第43話 地獄から天国 三浦陽子篇

嫌ぁぁぁぁやめて」


幾ら叫んでも止めてくれない。


此処はこの世の地獄だ...



敵に辱められるのは解る。


何人も殺したのだから仕方ない。


だけど、私は貴方に頼まれたから戦っていたのよ...それが何で!


ねぇ、貴方は私に憧れている、そう言っていたよね...


貴方は、私を好きだって言っていた。


「止めてーーーーっ許して下さい、いやぁぁぁぁぁっ」


皆、嘘つきだ。


「赦して、もう許してよーーーーっ痛いの、本当に痛いのよ」


好きだと言った人間が私を守ってくれないんだから...あははははっだーれも助けてくれる訳無いよね。


《好きだ》《憧れている》みーんな嘘。



守ってあげたのに、助けてあげてきたのに...こんなのって無いよ..グスグスッ。


クズ...クズ...恨んでやる...



何人の男に犯されたか解らない。


私、初めてだったのに..横で真理も同じ様に倒れている。


穴という穴から白い液体を垂らしながら、体中が土と精子の臭いでむせ返る。


60人迄は数えたけど、後は解らない。


多分、その何倍もの人数に犯された。


前も後ろも口も全部汚された...


もう良いでしょう...もう...


私はふらふらと立ち上がった。


これでもう終わりだよね、何処かに捨てられて終わるのかな...


遠くから私達の事を便器とか性処理便器と罵っている声が聞こえた。



「こんな便器みたいな女でも《異世界人》だこの先力をつけると面倒だ、そうならない様に両手を斬り落として足の腱をきっておけ」



嘘だよね...嫌だ、嫌だ、大きな声を絞り出して叫んだ。


「いややあああっ、いやあああああ、たしゅけて...もうさかるない。さからうないからーーーーっ」


「あはははっ何言っているのか解らないな」


だが、笑いながら男は私の腕を斬り落とした。



「ぎゃぁぁぁぁぁっぁーーーーーーっ、手、わうたしのてーーーっおうして。かうして」


私は気が狂ったように叫んでいた記憶がある。



「うん? 返してやるから受取れ」


「あああああああう、あああああ」


腕がそもそも無いのだから受け取れるわけが無い、斬られた腕は胸にあたり地面におちた。


「うわたしのうでぇええええええええっうで」


座り込み必死に腕を抱え込もうとしていた。



多分殺されて終わるんだ、そう思ったら違った。



私も真理もそのまま、便所に繋がれた、裸のままで。


此処までされていれば、何をされるか解る。



私達は性処理便器になったんだと...



罵倒され犯されていく日々は狂わなければ生きていけない。


怒らせると顔の形が変わるまで殴られたりする。


笑いながらナイフを突きつけられたら、従うしかなかった。


「うぐうううん、ううん」


言われるままにやるしかなかった。


そうしないと暴力をどれだけ振るわれるか解らない。


妊娠もしたのかもしれないが、暴力的に抱かれたから流れたと思う。


途中男が「お前は妊娠しなくなったからな...女じゃない本当の性処理道具だって言っていた」


貰えるのは残飯。


これでもまだ良かった...そう言える地獄がさらに待っていた。



男たちは《とうとう私達に飽きた》 これで終わり?


そんなに甘く無かった...


「これもう使えないよな」


「こんな精子の臭いがこびり付いて虫までたかっている女なんて抱く奴いる?」


「いや、こんなの抱く位なら自分でしたほうがましだ」


そりゃそうだ、髪も洗ってくれない、精子は掛けっぱなしで、あまつさえ糞尿も拭かない。


うん、私は豚以下だ...



そこからは本当の地獄だった。


抱く事に飽きた私達は食事もままならなくなり、残飯も貰えない。


偶に残飯を貰えてもワザと糞尿が入っていたり、精子が入っていた。


それを見ながら「野良豚飯だ」


手が無くはいつくばって食べている私達を笑いながら見ていた。


私だけなら死んでも良い...そう思ったが、真理が心配だ、彼女は多分死ねない。


その頃になると最早性処理便器ですら無くサンドバック扱いになっていた。


「止めてよやめて...わたし、なにもしてない..よ」


「うるせーなゴミ女、いまむしゃくしゃしているんだ殴らせろ」


「いやぁぁぁぁぁ、何でもしますから...やめて」



とうとう、私も真理も体が衰弱して動かなくなった。


そうしたら、今度は火であぶったりし始めた。


体を動かす事すらままならない私が遅れて熱がるのを面白そうに見ていた。


こいつ等は人間じゃない...いっそ殺して...



そう思っていたが、まだ私で遊び続けている。


何時までも開放してくれない。



「イシュタス...イシュタス...呪う」


私がこんな思いしているのはあの糞女神のせいだ..彼奴が居なければ今頃、私は女子高生だった。



毎日、女神を呪っていると、馬鹿な男たちが騒ぎ出した。



「不味いぞ、あいつ等は異世界人だ、女神様に頼んで俺たちを呪うつもりだ」


「あいつ等、死んだらイシュタス様の所に行くんだ...不味い」



腫れものを扱う様になり、多分此処で死ぬと不味いのね、少しだけ食事が真面な残飯になった。



やがて、私達二人は負けた途端に命欲しさに、犯した貴族達家族と一緒に奴隷として売られた。


此処でも私達は惨めだった。


私達を犯したあいつ等は綺麗な檻にはいって店内にいるのに...私達は裏側のカーテンが閉まった暗い場所にいた。


初めてここに来た時、無造作に担いで投げられた瞬間に解った。


此処は死ぬ場所何だと。



食事は出る、前よりはまし...だが檻の中にはトイレが無い。


他の檻の者は手で外に出していた。


同じ様に大き方は手で出そうと思っても...手は使えない、しかも私も真理もたつ事はできないから動く時は蛇の様に這いずるしか出来ない。


自然と体は糞尿まみれになる。



水も真面に貰えない...体なんてもう数か月下手すれば年単位で洗って無いから汚い。



「た.す.け.て...」


もう声も出なくなった、死を覚悟した時カーテンが開いた。


そこには、神様が居た。


あんな糞女神じゃない、黒髪の中性的な神様。


私、死ぬんだ、だから、日本から神様が迎えにきてくれたんだ、一瞬そう思った。


違う、この人は神様じゃない...お客だ。


こんなチャンスはもう二度と無い、こんな部屋に来る客はいない...最後の声を振り絞って懇願した。


「二人 買います」


その声を聴いて私は意識を手放した。



だけどこれは夢だったの...嫌だ、嫌だ、何でまた私は繋がれているの?


「嫌、嫌いやーーーーーっ」



違った、悪夢を見ただけだった。




知らない天上...ベッド?


気がつくと誰かにみられている。


「ううん、はっ此処は...何処...嘘、嫌ぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ」


「大丈夫かな?」


「嘘、逆らいません、何でも言う事聞きます、だから、だから、酷い事しないでーーーっ」


「酷い事しないから落ち着いて、お願いだから」



困った顔で私に話しかけてきた..優しそうな顔、だが信じられない。



「ハァハァハァ...本当、本当に、酷い事しない? しない?」


「うん、だから落ち着いて...ねぇお願いだから」


「.....うっうん」



「僕の名前は礼二、君達と同じ《元、日本人》だよ」


「ううっ...確かに、うん日本人だ...ね」



「うん、絶対に酷い事はしないから、安心して」


「ううん、信じる...大丈夫、今迄以上の地獄にはならないもの」



此処にはベッドがある、そこで私を寝かせてくれていた。


それだけでもあいつ等よりまし。


例え奴隷でも大切にしてくれそうな気がする。



「それで、ごめん...お風呂行こうか?」


「....解った、ちゃんとするから、酷い事しないで...お願いよ」



お姫様抱っこ...私こんなに汚いのに、多分する事はするんだろうけど...


優しいなこの人、捨てられたくない、ここは前に比べれば全然良い...だからどんな事でもしないと。



「酷い事なんてしないよ」


「ちゃんと、言う事聞くからね? だから、だからお願いよ」



暴力振るわないでくれるんだね...ならちゃんと言う事聞くよわたし..


お風呂場につれて来られた。


汚いままじゃない、少なくとも便器扱いじゃない気がする。


奴隷に格上げなのかな?


頑張らないと、人に戻れるチャンスだ。



「ねぇ、私は、何をすれば良いの...ちゃんとするからね」



何となく彼は彼奴らと違う気がする...


同じ抱かれるにしても優しさがある。



「そうだね、力を抜いて」


「...解った」



ちゃんと女として扱ってくれるんだ...


今迄が酷かったせいか、こんな事が何だか嬉しい。



「きゃぁ...シャワー...」



髪なんて洗って貰った事無いよ。


恥ずかしいな、多分私の髪は汚い物が沢山ついてる。



「うん、髪の毛、洗ってあげるから、ちょっと待ってて」



彼の手が優しく髪を触る。



「...うん」



気のせいなのは解る、だけど凄く優しく髪にお湯を掛けて宝物のように洗ってくれるんだもん。


何だか愛されている様な気がする。


殺伐とした心が何だか溶けるような気がし始めた。


そして彼は...まるで神様の様な美しい姿をしていた。


そんな彼が何回も何回も洗ってくれた。


洗われる度に、こびり付いていた糞や精子が流れていき、本当に申し訳ない気になり、恥ずかしさが込み上げてくる。



「これで、少しは綺麗になったかな」


まるで宝物を綺麗にしたかのように言うんだもん。


ドキドキしたってしょうがないと思うな。



「...ありがとう」



恥ずかしいな、だけど凄く可笑しい。


男なんて、獣、触られたくない、そう思っていたのに...この人に触られるのは嫌じゃない。


多分、他の男相手なら今の私はお礼何て言わないで、悲鳴をあげると...思う。



「今度は体を洗わなくちゃね...ごめん体触るね」


「酷い事しないなら...いいよ...痛い事しないなら...自由につかって」



自由に使って、何いっているの...脅されてもいないのに、自分から《自由につかって》可笑しい。



「今は弁解しない、後で纏めてするから」


「....やっぱり、酷い事するんだ、少し位の痛いのは我慢するよ...平気」



やっぱりするんだ、だけど別に良いよ...少なくとも貴方は優しいから、あはははっ私同意すらこの人以外から求められた事は無かったよ。


こんな風に言われた事は無いから少し恥ずかしい。





「違う...まぁだけど良いや」


何がちがうのかな? しない、そんな事無いよね...


男なんだから。



何?直接、手に石鹸をつけて洗い始めた。


「あっあああっうん、くっくくぅーーーーっ」



何で、こうなるの? 触られても苦痛しか感じたことはないのに...この人だと何だか気持ち良い。


ただ、洗われているだけなのに、声がでちゃう。



「あの、洗っているだけ、洗っているだけだから、ちょっと声を押さえて...お願い」


男なんて汚らわしいし獣なのに...何でこうなるの...こんなの可笑しい



「わかったわ...うん、うぐっすんすん...あーっあああ」



私、凄く汚かったんだ、何回も何回も手で洗ってくれた


他の男の物がこびり付いた股の間の穴から汚物がこびり付いたお尻の穴まで洗うんだから。


本当に申し訳ない気がして仕方ない。


しかもこんな汚い体を大切そうに洗うんだから、可笑しくなるのも仕方ないと思う。


私はこんな女じゃない、男に抱かれてもこんな声絶対にあげなかった、だけど駄目、本当に気持ち良い。


彼の股間もたっているのが解る。



「ハァハァハァ...ああああっあんあん、気持ち良い...はぁはぁ」



こんなに優しくしてくれた人は今まで居なかったよ。


うん、こんな大切にしてくれるなら...良いよ、ちゃんと受け入れてあげよう。



綺麗に石鹸を流してくれる、うん気持ち良いな。


再びお姫様抱っこだ、あははっまるで恋人みたい、夢みたい。


「あっあああああん、あっ💛」


苦痛でしか無かった性行為が、全然違った物に思えてしまう。


男じゃない...この人が違うんだ。


そのまま後ろから優しく抱きしめるように湯船に入れてくれた。


全然違うじゃん...今迄のと全然違うじゃん、何で私はこの人に最初に会えなかったのかな...


こんな恥ずかしい状態でこんな理想の男性に会わなければいけなかったのかな?


こんな汚い体でなんて...凄く悲しくて仕方なくなった。


レイプされ輪姦監禁された...そんな状態の体...すごく汚いよね。



「すん、すん、すん、グスッすん、すん」



考えると涙が出て来た。



「ちょっと、嫌かも知れないけど、泣かないでくれると助かる」



そんな訳無い、こんなに大切にしてくれて嬉しいだけだよ。



「別に嫌じゃないです...凄く親切で、綺麗にしてくれて...こんな風に大切に使ってくれるのが嬉しくて」



こんな優しい人を今の私が受け入れない訳無いよ...うん。



「ちょっと話聞いてくれる?」



優しいから言いづらいんだろうな、もうあんなになっているんだから。


この人なら良い、私の初めてをあげる、私こんなだけど自分からは誘った事は一度も無い。


ささやかな初めてだけど、この人にその最後に残った唯一の《初めて》をあげたい。


本当にそう思った。



「はい、口でしてあげてからの方が良いですか? もう使いたいなら...どうぞ、多分準備も大丈夫です」



初めて告白した、出来るだけ熱い視線を送って口を開けた。



「ちょっと待って、僕はそう言う事しないから、安心して」



えーとそれは本心なのかな?



「あの、本当にしてくれて良いんですよ」



こんなに優しくしてくれたんだから答えてあげたい。



「まだ、名前も知らないし」



名前ね、確かに言ってない...うんこれだけであいつ等と違う...もしかしてまさかね。



「私の名前は三浦陽子って言います💛 礼二様」



「そうだね、そうだ、まず友達から、友達からスタート」


友達から....こんな私に? まさか



「はい、礼二様...は本当にゴブリン以下の糞みたいな獣と違うんですね...神様みたいです...ですが本当に無理しないで下さい」



こんな私とまさか恋愛したいの? そんな事無いよね


「あの...ね」


何で顔を赤くするのかな? まさか、本気。


「それとも、沢山の男に抱かれて、手垢まみれになった私じゃ嫌かな?」


否定されるよね? 恋愛相手にこんな中古女選ばないよね



「そんな事ない...だけど僕は女性経験が少なくて、友達からでお願いします...ねっ」


あはははっ本当に恋愛がしたいみたいだ...良いのかな?


私凄く手が掛かるよ。



「本当に奥ゆかしいんだね」


奇妙な恋愛がスタートした。



だけど、これって恋愛じゃないと思う。


サナさんが居ないときは本当に大変だった...恥ずかしい事を頼まなくちゃいけない。


だって私は手が無い、真理も同じだけど、トイレに行きたくなったらパンツの上げ下げから全部して貰わないといけない。


小さい方ならまだ良い...大きい方の時は拭いて貰わないといけない、しかもこの世界にはウオシュレットは無いからしっかり紙で。


老人なら兎も角私はまだ高校生の年齢だよ...まぁ今迄も檻や便所の横で裸でしていたけどさぁ...こんな綺麗な礼二さんにさせるのは凄く恥ずかしい。


昔、大物女優が入院中にオムツを替えた旦那を見直したって言うのもわかるよ。


昔の私がこんな事できたかと言ったら、多分出来なくて別れると思う。



自分でも気がついていないと思うけど...しょっちゅう《一生面倒みる》なんて言っているし、私達の代わりに敵討ちまでしてくれて、お金迄取ろうとしない。



これで何処に私が拒む理由があるのかな?


だってこれプロポーズしている様なものじゃない?


こんな手足に欠陥のある女に《一生》を誓ったのよ?


しかも、こんなに幸せにしてみせたのよ?


何しても良いに決まっているじゃない?


あれだけの美少年相手なんだから寧ろ私の方が悪いわよ....


結婚て本来はお互いに対価を払う物だと思うの....


礼二さんが私にくれたのは《救済、敵討ち、未来》私はその一つも返せないわ。


だから、私の全ては礼二さんの物で良い...ううん、それ位しないと申し訳ない。


結婚以上の約束したんだから、それ位じゃないと申し訳なさすぎるわよ。


家事も何も出来ない、こんな女なんだから。


何時抱いて貰っても良い...


ううん、抱いて貰いたい、礼二さん限定で私は男の恐怖がなくなったし女になれる。


だけど、窓から見た男は...やっぱりクズにしか見えないわ..礼二さん残して他の男は死んでも良いんじゃないかな...


うん。


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