第34話 お風呂タイム 三浦陽子

ようやく落ち着いたのか、2人とも息が整って静かに眠っている。


僕が見つけて買った時は、糞尿まみれの檻の中に居た。


普通に考えて、あんな所にいるだけで地獄の筈だ。


あの場所の環境は刑務所所の話ではない、しかも奴隷商の話では《死ぬのを待つ》そういう状態だった筈だ。


何故、こんな事になったのか...考えて見たが解らない。


ただ、傷や状態を考えると、恐らくこれをやったのは《人間》だ。


湯浅さんも三浦さんも《人間》によって拷問に近い事をされた可能性が高い。


しかも、明かに白い粉の様な物や異臭に男性特有の物があった。


それは犯された事を意味する。


昔、教室でみた笑顔は何処にも無い。


あの恐怖に満ちた目に言葉...信じられない程の事をされたのは直ぐに解る。


どんな状況か解らない、だが、こんな事をした人間を僕は許せそうにない。



「ううん、はっ此処は...何処...嘘、嫌ぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ」



先に目を覚ましたのは三浦さんだった。



「大丈夫かな?」


「嘘、逆らいません、何でも言う事聞きます、だから、だから、酷い事しないでーーーっ」


「酷い事しないから落ち着いて、お願いだから」



「ハァハァハァ...本当、本当に、酷い事しない? しない?」


「うん、だから落ち着いて...ねぇお願いだから」


「.....うっうん」



「僕の名前は礼二、君達と同じ《元、日本人》だよ」


「ううっ...確かに、うん日本人だ...ね」



「うん、絶対に酷い事はしないから、安心して」


「ううん、信じる...大丈夫、今迄以上の地獄にはならないもの」



今の所、湯浅さんの方はまだ起きて来ない。



「それで、ごめん...お風呂行こうか?」


「....解った、ちゃんとするから、酷い事しないで...お願いよ」


僕は、そのまま、いわゆるお姫様抱っこをして三浦さんを運んだ。


さっき、運んだ時は感じなかったけど、いざ冷静になって考えると、信じられない程、三浦さんは軽かった。


三浦さんは女子剣道部で、女の子にしては背が高かったし肉つきが良かった、デブという意味で無く筋肉がついていた、と言う意味で、まぁ凛々しい女の子だった。



「酷い事なんてしないよ」


「ちゃんと、言う事聞くからね? だから、だからお願いよ」



多分、誤解されている。


だが、今はまだ弁解しない...



裸の女の子とお風呂にはいるんだから、誤解されて仕方ない。


この後の行動で示せば良い。



「ねぇ、私は、何をすれば良いの...ちゃんとするからね」


「そうだね、力を抜いて」


「...解った」



三浦さんの体が震えている。


お湯はさっき沸かした。


まずはシャワーで体を洗ってあげた方が良いだろう。


お湯の温度を調整して、から、頭にからお湯を掛けた。



「きゃぁ...シャワー...」


「うん、髪の毛、洗ってあげるから、ちょっと待ってて」


「...うん」


凄く汚れている、一度じゃ綺麗にならない、完璧じゃないけど4回洗ってようやく綺麗になった。


「これで、少しは綺麗になったかな」


「...ありがとう」



「今度は体を洗わなくちゃね...ごめん体触るね」


「酷い事しないなら...いいよ...痛い事しないなら...自由につかって」


「今は弁解しない、後で纏めてするから」


「....やっぱり、酷い事するんだ、少し位の痛いのは我慢するよ...平気」


完璧な誤解なんだけどな...



「違う...まぁだけど良いや」


あかすりを使おうと思ったけど、体が痛々しい、下手すれば瘡蓋を剥がしてしまう可能性が高い。


女の子にこれは無いのは解るけど、仕方ない。


僕は直接、石鹸をつけて洗い始めた。


「あっあああっうん、くっくくぅーーーーっ」


ただ、洗っているだけなのに、何だか艶のある声を上げ始めた。


「あの、洗っているだけ、洗っているだけだから、ちょっと声を押さえて...お願い」


《男なんて汚らわしいし獣なのに...何でこうなるの...》


「わかったわ...うん、うぐっすんすん...あーっあああ」


体は5回洗ってようやく綺麗になったような気がする。


だけど、流石に...仕方ないと言えば仕方ないけど股の間の穴からお尻の穴まで洗うのは気が引けた。


しかも、本当に艶のある声をあげるから...立っちゃってるし、生理現象だから仕方ないよね。


「ハァハァハァ...ああああっあんあん、気持ち良い...💛」


こんな声聞きながら女の子の体洗うんだよ、本当に仕方ないと思う。


綺麗に石鹸を流してから再びお姫様抱っこをした。


「あっあああああん、あっ💛」


もしかしてこれも後遺症なのか、まるでエッチな事しているかの様な声をだすんだから...だけど三浦さんの境遇を考えたら仕方ないのかも知れない。


どういう風に入るか考えた末、対面よりはましと言う事で後ろから三浦さんに抱き着く感じではいった。


僕の股間が三浦さんにあたるのは勘弁してほしい。



「すん、すん、すん、グスッすん、すん」



「ちょっと、嫌かも知れないけど、泣かないでくれると助かる」



「別に嫌じゃないです...凄く親切で、綺麗にしてくれて...こんな風に大切に使ってくれるのが嬉しくて」


まだ、完全に誤解したままだ。


「ちょっと話聞いてくれる?」


「はい💛 口でしてあげてからの方が良いですか? もう使いたいなら...どうぞ、多分準備も大丈夫です💛」



目がとろーんとして口があいている。



「ちょっと待って、僕はそう言う事しないから、安心して」


「あの、本当にしてくれて良いんですよ」


「まだ、名前も知らないし(本当は知っているけど)」


「私の名前は三浦陽子って言います💛 礼二様」



多分、これは酷い事されて体が可笑しくなっているのかも知れない。


もしかして催淫の魔法とかかもしれない。



「そうだね、そうだ、まず友達から、友達からスタート」


「はい、礼二様...は本当にゴブリン以下の糞みたいな獣と違うんですね...神様みたいです...ですが本当に無理しないで下さい」


「あの...ね」


「それとも、沢山の男に抱かれて、手垢まみれになった私じゃ嫌かな?」


「そんな事ない...だけど僕は女性経験が少なくて、友達からでお願いします...ねっ」


「本当に奥ゆかしいんだね」




礼二は勘違いしていた。


少なくとも、三浦陽子はあそこ迄された事により、男はゴキブリ以下、ゴブリン以下とさえ思っている。


こうなるのは、あくまで礼二限定と言う事に礼二はまだ気がついていない。





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