第32話 良くないけど良かった。
家まで馬車で帰ってきた。
御者に更に1万円のチップを弾んで三浦さんを僕が運んで、御者に湯浅さんを運んで貰った。
お金を払うと現金な物で、部屋まで笑顔で運んでくれた。
「サナ、悪いベッド借りる」
サナは真っ青な顔をしている。
「すみません、そっちのベッドに寝かせて貰えますか」
「解りました、それじゃ私はこれで失礼致します」
危ないなこの状態じゃ。
「サナ、薬草を飲ませるのを手伝って」
「うん、解った」
この間、採取した月光草のうち売り物にならない物と薬草で売り物にならない物が運よくあった。
それを煎じて飲ませないといけない。
口に含んで飲ませていると、サナが横で同じ様に飲ましてくれた。
「うぐっうぐげほっ..」
なかなか飲んでくれない
「礼二、こっちは大丈夫...どうにか飲んだよ」
良かった。
まだ二人ともうなされている、時間が無かったから良く体を見て無かった。
元同級生の裸を見るのは良く無いのは解っているが、そんな事は言ってられない。
サナと二人で服を脱がして体を見た。
やはり目立つのは両腕が肘から先が両方無い事だ。
よく考えたら、斬られっぱなしなら、出血多量で死んでいるだろう、手当がしてあった。
足は両足とも踵に大きな痕があった、恐らくは逃げられない様にアキレス腱でも切ったんだろう、大きな傷だ。
そして体は...酷いな。
体中が痣だらけで、ナイフや剣で斬った後がある。
乳首も片方が2人とも無いし、焼きごてでも押し付けられたのか、明かな火傷がある。
しかも女の子なのに顔にも火傷があった。
一体何があったのか解らない、ただ不幸中の幸いなのが、これらの拷問のあとが一応は治療が終わっている事だ。
これなら、多分、助かる。
もし、ポーションが必要なレベルだったら、何か手を考えなくちゃいけなかった。
恐らく、日本人の僕やサナは、魔法薬は触れられない。
だから、購入しても持つ事が出来ない...もし必要ならだれか他の人間の力を借りなくてはいけない。
それじゃ、僕やサナが入った時、ドラッグストアになるお店の薬はどうだろうか?
サナが日本に括られてからオークの攻撃や魔法の攻撃が一切効かない。
それじゃ、日本人で無くなくなった二人は? 逆だと考えたら僕たちが手に入れる日本の薬が使えない可能性が高い。
多分、お店に入っても、そのままで日本仕様にならない可能性がある。
今は2人とも眠っている。
良かったと言っちゃいけないが、傷は治療済みだ...まるで拷問にあった後みたいだが、治療は終わっていた。
日本人で無くなった彼女達には日本の薬や治療は通じない可能性もある。
「た.す.けて、.ころさ..ないで」
「いや、いやいやああああああああああああっ」
相変わらず、うなされている。
「何があったのかな、戦争にでも巻き込まれたのかな」
「解らないよ」
「礼二...彼女達はもう...」
サナが言う事は解っている、此処まで大怪我していたら《仕事》は出来ないだろう。
ただの役立たずだ...だが、それでも僕は彼女達を見捨てる事が出来なかった。
「サナごめん...」
彼女達を養うと言う事はサナの取り分が減る事になる。
僕から見たら同級生だけど、サナにとってはただのお荷物だ。
「謝る事は無いよ、寧ろ私は安心したよ...私いつか礼二に捨てられる時がくるかなと思った事がある...だけど礼二の優しさが今回の事で良く解ったから」
「僕がサナを捨てるなんてあり得ないよ」
「うん、そうだね、安心したよ、だけど、私は心配だったんだ、だって礼二って凄く綺麗だし、お金だって稼げる...そして何より凄くモテるから」
「確かにモテるね」
この姿はくくり姫の姿だもん、当たり前だよ。
「あっそこは否定しないんだ」
「そうだね、だけど、サナだって僕からみたら凄い美少女だよ」
「それは嘘だよ...私は化け物みたいだもん」
「ハァ~、この際だから正直に言うね、僕が遠い国の出身なのは知っているよね」
「うん、日本という不思議な国なんだよね」
「そう、だから美的感覚が凄く違うんだ...サナがもし日本に居たら、そうだね歌姫や舞台女優が出来る位の美少女だよ」
「本当? 礼二から見てもそう思う?」
「うん、もし日本に居た時にサナみたいな女の子の告白なんてされたらもう一日中舞い上がっちゃうかな」
「そう、それなら良かったよ...あっそうだ、2人の着替えとか買ってくるよ」
「それは僕が行くよ」
「ううん、礼二は2人が心配でしょう?そのままついてあげて」
「解った」
サナはそのまま出て行った。
一体彼女達に何が起きたのか...まさか魔族と戦ったのか...起きるまで解らない。
だけど...平気なのかな他の同級生は。
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