第30話 オークマンは凄い男

「よう! 礼二」


近くで見ると結構迫力があるな。


何せオークマンは身長が2mある大男だしかも顔はどう見ても30過ぎの親父に見える。


太っている事もあってついた字がオークマンだ。


まぁ当人が気に入っているらしいけど。



「こんにちは、ども」


「どうしたしけた面して、元気がねぇーな、俺は何時でも元気だぜ!がははははっ...夜の方もビンビンだぜ!」



どうしても、此奴がモテるとは思えないな。


「夜、夜ってお前の相手をする人間がいるのか...」




「がははははっ! 俺は沢山の妻がいるからな!相手なんて沢山居るに決まっているじゃないか?」



何? 沢山居るって1人じゃ無いって事か...


そうか...奴隷だな、奴隷であれば金があれば買える。



「そうだ!奴隷だな、奴隷であればお金で買える」



「飲もうぜ...礼二、確かに奴隷もいるが、それを別にしても、俺は凄くモテるんだぜ! そりゃねえぜ!」


「嘘だろう、そんなにカッコ良く見えないのに!」


「はぁ~ 何言っているんだ礼二...女にモテるのにカッコ良さ、なんか関係ないだろう?」


「それじゃ、いったい、何が必要なんだよ」


「力と金だ! 当たり前だろう? 面なんて二の次三の次だろうが...頭大丈夫か?」


此奴やっぱり、最低だな!


金や力で女を手に入れているのか? 


まぁ見栄だよな、きっと金に物を言わせて奴隷を買っている...そうに違わない!




「ふん、口だけなら何とでも言えるさ! 本当にモテるって言うなら実際の彼女の一人も連れてきなよ!」



「まぁ良いや...やっぱりお前、頭が可笑しいぞ...それでお前が理解してくれるなら連れてきてやるよ!」



「オークマンの妻です!」


「オークマンの妻でーす!」


「オークマンお兄ちゃんは僕の夫ですよ」



凄く可愛い子ばかりじゃないか? これ全部、妻だ何て..



「おいっ! 奴隷をこんなに買ったのか?、それとも、まさか、魅了スキル持ちなんじゃ?」



「お前さっきから本当に失礼だな...もしかして何処かの貴族か王族なのか?常識が無さすぎるぞ! なぁ此奴、女にモテルには力と金だと言っても信じないんだ...言ってくれよ」



「あの、礼二さん、夫の言う事は間違ってないですよ! 冒険者なんですから...死なない事、生活費が稼げる事、この二つが無ければ恋愛の対象になりませんわ」


「そうだよ、前に付き合った奴は交際して3日間でオーガに殺されちゃった...私もやっぱり苦い経験をしたから強く無いと論外かな」


「僕も同じ、僕を守ってくれて少し位の贅沢をさせてくれる...それが出来ない相手は対象外だよ!」



マジか? うわぁー全然日本と違うじゃないかー...この世界、イケメンより、金や権力、力なんだな。


そう言えば、戦時中は日本だってそれに近いと聞いた事はあるな。



「そうか、男はやっぱり生活力が必要なんだ...納得したよ、何だかごめんオークマン」


「これで解かったろう? やっぱりお前かなり良い家の出じゃないのか? 確かに貴族階級なら、お前の言う事も解らなくないぜ」



「そうだな、確かに、住む場所が変われば価値観は変わる、本当に悪かった」



「いいさ、気にすんな」



確かに性格も悪くない...僕の完全な勘違いだ。



「あのさぁ...礼二さんは顔は驚く程、美形だけど、討伐はどの位できるの?」


「苦手だから逃げてばかりかな」



「それでモテないから、そう思ったんだ...確かに貴族や商人だったらモテるかも知れないから勘違いしたのも解るよ?」


「面目ない」



「確かに外見だけなら、僕の好みかな、まぁ、経済力が無い時点で、無理だけどね」


「確かにそうかも知れない」



よく考えたらオークマンは家庭の為に稼ぐ...父さん見たいな良い男じゃないか。



「なぁ...これで解かっただろう? 世の中、力と金だぜ」



「確かにそうだな」




【受付嬢乱入】



「あのちょっと良いかな?」


「あれっ、受付嬢の...」


「モームって、言います、そう言えば礼二さんに名前を言うのは初めてですね...オークマン様の奥様に言われてへこんでいる様なので一言宜しいでしょうか?」



「うふふっ、私からもいいかしら?」


「貴方はこの間の」


「はい、アイカです」




「へぇー、受付嬢さんにモテているじゃない...そうかギルドの受付嬢はお金があるから、そうだね外見優先なのかな?」


「お金があって潤えば話は違う訳ね、納得」


「確かに僕と考え方は違うかな」



「守秘義務があるから、詳しくは言わないけど、この間、1日で礼二さん、オークマンさんの一か月分以上の金額を稼いでいましたよ」


「うふふ、そうね、簡単な模擬戦ですけど、あのターニャさんに勝ちましたよね」




「嘘、礼二さん、そんなに美形で、そんなに稼いでいるの? もう少し前に出会いたかったな」


「完璧じゃないの...あのターニャさんに勝つなんて凄いわ、運命って怖いわ」


「僕も人妻になる前に出会いたかったよ...あははっうん...凄く残念」



こういう事を言いながら《別れるから》とは言わない、如何にオークマンが家族に尽くしているかが良く解る。



「何だか悪い」


「なんだ、なんだ、礼二はちゃんと稼げているんじゃないか? なら直ぐにモテる様になるぜ...それじゃ三人はもう帰って良いぞ、悪かったな、今日は俺は礼二と過ごすから」



「ええっ解っているわ、貴方」


「行ってらっしゃい」


「僕待っているから、夜中までには帰って来てね」



もう充分モテているのが解ったから良いや。



「それじゃ、私達もこの辺りで」


「うふふ、仕事に戻りますね」


受け付けの2人も仕事に戻っていった。



「それじゃ、礼二、かしを替えるぞ」


「もう充分、オークマンがモテるのが解ったから良いよ」



「いや、世間知らずなお前が凄く心配だ、もう一軒つき合え」



奴隷商に連れていかれた...やっぱり此奴最低だ。


「最悪、本当にモテなければ此処で買えば良いさ、エルフ以外なら直ぐに愛してくれるようになるさ」



奴隷だろう、お金で売られて契約で縛られるんだ...幾ら何でもこれは《愛》じゃなくて《服従》だ。


何か違うのか...


「何でだ?」


「金で此処に売られてくるような奴だぜ、苦労している奴ばかりだ、ちゃんと普通の生活を送らせてやればそれだけで、本当に愛して貰えるぞ...そうだよな親父」


「絶対ではありませんが...不幸な人生を送っていますから、普通にありかと、実際にオークマン様の6人の奥様は当店から提供しましたが皆、オークマン様と良好な関係です」



6人買ったって...何処のマンガ。



「あの、オークマン、お前妻が何人居るんだ!」


「あー気がついたら16人だ」



「すごいな...だけど僕は奴隷はまだ買えないな..」


「あのよー、サナって嬢ちゃんは奴隷だろう?」


「たしかにそうだけど」


「なぁさっき凄く稼いだんだろう」


「月光草を84本手に入れた」



「人族の奴隷なら選りすぐっても3人は買えるぜ」


「マジ?」


そんなに人間が安いのか、そんな価格で売られるなら確かに、その人生は悲惨だったんだろうな。



「そうですな、この辺りの奴隷なら3人どころか5人買えますぞ」



だけど、駄目だ...僕は日本人だから奴隷は買えない。


サナは特別、サナは特別...あんな契約を何人もするのは駄目だ...だけど此処にいる女は皆、不幸せなんだな...幸せにするなら良いのかな。


落ち着け、自分。



うん、ちょっと待て...あれっ



「あの奥は」


「あの奥に居るのは、今日仕入れた奴隷ですね、まだ汚い状態なので、今日洗ってから明日お出しします、ですが殆どが廃棄奴隷で真面なのは数人しか居ません、まぁ殆どが廃棄品碌なもんじゃありませんよ」


「明日は何時からやってますか?」


「大体10時位ですかね」


「明日なら見せて頂けますか?」


「気に入った奴隷がが居たのですか?あっ確かに凄いのが1人いますし、2人そこそこのが居ましたね なら9時30分位に来て下さい、オークマンさんの友人なら優先してお見せ致します」


「お願いします」


「お待ちしております」



「がはははっ礼二もようやく俺の言う事が解ったようだな、親父、此奴は俺の知り合いだ吹っ掛けるなよ」


「ええ、解っております」



しかし、歳下だとは思わなかった、嫁さん16人も居て親父みたいな喋り方する奴がまだ15歳なんてな...



「どうした礼二? 明日は此処に奴隷を見に来るんだろう?」



「まぁな、礼を言うよ...ありがとうな...」


「がはははっ俺の言った通りだろう?」



「ああっ、所でまた、何で食い入るように見ているんだ?」


「もう一人妻を増やそうと思ってな」


「また増やしたのか?」


「ああっ、これが俺の生きがいだ」


一夫多妻とはいえ凄いな...まぁ稼いで食わせているならいいのか?


「子供は?」


「ああ15人居るな」


本当に凄いやオークマンは...


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