第9話 彼女を抱く意味
サナさんが言っていた。
「しなくちゃいけない」って何でだ...
「凄いね、ここ気遣ってくれてありがとう...礼二さんもお風呂入ってきなよ」
言われるままにお風呂に入った...さっきの言葉が気になって仕方ない。
ゆっくり浸からず...カラスの行水で出た。
「早かったね...」
既に証明はやや暗くしてあった。
貴族用の物らしく恐らく魔石等を使って照明にしているのか...薄暗くなっている。
「あの...するってあれだよね」
「うん、そうだよ..早くしよう」
頭がパニックになる...確かに助けたし、彼女は可愛い。
だが、何で直ぐにこんな事になるんだ...股から血を流していたから経験も殆ど無い筈だ。
「何で..」
「あっ、礼二は日本人だから知らないのか...ううっ話したくは無いけど仕方ないな」
サナはゴブリンに犯されて、妊娠する可能性がある。
ただ、異種族の精子より同族の精子の方が強いので、同じ人間と交わればゴブリンの子を孕む事は無い。
その為に、今日だけで良いから相手して欲しい。
そういう事らしい。
確かにゴブリンの子供なんて孕みたくないだろう...だけどそれだと僕の子供を孕んでしまう可能性があるんじゃないのか?
「ちょっと待って! それだと僕の子供を孕んでしまう可能性があるんじゃないか?」
「それなら大丈夫...人間用なら避妊薬があるし持っているから...後で飲むわ」
こういう理由なら仕方無いのかな...
「解った、だけど僕はそんなに経験無いからな」
「うん、良いよ...私は、あはははっゴブリンだけだし..」
何、何、何...頭を撫でられるだけで..ふぁぁぁぁ何だか安心する。
経験なんてない...だけど、それでもこれが普通じゃないのが解る。
誰が見ても、2人と居ない程整った顔で...こんな事されたら...駄目だ、離れたくない...奴隷でもなんでも良いから傍に居たくなる。
「はぁはぁはぁ..何だか凄く手慣れていない...体が普通じゃ無くなるよ...」
「そう?僕は全く経験が無いから解らない」
礼二はくくり姫を信仰していた。
その神主で氏子...ずっと拝み崇めていた礼二に何もご利益が無い物だろうか?
たかが受験で拝むだけの存在にご利益がある...そう考えたら、たった1人の神主で氏子。
その礼二には、ご利益が無い筈がない...そのご利益はくくり姫の存在から考えると...性的な物。
まして、神道では「まぐあい」は大切な儀式である。
「そんな可笑しい...可笑しいよ...これがそう言う事なら、嫌がる女なんて居ない筈だよ..気持ち良くて切なくて..あああああっ」
「終わったよ...これで良かったのかな...」
「礼二..これで良いんだけど? もうちょっとしない?」
「サナさぁ...ちゃんと自分は大事にした方が良いよ? 今回は仕方ないけど、誰かの奴隷になろうとしたり、好きでもない男に抱かれようとしたり...気持ちは解るけど、自暴自棄になっちゃ駄目だよ...」
礼二が何を言っているのか解らない...私がそんな事する訳がないじゃない...こんな良い男逃がしたくないからやっているのに。
「確かに、多少は自暴自棄になっているけど、誰にでもこんな事しないよ? 相手が礼二だからだよ! カッコ良いし...優しいし、正直ドストライクだからね」
確かに、この姿はくくり姫そっくりだ...間違いなく美男子だ。
だけど、それを言うならサナは...銀髪にやや赤い目、普通に美少女だよな。
こんな容姿の子がモテない訳が無い、だけど1人で活動していた。
と言う事は、パーティーを組んでいないのか?
可笑しいな?
「確かに僕は容姿はそれなりに良い方だと思うけど、それを言うならサナだって充分綺麗でしょう?」
秋葉原とかに居る美少女コスプレイヤーに見える。
しかも髪も目も本物なんだから...まぁ、くくり姫に出会ってなければ間違いなく1番だ。
「はぁ~っ...何言ってるのかな? 銀髪赤目の私が綺麗な訳無いでしょう? 奴隷として売られても不人気で買う人が居ないわよ?」
「どうして?」
「そうか、礼二はこの国の人じゃ無いから、知らないんだね! 目が赤いと不吉とか言われて嫌われるんだよ...まぁ迷信とは解っているんだけど傍にいると運が逃げるとか言われてね」
「僕はそうは思わないよ...友達や仲間も居ないの?」
「居ないわ」
「そう、それじゃ友達になろうか?」
「嘘、なってくれるの?」
「良いよ」
「ありがとう...それじゃ奴隷にして頂戴」
「無理なのは知っているよね?」
「それじゃパーティー組んで」
「無理」
「お嫁さんにして」
「いまの所は無理」
「あのさぁ...礼二本当は私の事嫌いなんじゃないの?」
「そんな事は無いよ?」
「はぁ良いわ...腕枕してくれる?」
「それ位なら良いよ」
「ありがとう!」
そのまま二人で眠った。
朝起きた礼二が起きた時、サナは居なくなっていた。
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