第26話 此処はただのお化け屋敷ですね

人間が、草を取りに来るから、この場所は我々にとっては最高の狩場だ。


だから、この草が増えるように他の動物が近づかないようにしていた。


柔らかそうな肉と遊び道具になる人間が簡単に手に入る、貴重な場所だ。


ここに来る人間は弱いから簡単に殺せる、そして我々にとって貴重なメスも多いから貴重な狩場だ。


だがここに来る獲物の数が減っている。


この前に攫ったメスも何人も子供を産ませたから、壊れてきている。


犯そうが何をしようが反応しないから面白くない...そろそろ次を見つけて食べる時期だ。


次を探さなくてはいけない...だがここ暫く、避けるようにこの辺りに人間が来ない。


今日もまた....イタゾ...オモシロイオモチャが1ヒキに、ニクが1ヒキ...ナカマをヨボウ...狩の時間だ。



「礼二...本当に大丈夫なのよね!」



「そうだね! 普通の人間なら人生終わるけど、僕たちにはただのお化け屋敷だね!」


既に周りを魔物たちが取り囲んでいるのは知っている。


だが、僕たちは気にする必要は無い...どうせ触る事は出来ない、最もこっちも攻撃できないけど...


「お化け屋敷? 不味いよ礼二、とり殺されて死んじゃうよ?」



そうか、この世界にはアトラクションみたいなお化け屋敷は無いのか?


「間違えた、ただの見世物小屋だ」


「それなら良いんだけどさぁ!」


結局、採集でも問題が起きた。


多分だけど、日本に無い物は採集出来ない。


薬草は多分、名前が違うだけで日本にも生えている植物かも知れない。


他に「毒消し草」「痺れ草」「月光草」この辺りしか今の所採集できる物は無い。


その他は見えているのに採集出来ない、そんな草ばかりだ。


そして、この場所には一番高く売れる「月光草」が大量に生えている。


その金額は1束何と3万円...来る価値は充分あるだろう。


勿論、この場所に沢山生えているのに人が来ない理由はちゃんとある。


それは...オークの巣が近くにあるからだ。


しかも、このオークの巣には100以上居るとされているから誰も近づかない。


だが、そんなの僕たちには関係ない!


周りから、オークが現れた!


「ニンゲンガ..ココ二クルトハナ...バカガ!」


多分、あれが上位種なのだろうか? 片言だが言葉が喋れるという事はそう言う事なのだろうな!



「礼二さん! 礼二さん、本当に大丈夫ですよね、死んじゃいます! これ、もし間違っていたら死んじゃいますよ!」


「大丈夫だよ!」


僕はそのまま上位種のオークに突っ込んでいった。



そうしたら、体がすり抜けた。


「ニンゲン...」


その後もこの喋れるオークを無視して「月光草」を採り続けた。


「本当だ、礼二さん、本当に触る事もできないんだ」



当たり前だよ...日本にはオークは居ない。


だから、日本に括られている、僕達を触る事など出来る訳が無い。



大量のオークが攻撃を仕掛けてきたが、触る事が出来ない。


その状態が恐ろしくなったのか、オークたちは恐ろしい者でも見るような顔でその場から立ち去った。


「さてと月光草を集めようか?取り放題だよ!」


「うん、何も出来ない相手を怖がる必要はないね!」



二人は山ほどの月光草を採取して帰った。



その後、オークの間には触れない人間にすり抜けられると寿命が縮むという話が伝わった。


だが、そのせいで、オークは人間の男に出会ったら、すぐに、「こん棒で殴り確かめる」という考えが凝り固まりより被害が増えることになった。




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