その足で、ギルドに向った。
二人の体が少し震えていたが、幸い中途半端な時間なので冒険者が少ない。
かなり顔が青い二人の傍で年金と保険の申請をした。
全く持って未だに仕組みは解らないが...
「これで申請が終わりました、これは仮の保険証になります、正規の物は後日、ご自宅にお送りしますね」
「有難うございます」
その際に二人の税申告もギルドの職員にお願いした。
お金は僕の口座に入っているので、そこからのやりくりで頼んだ。
今度は診療所に向った。
日本の技術なら彼女達の腕はどうにかなる、そう思っていたからだ。
理由は、僕の頭の中には、何といったら良いのだろうか?
ロボットの腕の様に自分の意思で動く義手があったからだ。
とはいえ、記憶にあるだけで、本当の所は映画だったのかも知れない。
自信が無い。
「嘘でしょう、診療所が中に入った途端に何で病院になるんだろう」
「これどんな原理なのかな...」
二人は驚きの表情を隠しきれない。
外科の受付けをして暫く待つと順番が来て呼び出される。
「見た感じ、全部治療は終わっているみたいですよ...上手とは言えないようですが」
二人も同じ考えの様だ。
「あの、勘違いかも知れませんが、ロボットの様に動く義手があった気がするのですが」
「ああっ筋電義手の事ですね、確かにこのケースなら使えるかな」
「そんな物があるんですか?」
「言われて見れば、昔テレビで見た気がする」
サナが驚くなら解るが、日本人の三浦さんや湯浅さんが何で驚くんだろう。
色々話し合い、利き腕側は筋電義手にしてもう一つの腕はシリコン製の見た目が殆ど自分の腕にしか見えない義手にする事にした様だ。
話を聞くと、義手の代金はいったんは納めなければならないが後でお金は申請すればかなり戻ってくるらしい。
その後は、四人で店を回った。
薬品店に入った途端に中がドラックストアになったのを見て三浦さんも湯浅さんもさっき以上に驚いていた。
「あはははっ、これ凄いですね...」
「こっちの方が、変なジョブ貰うより遙かに良いや」
三人は凄く楽しそうに店内を回っていた。
僕は例のゴム製の薄い物を気がつかれない様にこっそり買った。
二人は兎も角、サナには必要だ。
しかし、此処が一番凄いな...テン〇まであるし。
しかし、女の子は買う物が多いんだな...化粧水に抑汗スプレーにリップに生理用品に次々とカゴに入れていく。
最も入れていくのはサナで二人は膝の上にカゴを載せているだけだ。
会計になると。
「3万2千800円になります」
結構な金額になった。
二人は...
「支払いも円なんだ、迷い人って凄い」
「どういう仕組みなのか、全然解らない、こんな事どうしたら再現できるんだろう...」
確かに驚くよね...仕組みは聞かれても解らない。
しかも、その日の夜に届く宅配サービスまであったので頼んだ。
その後は道具屋によったら、端っこに日本人専用コーナーがあった。
「このコーナーの物は《日本人》の為の物で他の方は物理的に購入できなくなっています」
そういう説明がなされた。
あったよ、ウオシュレット、電気が無いから魔石を使うみたいだけど、何故かメイドインジャパンのTO社製。
炊飯ジャーもサイ印、電子レンジは無かったけど、オーブンはあった。
全部買って送って貰う事にした。
ちなみに、魔石は僕でも触れる、多分電気の代替だからかも知れない。
流石にPCやテレビ、スマホ等の情報グッズは無かった。
まぁ発信者が居なければ使えないし、あったら、別のラノベの主人公に...触れちゃいけない。
その後は食事を買って帰った。
もう暫くしたら街は混みだす...男が嫌いな彼女達には辛いだろう。
家についてから、僕は今の状況について話した。
僕の正体以外を全部。
「凄いね、勇者の聖剣も魔王の攻撃すら効かない可能性があるんだ」
「その代わり、熊や猪に負けるけどね」
「オークやオーガーは攻撃事すり抜けるんだね...無敵..」
「盗賊の錆びた剣でも死ぬけどね」
そう、今回の2人の災難は《日本人》でも防げなかった...あれっ違うな。
もし、僕が遭難したら《日本人》だから捜索隊がでる。
そう考えたら、最初の悲劇は起きても、その後は奪還作戦が起きて助け出されたはずだ。
誘拐、監禁を許す様な日本警察じゃない。
こんな物騒な世界だからだ。
まぁ日本だったら事件そのものも起きない可能性がある。
「成程ね、礼二さんの女神様は凄く優しいんだね」
「本当に何処かの馬鹿女神と大違いだよね《くくり姫様》自分が消滅しても礼二様を守ろうとするなんて、正に本当の女神様だよね」
くくり姫を褒められて凄く嬉しい。
僕も本当にそうだと思う。
くくり姫はもう居ない...だけど、僕はくくり姫の最後の神主だ。
今も僕や仲間を守ってくれているくくり姫、絶対に忘れない、周りの笑顔を見ながら心からそう思った。
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