2.チュートリアルその2
「チュートリアルでいちばん難しい魔法の時間だよ!」
「魔法?」
「そうだよ!魔法には色があって、赤青緑黄白黒の基本六色と、それらを組みあわせた混色があるんだけど、今から教えるのは基本六色だよ!」
「なるほど?」
「じゃあ好きな色を教えて!」
好きな色なんてない。けど強いて言うなら、黄色かな。レピィの黄色く光る羽は私が初めて綺麗だと思ったものだから。
「黄色」
「よし、じゃあキミに黄魔法を授けてあげよう!」
レピィが私に手を向けると、手のひらから黄色い光が出てきた。それは反応するまもなく私の体に吸い込まれて言った。
「大丈夫なの?」
「ステータスを見るがいいさ!」
―――ステータス―――
N:リル
J:冒険者
LV:1
HP:10/10
MP:10/11
B:1
STR:10
INT:11
AGI:10
DEX:10
SKILLS
〈ステータスLV1〉〈魔物図鑑LV1〉〈直感LV1〉
〈黄魔法LV1〉
―――――――――――
「色々増えてる」
「職業が付いてスキルが増え、黄魔法を手に入れてステータスが上がったみたいだね!」
スキルの使い方は何となくわかる。だけど黄魔法だけはよく分からない。
「魔法は呪文を唱えることで使うことができるんだぞ!呪文を意識して!」
呪文…なるほど、魔法は他のスキルとは何かが違う。
「我が道を照らせ…
呪文を唱えると、体の中から何かが減った感覚と同時に、目の前に光の玉が出現した。
「上手くできたみたいだね!灯火は一定時間光の玉を浮かせる魔法だよ!INTは魔法の効力に関わっていて、DEXは魔法の効率に関わっているよ!MPは魔法を使う時に必要なエネルギーだよ!」
「魔法を使わないならINTやDEXやMPは低くてもいいってこと?」
「…ボクは満遍なく全てのステータスをあげることをおすすめするよ!」
「レピィ?」
少し真面目な顔で言ったレピィが妙に気になった。
「あ、忘れてたけどAGIは素早さのことだよ!これでステータスの説明は終わり!ログアウトする時は頭の中で考えればログアウト出来るよ!次ログインする時にその場所に出るからログアウトする時は気をつけてね!」
「いや、ちょっとまっ」
「それじゃあばいばい!良い旅を!」
何かを誤魔化すように追い出された私は、どんどん強くなる太陽の光に意識を飲まれた。
♢♢♢
「…レピィ?」
目を覚ますと、私は広場にいた。私と同じくチュートリアルを終えたばかりのプレイヤーで溢れかえっていた。
レピィの様子は気になるが、今は切り替えよう。
「冒険者ギルドに行こう」
プレイヤーが沢山流れていく方向を辿れば直ぐに冒険者ギルドに着いた。
正面には受付があり、その横には換金所があるみたいだ。
スライムの魔石を売ろうと換金所に行ったが、どうやら冒険者カードを作る必要があるらしく、受付に並ばされた。
「ふざけてんのか!こっちは1人死んでんだぞ!」
怒号が響き、ざわめきが一瞬で静まった。
怒鳴ったのは受付にいたスキンヘッドの大男のようだ。
「冒険者が死ぬのは自己責任です」
「なんだとてめぇ!ヤマが死んだのはギルドのせいだろうが!」
「言いがかりはやめてください。それ以上言うなら冒険者カードを剥奪しますよ?」
「…!くそが!」
言い争いは受付が勝ったようだ。
スキンヘッドは顔を真っ赤にしながら冒険者ギルドを出ていった。
「次の方ー」
「はい」
「ギルドの登録ですか?」
「はい」
「手を出してください。無料ですので安心していいですよ」
有料だったら無一文のプレイヤーはギルドに登録出来ないから無料なのか?だとすると、さっきの冷たい対応は無料だからこその扱いだろうか。冒険者はギルドにとって簡単に切り捨てられる存在か。
「はい、出来ました。このカードは身分証明書にもなるので無くさないでくださいね。無くしたら再発行に10万イェンかかりますので」
イェンはこのゲームの通貨のことだ。Yと略されたりもする。現実の円ほぼ同じ価値だ。
「身分証明書にもなるの?」
「はい。他にも魔物討伐の記録を行ったり、クエストの受注をしたり、お金を預けたりできます」
「便利だね。教えてくれてありがとう」
最も、今は預けるお金なんてないのだけど。
お金を稼ぐためにも、クエストを受けてみようか。カードをタッチすると、クエストがたくさん浮き出てくる。
今の私の冒険者ランクはE。なったばかりのひよっこ冒険者だからか、クエストは簡単そうなものばかりだ。
「これにしよう」
―――クエスト―――
目標:ゴブリン10体の討伐
報酬:2000Y
備考:最近ゴブリンが多く見かけられている。上位種が生まれた可能性があり、見つけた場合は直ぐに報告すること。
――――――――――
ちなみにスライムの魔石は100Yで売れた。
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