第29話 リア充登場! オークマン登場

久しぶりにギルドの酒場にきた。



「すみません、礼二スペシャルお願いします」


「礼二、相変わらず酒じゃないんだな...あいよ、サービスでジョッキで出してやるよ」



実は、初めて、これを注文した時は大変だった。



「すみません、フレッシュオレンジジュースお願いします」


「此処は酒場なんだぜ、兄ちゃん!それになんだ!その飲み物は、どんな田舎の飲み物なんだ」


「がはははっガキくせーな」


「そんな飲み物聞いた事も無いな」



男の冒険者に思う存分馬鹿にされた。


知らないと言う事はこの世界に《オレンジ》が無いのかも知れない。


やっぱり、ミルクとでもいうべきだったかな。



「おい、いいじゃねーか? お前等だって最初は田舎者だったんじゃないか、礼二、そんな飲み物、ここらへんじゃ無いんだ、どんな奴なの」



「えーとですね、果物を潰して、飲むような感じです」


「そうなの? 果物を擦りつぶして飲むんだ、珍しいね....その果物ってこの中にある?」


似ている様で同じ物は無かった...だから、オレンジとレモンを合わせた様な果物を指さした。



「だって、マスター、どうする? 作る作らないはマスターの自由だけど」


「大した手間じゃないから、作ってやるよ」


「よかったね、作ってくれるって」


「有難うございます」



ただ、飲んでみた感じはオレンジというよりグレープフルーツみたいな味だった。


この世界に、果物ジュースという概念は無く、体の調子の悪い時に飲む、薬代わりそんな感じの飲み物だった。


そして...



「これ、すっぱくて美味しくないわね」


「まぁ体に良いのは解るが飲みたいと思わないな」



余り人気は無い様だ。


そして、この飲み物が解りやすい様に《礼二スペシャル》と呼ぶようになった。


まぁ僕だけしか飲まないけど《礼二スペシャル》美味しいのに...




今日は顔見知りと会う約束がある...



奇妙な縁で、オーグ事、オークマンと会う約束をした。





【過去 オークマンとの出会い】



オークマンとの出会いは最悪だった。


「きゃぁ、何するのよ!」


バチンッ...



「痛えっ、何するんだ」


いきなりサラのお尻を触った、その男がオークマンだった。


「お前こそ、何しているんだ、僕の連れに」



「あっこの子、相手が居たんだな、悪かったな」


まるでオークの様な気持ち悪い男が謝ってきた。


だが、直ぐに、遠くから見ていた憲兵が駆けつけてきて、オークマンを取り押さえた。


「この世界ではこの位貴族で無ければ見逃されるし問題にならない、まして貴方はモテて、相手はブスだ、だがサナさんは日本人なので日本の扱いが適用される、日本ではどんなブスが相手で、触ったのがイケメンでも痴漢行為は赦されない」


何だか被害にあったサナが悲しそうな顔をしていた。


それと同時に僕から見たら...どう見てもオークに似てて不細工な相手が《モテている》その現実が信じられなかった。


話は続いた。


「それでは、サラさん訴えますか? 訴えるなら直ぐに拘束します」


「結構です...」


サラは俯いている。


僕は少し腹が立ったのと、このオークマンに興味を持った。


まぁ、サラが良いと言うなら、それで良いだろう。


まぁ、体を触わられる位はこの世界では余り問題視しないみたいだ....


確かに日本も昔は結構寛大で昭和の時代なら



「ちょっと何するのよ変態」とかですんでいた。


昔のアニメの鬼娘がビキニで出るヒロインの漫画の主人公は...こんな事は日常茶飯事にやっていたよね。


多分、サラもオークマンに触られたより憲兵に言われた《ブス》の方がショックが大きいだろう。



「まぁ、悪気が無いみたいだから僕も良いですよ」



そういって解散した。


ただ、こんな男がどうしてモテるのか気にはなった。



暫くしてオークマンと再び会った。


まぁ冒険者で同じギルドだから会うのは当たり前だな。


「よう、兄ちゃんこの間は悪かったな、嬢ちゃんには詫びて置いたぜ」


サナにも謝ってくれたのならわだかまりを持つ必要もないだろう。


「謝ってくれたのなら、もう良いよ、サナも気にしてないみたいだし、だけど何であんな事したんだ」


「がはははっ俺は女は皆、幸せになって貰いたいんだよ」


「何いっているか解らないよ」


「だって...可愛そうじゃないか」



オークマンの話しによると、目の前に凄く不細工な女が居た。


男に縁が無く可愛そうな容姿をしていたので、元気を分けてあげようと思い、お尻を触ってあげた。


そういう事らしい...



俺から見たら、サナは、凄い美少女で、あまぁ秋葉系美少女アイドルに見えるが、確か...





「はぁ~っ...何言ってるのかな? 銀髪赤目の私が綺麗な訳無いでしょう? 奴隷として売られても不人気で買う人が居ないわよ?」


「どうして?」


「そうか、礼二はこの国の人じゃ無いから、知らないんだね! 目が赤いと不吉とか言われて嫌われるんだよ...まぁ迷信とは解っているんだけど傍にいると運が逃げるとか言われてね」





そうか、この世界では違っていたんだよな...


成程凄く不細工な女の子が可哀想だから、ちょっとイケメンの俺が触ってやったそう思っていたのか?


いや、此奴がイケメンなら解るよ、イケメンなら、だけど僕から見たら、凄く不細工なんだよ此奴。


前の世界の学校に居たなら、絶対に不細工ナンバー1だよ...信じられない。


だが、憲兵が言っていた《貴方はモテて》と間違いなく。



それだけが信じられない。



「だけど、僕はかなり離れた国の出身だからかな、貴方がモテるって言うのが信じられないな」


「俺の容姿がこれだからか? それは違うぞ貴族ならいざ知らず、冒険者なら、男は金だ、金と実力だ~っ!」


本気で言いやがった、此奴最低だな。



「ごめん、それでも信じられないよ」


「ならば、俺がどれだけモテるか教えてやるぜ、そうだ今度一杯ご馳走してやるよ、いやぁ他人の女の尻触っちまったからな」




「そうか? ならばどんだけモテるか見せてくれるのか?ありがとうな」


まさか、この男が本当にモテるなんてこの時の僕には信じられなかった。



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