第44話 地獄から天国 湯浅真理篇

「嫌ぁぁぁぁやめて」


横で陽子ちゃんが泣き叫んでいる。


「止めて、止めて、やめてよぉーーーーーーっ」


幾ら叫んでも止めてくれない。


そんなのは解っている...今回程ではない。




だけど、私はこれと同じ経験があるのだ。


私が犯されるのはこれで2回目だ。


前に私を犯したのは幼馴染の2人、しかも幼稚園から一緒に育った二人だ。


泣いている私を笑いながら犯した。


そんな事しなくても二人とも幼馴染だ、どちらかと言われれば困るが《好き》だった。


ちゃんと告白してくれて付き合った後なら、そういう関係になるのも仕方ない、とは思う。


私は性的な事は嫌いだが、男の子が興味深々な事くらいは解る。


本位は読んだことがあるし..


だが、大きな声で泣いていたから帰ってきた幼馴染の親が見つけてくれた。


だが、その時は全て終わった後だった。


直ぐに幼馴染の親たちは幼馴染を連れ謝りに来た。



「本当に息子が申し訳ない」


土下座して謝っていた。


私のなかでは半分許そうと思っていた。


うちの親も《結婚》もしくは《婚約》を対価に許そうという話で考えていた。


共に過ごした10年以上の月日は、憎しみだけで満たせなかった。



だが、話を聞いて愕然とした。


二人は私なんて好きでは無かった。


2人とも他に、好きな人が居て、その娘と体験する前に童貞を捨てたくて私を犯した。


そう言う事だった。


しかも、その理由は「真理なら泣き寝入りすると思った」そんな事だった。


おじさん二人は怒り狂ったように幼馴染を殴りつけていたが...もうどうでも良かった。


おばさん達は「学校にだけは連絡しないで欲しい」と言っていたが、逆におじさん達が「このクズには責任を取らせる」と警察にも学校にも連絡した。


その結果、2人は高校退学になり勘当されて家を追い出された、警察の方は初犯と言う事もあり、うちが被害届けを出さない事で不起訴となった。


僅かな慰謝料を貰い話は終わった。


学校側はこの事はばれない様に考慮した。


だが、これで話は終わらない。


このクズの幼馴染は、追い出された後近くの街でフリーターをしていたのだが、「この話を自慢げに話していた」


女と違い、家を追い出され半グレになりつつあった幼馴染にとって「女を犯した」のは自慢だったのだろう。



私は犯されたのが学校にバレ、その後の生活は被害者なのに...悲惨な生活になった。


一応進学校だったから嘲笑とスカートめくり、嫌がらせですんではいるが身の危険を感じる毎日だった。


引き籠りになり、リスカを繰り返していた。



その事を知った、幼馴染のおじさんやおばさんは、今思えば良い人だったのだろう。


何回も私に謝りに来た。


私は壊れていた...


「あんなクズお前達が産んだから...こんな事になった..赦さない、一生許さない」


「あはははは、責任とるの? なら晴美ちゃん(幼馴染の妹)を貴方が犯してみせて、ねぇ、これでおあいこだよね、やれよ、やれ」


「ばーか、ばーか、出来もしないのに...嘘ばっかり、せめてクズを殺してから詫びに来い」


そんな声を浴びせていた。


その結果、幼馴染の一人のおじさんは、半グレ集団を息子事車でひき殺そうとして死亡、息子や半グレ達は命は助かったが息子は一生車椅子生活になった。


そしておばさんは、晴美ちゃんを殺して首を吊って自殺した。


もう一人の幼馴染の家族は、この街を出て行っていた。


「二度と息子をお嬢さんの視界に入れない」そういって海外に勤務を希望して赴任していったらしい。



だけど、こんなのは償いじゃない、そう思った。


だって、こんな馬鹿な事したから...噂が大きくなり、余計私の事件は広まった。


しかも、死人が出たから、私への同情は小さくなり「ゆるしてあげないから自殺した」と加害者扱いだ。



そして、私達家族は逃げるように引っ越した。


幸い、そこには私を知っている人はいないので、幸せに過ごす事ができた。


リスカの後だけを残して。



此処からは始まるのは地獄だ。



敵では無く、最初に私達を犯したのは仲間だった人達だった。



「何だ此奴、あっちと違って処女じゃねーじゃん、地味な顔してやる事やっているんじゃないか?」


「やめてよーーーーっ汚いのは嫌、うんぐもぐうんぐううううん」


「何だ、そんな事言いながら此奴結構しゃぶるの旨いじゃん」



私を馬鹿にする声が聞こえてきた。


犯された事の悪夢が蘇ってきた。


やはり、クズだったんだな...女神はなんでこんなクズ達を助けるんだろう。


まぁ10年以上過ごした幼馴染もクズだった...男はやっぱり嫌い。





敵に辱められるのは解らなくも無い。


何人も殺したのだから仕方ない。と思う。



だけど、私はね貴方達に頼まれたから戦っていたのよ...くーず!


ねぇ、貴方は陽子に憧れている、そう言っていたよね...


貴方は、陽子を好きだって言っていた。


「止めてーーーーっ許して下さい、いやぁぁぁぁぁっ」


やっぱりゴミじゃない、貴方なんか陽子が好きになる訳は無いよ。



貴方は私が好きだって言っていたよね?


やっぱり犯すんだ...


「陽子ちゃぁぁぁぁん、嫌だよ助けていやぁぁぁぁっ」


「馬鹿だな、お前の仲間はあの状態なのに助けられるわけねーだろうが」



これで犯すなんてやっぱりクーズ。


私の為に犯さないで死を選んだら...好きになったかもね。



「嘘でしょう、何であんたが...」


「悪いな妹の為だ...」



クーズ...私に告白してきてこれなんだね..やっぱりクーズ。


「いやぁぁぁぁぁ、痛い、痛いよ...弘樹助けてぇぇぇぇぇっ」



弘樹くんは唯一あの後も普通に友達でいてくれた...元気かな。



「何だ此奴、あっちと違って処女じゃねーじゃん、地味な顔してやる事やっているんじゃないか?」


「やめてよーーーーっ汚いのは嫌、うんぐもぐうんぐううううん」



そう、残念だったね、あはははは...元通り壊れれば良んだ...それだけだ。




「赦して、もう許してよーーーーっ痛いの、本当に痛いのよ」


駄目だよ陽子ちゃん...こいつ等、クズだから許す訳ないよ..ゴミだもん。




何人の男に犯されたか解らない。


横で陽子も同じ様に倒れている。


多分、陽子は初めてだから、私以上に傷ついたんだろうな。


穴という穴から白い液体を垂らしながら、体中が土と精子の臭いでむせ返るわね、気持ち悪い。


「うえぇぇぇぇ」私は吐いた。



80人迄は数えたけど、後は解らない。


多分、その何倍もの人数に犯されたわね。


前も後ろも口も全部汚された...


もう終わりだわね...どうなるのかな、私達。


私はふらふらと立ち上がった。


これでもう終わりだよね、何処かに捨てられて終わるのそれとも殺されるのかな...禄でも無い事は確かだわ。


遠くから私達の事を便器とか性処理便器と罵っている声が聞こえる...そうね、あはははっそうだわ。



「こんな便器みたいな女でも《異世界人》だこの先力をつけると面倒だ、そうならない様に両手を斬り落として足の腱をきっておけ」




「いややあああっ、いやあああああ、たしゅけて...もうさかるない。さからうないからーーーーっ」


「あはははっ何言っているのか解らないな」


嘘でしょう? そこ迄なんでするの...笑いながら1人の男が陽子の腕を斬り落とした。



「ぎゃぁぁぁぁぁっぁーーーーーーっ、手、わうたしのてーーーっおうして。かうして」


陽子は気が狂ったように叫んでいた。



「うん? 返してやるから受取れ」


「あああああああう、あああああ」


腕がそもそも無いのだから受け取れるわけが無い、斬られた腕は胸にあたり地面におちた。


「うわたしのうでぇええええええええっうで」


陽子は座り込み必死に腕を抱え込もうとしていた。



何が起きたか解らず茫然としていた。




「いやや、いやああああっ、なうでもするよ、ほんとうになんでもすうから、手いやぁぁぁぁ」


「友達が可哀想でしょう、お揃いじゃなくちゃね」


「ぎやぁぁぁぁぁぁぁっいたうい、痛い、たふけて」



多分殺されて終わるんだ、そう思ったら違った、此奴らはとんでもないクズだった。



私も陽子もそのまま、便所に繋がれた、裸のままで。


此処までされていれば、もう解るわ解る。



私達は性処理便器になったんだと...



罵倒され犯されていく日々は狂わなければ生きていけない。


元々狂った事がある私には解る...むかし以上に狂わないと多分心が持たない。


陽子は反抗して顔の形が変わるまで殴られていた。


クズからは逃げられないよ...逆らうだけ無駄だよ。


ナイフを突きつけられたら、従うしかないよね。


「うぐうううん、ううん」


どうせ、しない訳にいかないんだ、逆らうだけ無駄だよ.....


しないと暴力をどれだけ振るわれるか解らないんだから、陽子ちゃん、陽子、諦めなよ、私は陽子が酷い目にあう所を見たくないよ。


あはははっ、本当にクズだ、妊娠した女の腹を殴るなんて。


「お前は妊娠しなくなったからな...女じゃない本当の性処理道具」だって...あんた家族が居たわよね、娘の前で奥さんの前でそれが言えるのかな?



貰えるのは残飯だけ、異世界のご飯は不味いのに...更に残飯、お魚とみそ汁が食べたいな。



まだ地獄が続くのね。



《とうとう私達に飽きた》 これで終わり?終わる訳ないよね...だってクズだもんね。


ゴミだもんね..



「これもう使えないよな」


「こんな精子の臭いがこびり付いて虫までたかっている女なんて抱く奴いる?」


「いや、こんなの抱く位なら自分でしたほうがましだ」


当たり前でしょう、髪も洗ってくれない、精子は掛けっぱなしで、あまつさえ糞尿も拭かない。


手の無い私達がどうやって綺麗でいられるの、馬鹿じゃない...



クズは何処まで行ってもクズだった。。


抱く事に飽きた私達は食事もままならなくなり、残飯も貰えない。


偶に残飯を貰えてもワザと糞尿が入っていたり、精子が入っていた。


それを見ながら「野良豚飯だ」と放り投げるクズ。



手が無くはいつくばって食べている私達を笑いながら見ていたわ。


陽子ちゃん、もう陽子で良いかなこの人は私の数少ない親友だし、多分私を心配しているんだろうな。


わざと心配させたままにするしかない。


そうしないと、陽子は自殺するから、剣道少女は潔さそうだからね。


こんな状況でも私は陽子に死んで貰いたくないんだ...ごめんね。



その頃になると最早性処理便器ですら無くサンドバック扱い。


「止めてよやめて...わたし、なにもしてない..よ」


「うるせーなゴミ女、いまむしゃくしゃしているんだ殴らせろ」


「いやぁぁぁぁぁ、何でもしますから...やめて」



反抗的な陽子ちゃんは良く殴られていたな。


私の倍は殴られていると思う...だけど、凄いなまだ陽子ちゃんは戦っているんだね。


陽子、陽子ちゃん、もうどっちでもいいや、頭が働かない。



とうとう、私も陽子も体が衰弱して動かなくなった。



飯も真面に食べられずにこれじゃ当たり前だわ。



そうしたら、今度は火であぶったりし始めた..く~ず。


体を動かす事すらままならない私達がが苦しむのを面白そうに見ていた。


こいつ等は人間じゃない...もし逃げだせたら、あんたの娘や奥さんに同じ事をしてやるわ。


あんたの娘まだ赤ちゃんだよね、同じ事目の前で...出来なこと考えても仕方ないわね。


何時までしても開放してくれない。



「イシュタス...イシュタス...呪う」


陽子が言い出した。


それを見た男たちが不気味がっているのが解った。


囁かな嫌がらせと自己防御の為、私も真似した。


私がこんな思いしているのはあの糞女神のせいだ..間違いない、彼奴が居なければ今頃、私は女子高生だったのよ。



毎日、女神を呪っていると、馬鹿な男たちが騒ぎ出した。



「不味いぞ、あいつ等は異世界人だ、女神様に頼んで俺たちを呪うつもりだ」


「あいつ等、死んだらイシュタス様の所に行くんだ...不味い」



そうよ、私はあの馬鹿女神の使いだったわ。



やがて、腫れものを扱う様になり、多分此処で死ぬと不味いのね、少しだけ食事が真面な残飯になった。



そして私達二人を負けたら命欲しさに犯した貴族達と一緒に奴隷として売られた。


ざまぁみろ。


ぎゃははははっお前達も奴隷だ。


だが、私達を犯したあいつ等は綺麗な檻にはいって店内にいるのに...私達は裏側のカーテンが閉まった暗い場所。


無造作に担いで投げられた瞬間に解った。


此処は死ぬ場所何だと...とうとう終わりが近づいてきたのね。


結局私がこの世で手にしたのは【三浦陽子】という親友だけだったのかも知れない。



食事は出る、前よりはましだ...だが檻の中にはトイレが無い。


他の檻の者は手で外に出していた。


同じ様にしたくても手が無い私や陽子には出来ない、しかも私も陽子もたつ事もできないから蛇の様に這いずるしか出来ない。


次第に檻の中は糞尿だらけになる。


水も真面に貰えない...体なんてもう数か月単位で洗って無い。



「た.す.け.て...」


もう声も出なくなった、死を覚悟した時カーテンがあいた。


そこには、とんでもない美少年が居た。


まるで前の世界の小説から出て来た様なとんでもない美少年。



違う、この人は夢なんかじゃない...お客だ。


こんなチャンスはもう二度と無い、こんな部屋に来る客はいない...最後の声を振り絞って懇願した。


「何でもします...夜の相手でも、やれと...いうなら、お尻だって...だからたすけてください...ゴミのように扱ってもよい...ですよ」




「二人 買います」


その声を聴いて私は意識を手放した、これでまだ生きれる...そう思った。




気がつくと私はベッドで寝ていた。


檻じゃない、便所でも無い、綺麗な部屋の見知らぬ天上...何処だろう?



お風呂から艶のある陽子ちゃんの声が聞こえてくる。


ベッドの上で寝ているけど...そうね、そうだよね、手も無い歩けない私達なんか《そう言う目的》以外で買う訳無いよね。



だけど、このクズはかなりましな気がする。


陽子ちゃんの声からして酷い事されてなさそうな気がする。


少なくとも人として扱ってくれていそうな感じだ。



何度、舌を噛んで死のうと思ったか解らない。


だけど弱くて勇気の無い私には出来なかった。


恐らく、陽子ちゃんは自分だけならさっさと自殺したと思う。


私の事を考えて陽子ちゃんは死ななかった、いや死ねなかったんだと思う。


私は陽子ちゃんに死んで貰いたく無いからあえて、そこに付け込んだ。


あの子、は優しいからね。


私は、周りをキョロキョロ見回した。


シャワーとお湯の音がして、そこからは艶やかな陽子ちゃんの声がしてきている。


多分扱いは性処理奴隷なのかも知れない。


だけど、あの声は今迄とは違う...多分今度のクズは真面なのかも知れない。



こんな体じゃ、もうこう生き方しか出来ない、生涯性奴隷として生きていくしかない。


檻の中で助けを求めた...多分幻想でも見たのかな、私が前の世界で読んでいた、アダルト小説の神様みたいな男の子が見えた気がした。


あんなのは幻想だよ、助けを求めて私が見た夢だ。


現実の男なんて虫以下、気持ち悪い生き物、もう誰にも触られたくない。


男なんて、男なんて、ゴミ、クズ、真面な奴なんて居ない。


ただ、ただ、女が抱きたいだけのクズだ。


「すん、すんぐすっ、ぐすっ」


多分、あそこで陽子ちゃんとしている男だってきっと気持ち悪い奴に違いないよね。



だけど、そんな人間でも、今迄の悪魔みたいな奴に比べたら...ましな人間なんだ..そう思うしかない。



男なんて、気分次第で自分が満足したいだけに女を抱いて、何回もされて擦れて血が出て痛いのに構わないで腰を振るゴミ。


そして、気分次第で暴力を振るって笑っているクズしか居ない...知っているわ男なんて全部同じだ...もう解ったから。



だけど...多分私達を買ってくれたのは...かなりましなクズだと思う。



少なくとも、お風呂に入れて貰えるようだし...まぁその分激しいんだと思うけど。


同じ女だから解るわ、あの声は酷い事はされていない、えーと喘ぎ声....酷い事されていない?


横であんな声上げていた陽子ちゃんは聞いた事も見たことも無い。


何かな...まぁどっちにしても、体目当てに女を買う、クズには違いないよね。


だけど、多分このクズは凄くましな部類なのかも知れない。


ちゃんとベッドに寝かせてくれるし、毛布迄掛けてくれているようだし。


そういえばキスされたような、まぁこんな肉便器奴隷にキスなんてしないわ。


そうあくまで性処理便器...苦い...薬草なのかな。


と言う事はキスは夢でなく、薬を飲ませてくれたの?


良いクズなのかな...私の人生はもう性処理便器確定、これはどうしようもない...なら少しでも環境の良い場所にいたい。


そう思うのは仕方ないと思う。


少なくともこのクズは、今迄のクズの中で一番良い。


もう、そんな生き方しか自分には無い...手も無い歩く事も出来ないんだから。


媚びないと...


「すん、すんぐすっぐすっ」


媚びないと、泣いてちゃ駄目だ。


「すん、すんうぇーーっぐすっ、げええええええっ」


駄目だ、媚びないといけないのに吐いちゃった...不味い、不味い殴られる、怖い怖い怖い。



お湯の音が止まった。


不味い、どうにかしないと...食べていれば、食べてれば許して貰えるかな...私は吐いた物を舐め始めた。


大丈夫、前にも何回もした、はやく、はやく綺麗にしないと。


クズがこっちに気がついた...ククク..ズ? 美少年、それも比類無い位に綺麗な...



「そんな事しなくて良いよ、具合が悪かったんだよね、大丈夫」



聞き違いかな...バスタオルを巻いた陽子ちゃんをお姫様抱っこしたランディウス様(真理の創作小悦の主人公)みたいな男の子が優しく語りかけてきた。


幻覚? 自分に手が有ったら間違いなく、目を擦っている。



「三浦さん、ちょっと待って、手際悪くてごめん、固いけどちょっと床に置くね」


「気にしないで下さい💛礼二様」


あれれ...嫌嫌じゃない、なんで陽子ちゃんメスみたいな顔してんの?


しかも優しいいーーーーっ!



クズだと思ったのに、凄く綺麗、神の子ランディウス様が本当に存在していたら多分こんな感じだ。


だけど、奴隷を買う位だ、中身はクズの筈よ...あはははっ中身がクズでも器が良ければ、かなりましに思えるのね。



綺麗なクズはシーツを交換するとその上に陽子ちゃんを寝かして毛布を掛けていた。


「少し休んだ方が良いよ」


「はい💛 礼二様、真理ちゃん、この人は全然違うから安心して良いよ」



安心なんて出来ない、確かに容姿は良いけど中身は同じだ。


ただ女が抱きたいだけでしょう。


えっ、お姫様抱っこ...なんだか凄く優しい。


騙されちゃ駄目...どうせ、どうせ、この人だって男だ。



「はい、口あけて、気持ち悪いでしょう?」


そういうとランディウス様に似たクズは私の口に指をいれシャワーで流してくれた。


しかも口の周りから胸にかけて綺麗にしてくれた。


「あの、そのね」


こんな事された事が無い、前は口に突っ込まれて苦しくて吐いたら、綺麗にしろと食べさせられて、何回も吐きながら食べさせられた。


「あっそうだ、自己紹介がまだだったね、僕の名前は礼二って言います、苗字は捨てました」


「私は湯浅真理って言います...」


ちゃんと名前で呼んでくれるつもりなんだ《肉便器》とか《便所》じゃなくて...


「それじゃ、頭からね」


優しいな、4回も頭を流してくれて、虫までついていたのに嫌な顔しないで...髪なんて洗ったのどの位ぶりかな?凄く気持ち良い。


「今度は体ね、横になって」


「解りました...これで良いですか」


「うん、大丈夫」


石鹸つけて手で洗うんだ、たしかに、あかすりとかじゃ傷だらけだから痛い...そんな事まで気をつけてくれたのかな。


「あっあああっあはんっんっああっ」


駄目、声が出ちゃう、こんな大切そうに触られた事は無いよ、クズたちと違う、絶対に違うよ~ 触られるだけで、なんで、なんでこんなになるのよ。


「ごめん、擽ったかったかな」


「ううん、そんな事ない、そんな事無いですよ、ハァハァハァ~」


何なのかな、これ、全然違う、全然違う、今迄のとは全然違う...今迄は苦痛しかなかったのに..これはうっとりするほど気持ち良い。


「あの、少し声を押さえてくれるかな」


「うっうん、解ったうん、うんうふううん」



嘘、汚いとか汚物みたいな言い方されていた、私のそんな所まで触って洗ってくれるの..ほんとに汚いのに、あああっ駄目だ。



「あん、ああんあっあっふぅーハァハァ、ああああーーーーっ」


全然違うよ、これ、これが多分私がこの世界に来る前に好きだった小説の世界...はぁはぁ駄目だよ、頭の中が可笑しくなる。


体が嬉しくて、嬉しくて顔が赤くなっちゃうよ...しかも駄目だ目が合わせられない、こんな凄い美少年が、私の汚い所を指をつかって綺麗にしていくなんて...ばっちいのに..



「あの」



「あっ.....ごめん、良かったら私も何かしてあげようか? 口が良いかな? 上手く動けないけどしたいなら、自由に使ってくだ...さい」



何を言っているのか解らない、私の体は何百人の相手をして何千回と犯されている。


だけど、私は一つだけしなかった事があるのよ...それは幾ら殴られても酷い目に遭っても自分からは誘ったり、自分からした事はないよ。


それだけが最後の意地だった。


だけど、駄目、こんなに優しく、宝物みたいな触られ方したら...それを差し出したくなっちゃう。



「無理しなくて大丈夫だよ」


「無理なんてしてないから、本当に...それに辛いでしょう」


「だけど...」


「そうか、沢山の男に抱かれた中古女なんて抱きたくないよね? 手も無いし気持ち悪いよね」


「そんな事無いよ、凄く可愛いと思う」


可愛い、そんな事言われるだけで、顔が凄く真っ赤になっちゃう。


「可愛い? それなら良いじゃない」


「今の真理さんは傷ついているんじゃないかな? そうだな、これから一緒に生活して傷が癒えた時に言って欲しいな」



なにこれ、全く別の生き物じゃないかな? 男は全てクズ、そう思っていたけど、礼二さんは別...うん神様とゴキブリ位差がある...


勿論、礼二さんが神...なんでこんな優しいのよ、こんなゴミみたいな女と一緒に生活してくれてるって言うの? 性処理に使わないなら只のお荷物抱え込んだだけなんだよ、本当に良いの?


駄目じゃんもう...全く。



「それじゃ湯船に入ろうか?」


「うん、礼二さんあたっているよ」


「ごめん」


「良いよ、私は何時でも準備OKだから、その気になったらいつでも声かけて」


「傷が癒えたらね」


あはははっ、私って凄く現金で強かったのかな。


まさか、あんな地獄の様な記憶が、もう幸せに変わっちゃうなんて...うん凄く幸せ。



手が無い、歩けない...それが何?


今の私は凄く幸せだよ。


だって夢のなかから出てきたような美少年との生活、楽しいよ。


もしかして私は小説のヒロインなのかな?


そう、錯覚しちゃう...タイトルは「勇者召喚かと思ったら残酷系恋愛小説だった、ダルマ少女は黒髪の美少年に愛されて」なんて感じかな? まぁ足があるからダルマまでいかないけど。



だけど、これって対等な恋愛じゃないと思う。



サナさんが居ないときは陽子も私も...恥ずかしい事を頼まなくちゃいけない。


私は手が無い、陽子も同じだ、トイレに行きたくなったらパンツの上げ下げから全部して貰わないといけない。


小さい方ならまだ良いよ...大きい方の時は拭いて貰わないといけない、しっかり紙で。


現実は小説やドラマじゃない、凄い美少年に用をたしたあとのお尻を拭いて貰う、凄く悲しい気分になる。


たしかに、少し前までは檻で垂れ流し、その前は便所で垂れ流し状態で生活していたよ...人前でさぁ。


だけど、こんな美少年に拭かれるの絶対に...嫌だけどどうしようもない。


手が無いんだから...



親戚のお婆ちゃんのオムツをおばさんが替えていたが、多分私には出来ないと思う。


礼二さんなら...うんしてあげる、まぁ手が無いから出来ないけどね。



礼二さんはこんなに私を好きにさせて何がしたいのかな?...しょっちゅう《一生面倒みる》なんて言っているし、私達の代わりに敵討ちまでしてくれて、お金迄取ろうとしないんだよ。


これの何処に私が抱かれない要素がるのかな?


嫌いになる要素なんて何処にあるのかな?


手も無ければ、真面に歩けない、そんな女を一生みる? そんな覚悟まで決めた男性を受け入れ無い訳ないじゃない。


もし、礼二さんがオークみたいに醜くても受け入れるわ。


だって彼はこの世界で唯一クズじゃない男なんだから。


プロポーズ以上よ、介護が必要な女を一生みるなんて、前の世界だってこの世界だって言える男はいないっーの。



こんな手足に欠陥のある女に《一生》なんて言っているのよ?


しかも、ちゃんと嫌がらないで介護しているのよ?


何しても良いに決まっているじゃない?


あれだけの美少年相手なんだから寧ろ私の方が悪いわよ....



はっきり言ってしまえば1000万円だして死に掛けの犬や猫を買ったのよ...


歩けないし、ご飯も真面に貰えないで虐待を受けた犬や猫。


そんな犬や猫に暖かい家と、抱っこされるぬくもり、高級フードにお風呂。


そんな物与えたらご主人様が大好きになるでしょう?


ちゃんとお世話までして愛されたら、どんな犬でも猫でも懐くわよ。



恋愛って本来はお互いに対価を払う物だと思うの....


今迄のクズはただで無理やり奪っていったのよ...だから0.


だけど礼二さんはそんな私に、考えられない高額をつけたのよ?


全然釣り合いなんてとれない、そんな事されたら身も心も差し出したくなるわよ...まったくもう。


礼二さんが言っている事は《結婚して専業主婦にしてあげる》それより重い言葉ばかり。


それなのに、私は家事も真面に出来ない女、介護が必要な女。




何時抱いて貰っても良い...それでも足りない。


嫌な話し、そっちの経験だけは多いから何でもしてあげる。


私に出来るなら何でもよ...


いや、逆かもしれない、あれだけの美少年...抱いて貰いたいのは私...あはは仲良く成れば成る程、うっ借金が増えていくのかな?


兎も角、私は礼二さん限定、何でもする女なのよ...



他の男?


ハァ~クズしか居ないでしょう? 視界にもいれたくないわね。


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