第10話 奴隷の代わりに「愛人契約」と「雇用契約」を結びました。

朝起きたらサナが居なくなっていた。


僕は日本人...特殊な存在。


パーティーを組んであげたくても、僕は戦う事が出来ない。


ゴブリンからもサナを守ってあげることは出来ない。


収入も多分討伐が出来ないから、たかが知れている。


そう考えたら下限が高い分上限は低い。


そんな僕が誰かと一緒になんて出来ないな...


僕は前の世界も、今も1人ボッチだ。


くくり姫が傍に居てくれたけど...他には爺ちゃんと婆ちゃんしか居ない。


爺ちゃん、婆ちゃんはきっと僕が居なくなって悲しむだろうな...


だけど、僕が居なければ、生活は潤う...そう考えたらこれで良かったんだろう。




さてと今日もまた薬草の採集をしますか、まずはギルドでと...


あれっ、サナがギルドの受付で話し込んでいる...なんだあれっ。



「礼二、朝からずうっとギルドで話し込んでたんだけど...あったよ! 私が奴隷になる方法!」


「すいません礼二様...朝からしつこくて申し訳ございません、ギルドとしては答えない訳にはいかずに...」




「あの、何でそこまで僕の奴隷に拘るの? 自由に生きた方が幸せだよ...絶対に!」




「それじゃ、話を聞いてくれる?」


「解ったよ...」



サナは目が赤いから元から嫌われていて、恋愛も友人つきあいも無い。


その様な状態で、ゴブリンに犯されてしまったから...もう絶対という程男性付き合は出来ない。


そう言う話らしい...


「昨日も言っていたけど、サナは可愛いからそんな事無いって」


「私の事を知らないからそんな事言えるんだよ...礼二の国じゃ知らないけどさぁ...私の容姿だとこの国じゃ性処理奴隷としても値段がつかないんだよ」


マジか? 元居た世界なら秋葉系アイドルが出来そうなんだが...


嘘かも知れないな..受付のお姉さんに聞いてみた。



「赤目と銀髪はこの国だと女として終わってますね...お金を取る所かお金を貰っても抱きたいと思う男性は少ないですね..」


本当なんだな..


「あのさぁ...どうしても僕の奴隷になりたいの?」


なんだか、昔の僕みたいだな...いやそれ以下か...



「うん、礼二と一緒に居たいんだ...私の為に何かしてくれたのは礼二だけだから」


このまま異世界で一人で居るのもな..正直ここ迄言ってくれる相手にはもう出会えないかも知れない。


うん、待て僕は王宮からお金貰って居たよな?


すっかり忘れていたよ...


幾らだったかな?


ギルドの残高は46万円ってことは賃貸が借りられるじゃないか?


僕の住んでいた地域の1か月の家賃がバストイレ付きで4万円位..敷金が2つ礼金が1つ謝礼金1つ前家賃1つ6か月分で考えて24万円。


どうにかなるか...



サナは昔の僕やくくり姫と同じなんだ...痛いけど仕方ない...ここで見捨てるなんて出来ないな。



「そんなに成りたいなら良いよ、その方法が有るんなら良いよ!」



「そう、あはははっ凄く嬉しいよ..ありがとう礼二!」



「それでは、礼二様とサナさんの同意がありますので、愛人契約と雇用契約を結ばせて頂きます」


えっ、そういう契約になるのか?


「「はい」」



「まず、礼二さんが助けたサナさんの価値ですが、腎臓一個 約2600万円、肝臓 約1570万円、心臓 約1200万円、肺(片方) 約1000万円、骨髄(1g) 約200万円等、から人間の価値を見出すとおおよそ30億円になります。 但し、保険から計算するなら2000万~2500万になります。攫われて殺されたり、食べられる事からの換算方法が日本にはありません...そこで一番多い解釈の人間の価値は2億円で計算させて頂きます」



(注意:人間の価値の計算方法が下は1万円以下~31億円まで所説あるのですが...ここでは2億円にしてみました)



「そういう計算になるのですか?」


「私は生涯奴隷のつもりなので幾らでも構いません」




「まぁ、こういう契約は日本では公共良俗ギリギリなので法的には微妙です...ある事はあるという解釈でお願いします」



「「はい」」



結局、僕はサナとの間に「愛人契約」と「雇用契約」を結ぶ事になった。


サナが僕に助けて貰えなければ「死んでいた」そう言う事からの換算で2億円の借金を「愛人」と「雇用」で払うそういう内容だ。


だけど、これって確か、昔「愛人」を商売にしていた人が行っていたけど...確か裁判で、有効かどうか争って全部は認められなかった筈だ。


まぁ一部は認められたから..有効という判断になったのか...



まぁ僕には解らないな。


どうも基準が解らない。



「それでは、こちらの書類はギルドが証人になりますので3万円ギルドが頂きます..この金額は公証人費用から考えた金額です」



(この金額は出鱈目です)



そうか...僕が納めないといけないのか..仕方ない。



「はい、お金を降ろしてきます」



「あの、説明が終わったのなら、私は少し席を外して良いですか?」


「どうぞ!」




「はい、3万円です!」


「はい徴収しました」


「ついでに保険料も納付させて頂きます」


「有難うございます」



「あの...ギルドは日本人に対して役所の殆どを兼ねるので、こういう話を聞かれたのでしましたが...宜しかったのですか?」


「何の事でしょう?」



「いや、ギルドの人間が言う事では無いですが、礼二さんはそのお綺麗ですし...凄くモテますよ? わざわざあんなに醜い奴隷を持たなくてもパーティーを組みたい女性も選び放題だし、交際したいなら幾らでも相手に困らない筈です」



そうか? くくり姫の容姿だから当たり前かっ。


「僕の場合は特殊だからね...」



「あの、収入の事なら年上の女性と付き合って養って貰えば良いんですよ..私もギルドなので高収入」


「それはギルドの職権乱用になるんじゃないのかな?」


「失礼しました、これで手続きは完了です...では失礼します」



チィ奴隷の癖に...


「何処に行ってきたの?」


「これ入れて来たの!」


サナの胸の上側に入れ墨が入っていた。


「何それ?」


「ほら、日本人相手の奴隷契約の場合は奴隷紋を入れないから、そっくりなのを入れてみたんだ..ちゃんとレージと入っているんだよ」


そんなに奴隷になるのが嬉しいのかな...まぁ良いか? 喜んでいるし..



「あのさぁ...何で奴隷になっているのに嬉しそうなんだ?」


「そりゃ礼二と一緒に居られるからね?」



だけど、本当ならこの契約、まるで詐欺師が女を追い込むような物なのに...



「そう?」


「うん!」



サナがこれで嬉しがっているんだから良いんだよな...



考え事していたら、頭の中にアナウンスが流れた。



《サナを日本に括りますか?》



「サナって家族とか居るの?」


「居ないよ? 私こんなだから捨てられたからね?」


「どうやって生きて来たの?」


「物乞いや、かっぱらい...あっ冒険者に成れてからはちゃんと薬草採取やドブ掃除とかかな?」


「なら、僕と同じになる?」


「礼二とお揃い? 何を言っているのか解らないけどなるよ!」



(括る)そう願うと....



《サナさんを日本に括りました、尚これは内縁関係が解消されますと自動的に解消されます》



内縁...愛人だからか?


まぁ良く解らないけど...良いや。


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