第3話:変わる教室内の空気
(ピコーン)俺のスマホにメッセージが届いた。
席についてスマホのメッセージを見る。遥からだった。
『鈴木くんに口止めした? 彼を助けたら感謝の気持ちで教室の人に伝えるわ』
マジか!? かといって、悪いことをしたわけじゃないし、俺も「誰にも言うな」とか言ってない。鈴木は何も悪くない。
「鈴木はなんて言ってるんだ?」
遥かにメッセを返した。そもそも遥は今まで俺と一緒に屋上前の踊り場にいたはず。なぜ、教室内のことを知っているのか!
俺の席の前が遥かの席、彼女は座ったままくるりとこちらを向くと、スマホの画面を見せてきた。
どうもクラスのグループチャットらしい。俺は入っていないので、彼女に見せてもらわなかったらその内容を知ることはできなかった。
『さっき、
『ま!?』
『田中からいじめられない様にしてくれたみたい!』
『でも、ボロボロになって足を引きずって来たってことは、ちょっとはボコられた?』
『あれは、神庭くんの指示でボコられたっぽくしてただけ』
『神庭≠いじめっ子!?』
『神庭≠ヤンキー!?』
『そう言えば、俺 ボコられたことない!』
『俺も! 威圧的な態度はあったけど、ボコられてない!』
『ボコられたヤツって、クラスでもイキってるヤツらだけじゃね⁉』
『
須河内と陣内と安彦は3人でつるんでいて、手がはやいヤツらだ。黙って見てると、すぐに周囲のヤツに手を出してケンカになる。しかし、一度自分よりも弱いと判断するとそいつを集中的にいじめる傾向にあった。
そんな事になってしまったら、俺が目立たない。俺がクラスで一番悪いヤツでないといけないのだ。
そんな事を考えながら、遥のスマホの画面を見ていると、彼女は半眼でこちらを見ていた。
改めてみても井口遥の顔は整っている。顔の各部の配置や大きさは黄金比と言っていいだろう。何の知識もなくてもこれ以上ないくらいにきれいだ。
今でこそ半眼で俺を目だけで責めているが、それでもその美しさは陰ることがない。
髪は背中まである長さの黒髪で、艶が美しい。彼女がシャンプーのCMをしたらその商品が売れすぎて日本から消えるだろう。
成績も良くて入学以来ずっと学年1位という強者。
唯一の汚点は、俺と家が隣同士というだけの幼馴染であり、俺の許嫁にされてしまったことだろう。
「クラスでの評判が爆上がりね。これを狙ってたの?」
そんな訳がない。ちくしょう! 失敗した! なんとか周囲からの畏怖を取り戻さないと!
俺は不意に立ち上がり、教室の後ろに歩き始め、山中の机を蹴り倒した。
「面白くねぇ! 俺は帰る!」
訳も分からずキレ散らかして、教室から逃げた。山中は普段教科書などを机に入れないので、被害はそれほどなかっただろう。ただ、何か大事なものが入っていたらすまん!
なんとかしたつもりだったが 早速、翌日事件は起きたのだった。
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