第25話 【サイドストーリー】絶望の勇者パーティー

勇者 藤堂 祥吾


聖女 水上 静香


剣聖 東郷 梓



この三人にアカデミーからの大魔導士6名に貴族から選ばれた6名


合計15名が魔王討伐に選ばれたメンバーだ。


だが、此処に来て、静香と梓の気分はすぐれなくなっていた。


その大きな理由として自分達を除く24名(最初に緑川と居なくなった6名は別)のうち、既に14名が亡くなったと言う話を聞いたからだ。


最初に居なくなった礼二を入れると合計34名...そのうち14名が亡くなってしまったのだ。


残りは20名だが、そこから、最初に離れて行った礼二1名、更に緑川達6名は戦いと無縁の場所に行ったのかも知れない。


20名から7名を引くなら13名。


そう考えるなら戦いを選んだ者の半数以上が死んでしまった事になる。


此処に来て2名は気がついてしまった。


これは小説の様な話ではない...


リアルな話なのだと。



静香は思い出す...自分が読んだ小説の中に「聖女」が死ぬ話があった。


梓は思い出す...自分の見たアニメでは剣聖が犠牲になって仲間を助ける話があった。



それは、物語だから楽しく見ていただけで、自分が登場人物だったらそうは思えない。



「ねぇ梓!私聞いてしまったんだけど既にクラスの皆のうち14名が死んだらしいよ」


「うん、余り知られない様にしているみたいだけどね...」



「それでね、私達は大丈夫なのかな? 強い筈の仲間が皆死んでいくんだからさぁ」


「多分かなり危ないんじゃないの! 私達は確かにクラスメイトより強いと思うけど...相手は一番強い魔王なんだよ! 勝てる保証は無いんじゃないのかな!」



「実際は、今戦えば確実に恐らく負けるのはこちらだと思う...多分普通の魔族にすらまだ勝てないらしいよ!」


「それ、凄く不味いんじゃないかな?」



「不味いと思う! 今の祥吾は騎士とようやく互角なんだから、自分達が勝てないから私達を呼んだのに...そこの人間にすら勝てない」


「それって」



「そう、今の所私達は役立たず...このまま行くと魔王が勝って人類が終わるのかも知れない」


「多分、そうはならないよ! 今迄勇者が勝っても魔族は滅んでいない...逆に魔王が勝っても人類は滅びてない! 大きく世界の均衡が傾くだけ」



「だけど、私達は必ず死ぬという事だわ」


「そうよ...私達は魔王と決着を付けなくてはならないから「生死」を掛けた戦いをしなくちゃならない」




「結局、何が言いたいの?」


「私達三人は、最早逃げる事は出来ない...そして今のままだと死ぬのは多分私達、そう言う事だわ」



「それでどうするの?」


「どうする事も出来ない...だけど、死の覚悟は必要そう言う事よ」



「はぁ...もうどうする事も出来ないのかな..」


「仕方ないよ...此処しか居られる場所が無いんだから」




「異世界転移...碌な事じゃないよ」


「小説やマンガみたいな話じゃないね...」



二人はようやくこの世界が本物なのだと気がついた。







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