第11話 賃貸もやはり得だった...
ギルドで不動産屋の場所を聞いて向かった。
サナが腕を絡めてくる。
それがちょっと嬉しい。
「どうしたのかな礼二? 顔が赤いよ?」
「そりゃ、サナが傍に居るからね!」
「そう?」
顔を赤くして俯いているサナが凄く可愛く思えた。
暫く歩いていると、レンガ作りの建物が見えてきた。
此処が多分不動産屋だ。
「礼二、部屋を借りるつもりなの? 部屋の借り賃って結構高いと思うよ?大丈夫なの?」
「うん、正直言って解んないな...最悪見るだけになるかも知れない」
「そりゃそうだよね!」
とはいう物の僕の中では恐らく「余裕で借りられるだろうな」そう思っている。
「いらっしゃいませ! 今日はどういったご用件でしょうか? 賃貸ですか? 物件の購入でしょうか?」
「賃貸の物件でお風呂とトイレが付いた物で、狭くて良いんでセキュリティーがある程度高い物を見せて下さい!」
「畏まりました」
「礼二、そんな貴族や上位冒険者が借りる部屋、勿体ないよ! トイレは兎も角お風呂なんて貴族でも無ければ水浴びか公衆浴場に行くのが当たり前なんだよ!」
「まぁ見るだけ見てみようよ!」
お風呂とトイレが付いた物件その物が少なく、あっても屋敷が多かった。
お風呂とトイレがついていて部屋だけを貸す様な物は6件しか無かった。
その中の一つが僕には凄く便利に思えた。
「すみません、これの借り賃は幾らですか?」
「こちらですか? この国の人間が借りるのであれば1か月あたり金貨8枚ですが、礼二様は日本人なので日本の金額が適用されます。王都とはいえ人口は20万人以下なので日本の都心部とは一緒に出来ません、精々が日本の地方都市レベルです。そう考えますとおおよそ月2万5千円位が妥当ですが...キッチン、トイレ、お風呂、魔法石の空調はありますが、日本では当たり前のネット環境とテレビはどうしてもつけられません...その分の減額として1か月の家賃が1万5千円になります」
思ったより安い...そうか王都とはいえ人口から考えたら東京とは全く違う田舎街扱い、そういう事か?
まぁ理屈は解らないが得だから良いや...
「それじゃ、これに決めようと思います!」
「畏まりました、こちらは日本で言うと条件が悪い部屋になりますので敷金が1 礼金が1 前家賃1 取引手数料が0.5 今月の家賃が1ですので合計6万7千500円になりますが宜しいでしょうか? 管理費も込になります」
保証人が必要という事だったが、国が発行してくれた身分証明書を提出した事で、別に家賃を1か月分預ける事で問題無く契約が終わった。
合計8万5千円を支払い...鍵と契約書を貰った。
「さてと家具や生活に必要な物を買いに行くか?」
「礼二って凄く金持ちなんだね! あんな貴族じゃなくちゃ、借りないような部屋をあっさり決めちゃうなんて!」
「金持ちと言うよりは国の制度で恵まれているんだと思う...」
「凄いね、それ」
「サナにも適応されるみたいだよ!」
「そうなの?」
「後で試してみようか」」
「うん」
家具屋に買い物に来た。
この世界の家具は一般人用の物は中古品を使い回すのが普通だ。
「そうか、家具も買わないといけないんだね」
「最初は、ベッド二つテーブルに椅子2個...ソファ位かな」
「やっぱり礼二は良い所の出なんだね...ソファなんて普通の家に無いよ..」
一緒に家具を見て回った。
「これとこれで良いか?」
「ベッドは大き目の物一つで良いよ...後は予算があるだろうから礼二に任せるよ!」
「解った、それじゃさっき見た物でベッドだけダブルベッドにすれば良い?」
「うん」
「すいません」
「はい、ただ今...どれかお買い上げですか?」
「はい」
店員に自分の欲しい物を伝えた。
「はい、日本で言うとこちらのお店はリサイクルショップになります。礼二様の場合は日本の価格が適応されます。作りを比べた場合、作りが悪いので...リユース家具としては不良品みたいな扱い...ジャンクになりますので全部で1万5千円...配送料に8000円、頂きますので2万3千円になりますが宜しいでしょうか?」
「それじゃお願い致します...夕方の届けは可能ですか?」
「はい可能です」
「凄いね、此処でも即買い上げなんて」
いや、これ物凄く安いんだが...まぁ確かにウミアや二ドリに比べたら質は悪いし、倉庫市場とかオンハウスだと確かにこの位の物だろう。
「凄いのは多分、僕の国だから」
「凄いね、礼二の国って凄く幸せな国なんだね」
「うん、僕もそう思うよ」
その後、食器やナイフ等生活に必要な物を揃えたが...100円ショップより質が悪いと判断されたのか殆どが100円以下。
以外にも高額だったのは寝具だった、確かに天然物だから仕方ないだろう...それでも質が悪いと判断されたのか一式1人4000円だった。
二人の洋服も上下で1000円以下、下着に至っては300円位だった。
「ふぅーこれで一式揃ったかな?」
「今日一日で随分お金を使ったみたいだけど大丈夫なの?」
20万も使って無いけど、この先を考えたらもう無駄使いはしない方が良いだろう。
「結構、使ったな...まぁ新しい生活だから仕方ないよ! 今日は家具が届いたら外食をして、その後はサイフの紐を締め付けるよ! 明日からはお仕事頑張ろうね!」
「うん」
家具が届くと、サナと一緒に部屋に配置していった。
余りに嬉しそうだから、話を聞いてみたら、サナは安宿に泊まるか、お金が無いと路上生活をしていたとの事だ。
「よくそれで襲われなかったね!」
「また、忘れている...銀髪、赤目の女なんて襲う訳ないよ!」
「だけど、僕から見たら普通に可愛いから目の毒だから気をつけてね」
「気をつける必要無いよ? 私は礼二の奴隷なんだからいつでもウェルカムだから!」
礼二は自分が凄い美少年だと言う事を良く忘れる...なんでかな?
「解った...それじゃ何か食べに行こうか?」
「うん」
二人で定食屋に入るとやはり、日本人専用メニューになっていた。
「どれが良いか解らない...何でオークのステーキとか注文出来ないんだろう?」
「まぁ日本人だからね、僕に任せて貰って良い?」
「解らないから、良いよ任せる...日本人ってこういう所は不便なんだね」
だったら、これだ。
「すみません、ステーキセット二つ!」
「ステーキって何の肉なのかな?」
「食べてのお楽しみ!」
届いた肉を見て最初警戒していたけど、僕が食べ始めるとサナも食べ始めた。
「このお肉、何のお肉...オークどころかミノタウルスより美味しい...こんなの初めて!」
「牛というミノタウルスに似た生き物だよ...まぁ味は凄く美味しいでしょう!」
「桁違いに美味しい...凄い」
一心不乱に肉を頬張るサナを見て、やはり食事も日本の方が美味しいんじゃないかな?
本当にそう思った。
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