14 ただいま

前書き

ちょっと長め


本文

 プラスチックなどの廃棄物で汚れた 海!




 畑を荒らす鹿がたくさん生息している 山!!




 超究極スーパーアルティメット少子高齢化によって活気の失われた 町!!!






 懐かしき故郷に、俺は遂に帰ってきた。


 だが、ここで慌てたりはしない。


 俺にはとっておきの素晴らしい能力がある。これを使えば簡単にお金を集める事ができる。家に帰るのはその後でも良いだろう。ダレスの事を説明するのも面倒臭いし。


 


 まず始めに、コピーを大量に作り出す。クマネズミの全長である20センチメートルくらいで良いだろう。そして、太陽光発電システムを付ける。これで何かしなくても勝手に動き回るはずだ。更に透過システムも付ける。ネズミやGゴキブリのように駆除されては困るからだ。


 与える命令は二つ。小銭を集める事と人の監視だ。自動販売機やクレーンゲームの下といったお金がたくさん落ちていそうな場所は念入りに探すように設定する。


 空間を歪めて、これを日本各地に大量に解き放った。その数ざっと500000000。余計かもしれないが、多いにこした事はないだろう。


 仕上げに、再び空間を歪め世界に向けて8000000000放った。世界のお金を集めても、変換するのが面倒臭いので監視の命令だけを与えた。世界総人口の正確な数は知らないが、足りなかったら追加すればいいだけの話だ。




 後はダラダラと待つだけだ。


 新聞紙を作り出してバサッと床に落とす。そこに寝っ転がった。




「ねぇ my father」




 ダレスが話しかけてきた。しかも英語を使ってだ。覚えた物を使いたがる時期なのだろう。そのうち飽きる。




「どうした my daughter」


「何で寝転がってるの?早くお祖父さんとお祖母さんの家に行こうよ!暇で暇で仕方ないよ」


「まぁそう焦るな。暇なのは分かるが、moneyを集めておかないと生活費がなくなる。しばらく滞在する予定だからな」


「お金かぁ~。食べ物とかと違って、それ自体に直接価値があるわけでもない気がするから、なんか不思議~」




 説明を求めるように、俺の方をチラチラ見てきた。


 お金の説明とかかったるいし、俺の認識が間違っている可能性もあるからあんまりやりたくないんだけな。頑張りますか。




『頑張れー』




 応援ありがとう。




『おうとも』




 さて、




「むか~し、昔 ある所に狩人がいました。狩人は肉を食べていましたが、日持ちせず失敗する事もあるので、苦労していました。一方、田んぼを作り、米を食べていた人達がいました。日持ちもするし安定して採れますが、肉よりは美味しくありません」




「お米って不味いの?」


「まあ、待て。細かいとこはツッコむな。そこは大切じゃない。あと米を美味しい。······続けるぞ?」


「うん」




「利害が一致した両者はお互いに米と肉を交換しました。これが物々交換というやつだ。ところがこれは持ち運ぶのが大変だ。だから、軽いお金ができたのさ。貝とか石とか儀式に使った金属とか。これがお金の始まり」


「貝?どうして?そのまま食べたのも使えるなら無限だよ?」


「ある程度希少なのを使ってたんだろ、多分」


「ふ~ん、なるほどね」




 良かった。理解してもらえた。


 俺は胸を撫で下ろした。




 ダレスは再び暇になり、ブラブラと目の見える範囲をふらついている。


 そして、一輪の花の前で止まった。




「パパ見てみて」




 どうやら英語は飽きたようだ。


 花を指差して楽しそうだ。




「これはタンポポだな」




 キク科タンポポ属で漢字だと蒲公英。黄色い花弁が特徴的で、今回のタンポポの高さはだいたい12センチメートルだ。




「食べれそうだよ。食べていい?」




 植物は食べ物。なるほど、どっかで見た事のある特徴だ。




「栽培されているのとか、山奥に生えているのなら洗えば食べられるけど、これは駄目!絶対に口に入れたら駄目。道端のはもう本当に駄目」


「何で!」




 お腹がすいたのか怒っている。




「葉っぱの裏側を見れば、どうしてこんな事を言うのか一目瞭然だ」




 ダレスは葉っぱの裏を見て驚いた。




「何これ!?真っ黒だよ。ばっちい」


「葉っぱの裏には気孔っていう穴がたくさんあって、そこから空気を入れ換えているんだ。でも、車から出る排気ガスが凄いからね。変な空気を吸ってこんなになったんだ」




 中学二年生なら常識だね。そこそこ勉強しておいて良かった。




「これは食べられないね」


「この星にあるのはだいたい汚いから、売っている物以外は食べちゃ駄目だからね」


「それを食べるのにもお金がかかるの?」


「そう。無償でくれる優しい人がいたら、裏がある。誘拐とかされるだろうな。災害時は別だけど」


「災害が起きればタダ?」


「量も少ないし、死ぬ可能性もあるから割に合わない」


「じゃ、駄目だね」




 そろそろ良いかな。


 俺は空間を歪めコピー達を戻した。監視用は8686万4274個が使われた。女性は子供を作る可能性もあるので予備2000万個がふよふよと浮いている。妊娠すれば連絡を受けていつでも駆け付けるだろう。


 つまり、3億9313万5726個のコピーが戻ってきたという事だ。コピー一個一個がお金を持っている。たまに持っていないのも紛れている。




「凄い!こんなにお金が手に入るなんて、素晴らしい!!!」




 ざっと数えた感じ500000000円はくだらない。これで俺は大金持ちだ。好きな漫画やライトノベルが買い放題だ。それでもまだまだ余りそうだ。札束風呂にだって入れる。やったね!




「でもさ、泥とか埃が付着してて汚いよ?」


 


 ダレスがいちゃもんを付けてくるが、何の問題もない。ノープロブレムだ。無問題もうまんたいだ。




『ノープロブレムの意味、間違ってない?』




 英語の授業でもノープロブレムの話なんてしないから、あんまり気にするな。




『気にしろよ』




 分かった分かった。間違ってたらごめんって事で。




『言葉は大切だよ。教えるなら尚更ね』




 英語は教えないようにしよう。




「泥とか埃なんかは、水で洗い流せばいいのさ」




 札を避けて小銭だけにする。


 この小銭を網の上に置き、上から水をドバーっと流せば汚いものは落ちる。細かい汚れはスポンジでゴシゴシすれば良いだろう。




「汚いものは下に落としっぱなの?」


「あー、吸収すればいいか」




 環境を守る為に下に身体を伸ばして吸収させた。エネルギーは微々たるものだが、無いよりはマシだ。




「なんか、パパ汚い」


「えぇ!?そんな事ないって」


「んー」




 身体の汚れや匂いも吸収できるから、衛生的にも清潔なはずだ。




 ある程度汚れを落としたら、水をきってコピーに洗わせる。


 頑固な汚れを取り除いたら、酢に浸かしておけば綺麗になる。一円から五百円まで全部だ。もしかしたら知識が間違っている可能性もあるが、結果としてそこそこ綺麗になったので良いだろう。


 そして、ここからは分別だ。ゲームセンターにまで行かせたせいで、謎のメダルが紛れ込んでいる。エネルギーをけちったせいで細かく別けられなかったようだ。専用の機械を作りだし、ついでに一円から五百円まで細かく仕分ける。謎のメダルは吸収した。




 さて、問題は札だ。綺麗にする方法を知らないので汚い。とりあえず、風を噴出して表面の汚れは取った。


 こっちにも期限が切れた謎のクーポン券が紛れ込んでいたので吸収しておいた。




「綺麗にしたけど、小銭のままかぁ。破れた札もあるし、銀行で万札にした方が良いかな」


「好きにすれば良いよ」




 ダレスはどうでも良さそうだ。俺が簡単に持ち運べるので、重さなんて気にしないのだろう。




「よし、決めた」




 コピーを銀行に行かせた。




 結果として、10000000円も手数料で持ってかれた。






「キェェエエエエエエェェェーーーー!!!!!!」




「うるさい!静かにしてよ!」




「ダレス!分かってるのか!1000万だぞ!本がどれだけ買えると思ってるんだ!一冊千円とすると一万冊だ!これがどれ程の事なのか理解できただろ!それを、こんな、こんなにも」




 何で、お金を替えるのにお金が必要なのか。全くもって理解できない。銀行なんて大嫌いだ!




「500000000あるなら別にそのくらい、端金なんじゃないの?」




「1000万を軽く見積もってるな!お金はもっと大切なものなんだぞ!」




「お金は今回みたいに簡単に手に入るけど、ママの命は戻らないんだよ。そのくらい良いじゃない」




「確かに!」




 俺は納得してしまった。そして、怒りも収まってきた。よくよく考えてみれば努力して得たわけでもないし、そんな騒ぐ事でもないか。


 お金が足りなくてダレスの病気が治療できないとか、お金があればリミーが蘇るわけでもないのだ。そんなに贅沢をするわけでもないし、大きな心で許そう。




『でもなぁ~。1000万かぁ』




 や、止めろ!




『分かった、止める』




 良かった。




「さて、お金も用意できたし、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの家に···レッツらゴー!」




 俺は拳を空に掲げて、同時に空間も歪ませた。




「レッツらゴー!」




 ダレスも真似して手を高く伸ばした。




『レッツらゴー!』




 この相棒は何やってんだ。




『それがブーメランだよ』




 直撃!反論できず精神に10000000のダメージを受けた。




 そんなこんなで、俺達は家に向かって歩きだした。










 ▽










 場面は変わり、佐藤家の家の中。


 そこには二人の人間がいた。その男女の目には生気がない。




 蓮が宇宙人に拐われてから丁度14回、太陽が海の方向へと沈んだ。彼が住んでいた場所は日本海側だ。




 二週間もの時間は徒に経過しただけだ。警察からの嬉しい連絡は一切ないし、彼らなりに聞き込みや貼り紙をしたが、手掛かりは全くない。目撃者が一人もいないのだ。


 最後に見たという近所のおばさんが誘拐で疑われていたが、その線も駄目だった。


 大金を持っているわけではないが、身代金目当ての誘拐も考えられる。だが、そんな電話は一通もない。


 もしやと、近くの山を捜索されたが、遺体が埋められているなんて事はなかった。


 家出も考えられるが、財布はそのままだ。中には一万円札が数枚入っている。親より先に家に着くのに、財布を持っていかないわけがないだろう。




 まるで神隠しにでも会った気分だろう。もしかしたらひょっこり現れるのかもしれないと、淡い期待を抱いてはいるが、心の中では死という可能性さえ頭を過よぎる。


 だが、きっと大丈夫だ。監禁でもされていなければ、水くらいは飲めるだろう。水があれば一ヶ月は生きる事ができる。何の根拠もないが、大丈夫だと信じ続けた。信じ続けなければ心がもたない。蓮という少年はかけがえのない一人息子なのだから。


 どれだけ涙を流しても、どれだけいるかどうかも分からない神に祈っても、状況は何一つ変わらない。




 ひょっこりと出てきてくれる可能性を信じて、蓮の母親は蓮の分の朝食と夕食を毎日作った。しかし、現れない。捨てるわけにもいかず、蓮の父親が二人分の量を次の日に食べるようにした。多いので父親の分は量を減らした。


 部屋は所々汚れている。掃除に気が回らないのだ。父親も料理以外の家事はやるが、二人とも仕事が終わったらすぐに、あるいは休んで一人の少年を探した。何の成果も手掛かりも見つからないのに根気よく探した。




 今は夕食を食べている。そして、食べ終わったら探しに行くのだろう。当てもなく、しかし、何かしないといけないという思考が原動力となり、ひたすらにビラを配るだろう。




 そのテーブルには、ラップで覆われた一食分の料理があった。






 カチャッ






 玄関の方から、突如として鍵の開く音がした。


 次に聞こえたのは、ドアの開く音だ。




「もしかして······」




 帰ってきた、そんな希望を二人は抱いた。どれだけ待ち望んだ事だろう。無事ではないかもしれないが、命だけは助かった。その姿を見たら真っ先に抱きしめてあげなければいけない。でも腹を空かせていて、立っているのも精一杯かもしれない。幸い、ご飯は用意されている。一応、救急箱もある。どんな状況でもとは言わないが、ある程度は対応できるはずだ。戻ってきたならば、警察や学校、職場にも伝えるべきだろう。忙しくなりそうだ。でも、不快感はない。嬉しい忙しさだ。




 だが、そんな希望はぶっ壊された。足音が二つあったのだ。


 おそらく強盗だろう。母親は目を潰す為に台所にあるスプレーを取った。父親は包丁を持った。






 そして、扉が開けられた。










〈二分前〉


 俺は鍵を作り出した。宇宙船が墜落した時に持ち物が失われたとがっかりしたが、宇宙船ごと吸収したら復元できた。制服や教科書といった物がまるまるだ。簡単な作りのおかげだろう。教科書はところどころ虫食いになって文字が読めないが、誰かの教科書を一時的にパクって、足りない所を補えば問題ない。


 そんなわけで、あの日入れる事のできなかった穴に挿入した。左に回せば、勢いの良い音が耳を撫でる。鍵が開いたら、今度はドアノブを回す。しかし、勢いは良くない。そーっと開けられた。


 最後に、靴を手を使わずに脱いで、靴下で覆われた足を床に下ろした。




「ダレス、家に入る時は靴を脱がないと駄目だ。日本人は家に入る時に靴を脱がないと、全力で拳を振り下ろす文化があるからな」


「なんか、震えてる?」




 そう良いながら、ダレスは靴を手を使って脱いだ。足だけで脱ぐ技術は未習得のようだ。




「そうだな。二週間ぶりかな?泣いちゃいそうだ。たくさん不安だったし、怖かったし、もっと早く来れば良かったな」


「何で早く来なかったの?」


「お前の事を説明するのが面倒臭いのと、恩を返す為だな。優先順位が低かったからだな」


「半分は私のせいなの?なんか酷い!私を理由にするなんて···」


「許してくれ。心の余裕がないんだ」


「駄目!許さない!」


「えぇ」


「親っていうのはね、理不尽な理由で子供を攻めないし、子供を大切にするし、やる事なす事がお手本にならなきゃ駄目なの!」




 どっかで聞いた事のあるセリフだ。俺が使ったのを真似たのかな?いつ使ったっけ?




「親に理想を抱くな。完璧な親なんてこの世に存在しないんだからな。皆、どこか至らない点があるんだ。それを子供と一緒に解決して、親と子供は共に成長するんだ」




 きっと多分こんな感じだ。




「共に、ね。分かった許すよ」


「ありがとう」




 廊下を歩き、リビングに続く扉の前に立つ。向こうには明かりが点いている。トイレやお風呂の電気は光っていなかったので、両親は確実にここにいる。


 普通に開けるべきだろうか?いや、この家の中では中学生二年生の中二病の佐藤蓮でいられる。ならば、どう開けるかも自ずと導かれる。




 そして、扉を開いた。




「我が輩 帰還!」




 人の性格には裏表がある。どちらの側面もその人物を表すが、どちらかだけが本物でもう一方が嘘だとは思わない。どちらかが欠けては駄目だ。俺と我が輩という二つの一人称が必要なんだ。どちらもその人自身を表している。




「なに考えてんだよ」




 だってよ、目が泡で見えないんだぜ。どういう状況かは分かるけど、現実逃避したいね。




「泡を吸収して、さっさと現実を直視しろ!」




 言われるがままに、身体は泡を吸い込む。変な能力が今知られても困るので、手で擦ったあと、閉じていた目をパッチリと開いた。




「そんな、蓮、なのか?」




「ただいま、っと」




 すぐに抱きつかれた。母親にだ。泡を目に浴びせた事を謝って欲しい。




「心配したんだからね!今までどこに行ってたの!良かった、無事で······本当に」


「急に、いなくなるなよ」




 そして、父親も抱きついてきた。俺も二人を抱き返した。




「ただい、ま」


「「おかえり」」




 目からは涙が出ていた。三人分の涙だ。みんな汚い顔をしている。床だってビチャビチャだ。


 こんなに心配するなんて、いや心配するのか。俺だってダレスが急にいなくなったら、こんな風に心配しただろう。俺もこんなになっちまったのか。老けたな。まだ中学生だっていうのに。


 何十秒か抱きしめたあと、父はその存在に気付いた。




「蓮、その子は?」


「え?何、女の子?蓮が誰かを家に連れてくるなんて······」


「ああ·········知る覚悟はできてるか?この世界の根幹に触れる準備が、整ったのか?」




 我が家でのいつものだ。左手で顔を覆い、右手の人差し指で父を指す。


 ダレスにはこのセンスが理解できないようだから普通に会話するよう心掛けているが、親相手ならいいだろう。




「もちろん、心の準備はできてないが、大丈夫。もしかして、今までその子を助けてたから帰れなかったのか」




 やはり両親は理解できたようだ。長年我が輩を育てた経験は伊達じゃない。


 我が輩達四人は椅子に座り、我が輩は語りだした。




「まずあの日。我が輩がいなくなった日から状況を説明しなければならない。あの時、我が輩は未確認飛行物体に拐かされた。いわゆるアブダクションだ」




 ここでいきなりストップがかけられた。




「ちょっと待て!何?UFOってこと?え!妄想?」


「普通に話しなさい。分からないでしょ。我が輩とか言って入ってきた時点で、あんたが正常で無事だって事は分かってるんだからね。理解できるように言葉を選びなさい」




 長年育てた経験は全く役に立たないようだ。


 俺はレーズンを噛み潰したような顔をした。


 やれやれ。ま、突然こんな事言っても理解できないか。理解できるのは中二病と宇宙人マニアくらいなもんだ。両親にこの領域は早すぎたらしい。




「ほらダレス、髪で隠れてる耳を見せてさしあげなさい」




 ダレスは黙って髪をかきあげた。




「······耳が尖ってる。ファンタジーに出てくるエルフか?異世界?」


「違う、半分地球人で半分宇宙人だ。異世界出身ではない」


「なるほど、その子に助けてもらったのか。地球人に多少なりとも好感があるわけだな」




 そう考えるのも無理はないが




「違う、ん?」




 待てよ、違くはないのか?実際に助られた事もあるわけだし、俺の事も嫌いではないだろうし。あれ、嫌いじゃないよね。不安になってきた。




「ん?って何だ。状況を把握できてないのか?」


「拐われた所から救出してくれた、とか考えているだろ?そういう感じの助けたではない。でも助けられた事も嘘ではない」


「ややこしいな」


「未確認飛行物体に反応しないで、黙っててくれれば理解できたよ。多分」




 ツッコミを入れる事もなく、二人は黙った。




「宇宙人に拐われたあと、宇宙船内で変な物を身体に入れられたり、精液を抜き取られたりした」




『おい、変ってなんだよ。失礼だな』




 でも実際変ではあるだろ。




「その後、何の因果か違う宇宙人に助けられた。奇跡的に不時着した星で、一緒に捕らえられていたリミーと、ちょうど生まれたダレスと10日ぐらい暮らした。その後、宇宙船の回収に来た奴を返り討ちにしたけど、リミーを守れなくて·········」




 最弱の男は俯き言葉を出さない。死ぬまで引きずるその枷は、あまりにも重く冷たいものだ。心にグルグルと巻き付けられた鎖が未だに残っている。




「······その後は、助けてくれた宇宙人の息子を助けたんだ。俺を助けたその子の父親は死んじゃったけど、俺のできる恩返しはできたと思う。で、戻ってきて今に至る」




「ここまでが俺の話。細かい部分を滅茶苦茶省いたけどね」




 開いた口が塞がらないのか、何も言葉を発しない。脳の処理が追いついていないのだろう。


 何秒か待ってようやく口を開いた。




「なんというか、大変だったんだな。途中途中よく分からなかったが」


「まあ確かに大変だったね」


「その、無事で良かったわ」


「無事、かな?」




 そう言って、手を刀のように鋭く変化させた。




「「うわっ!?」」




「実験ってのはこんな感じで凄い力を持った兵器を量産する事なんだ。多分、俺が一号目。いや、やっぱ分からん。余計な事言った」


 


 凄い力もだいぶはしょった。説明が面倒臭いからだ。説明したとしてもこき使われる未来しか見えないし。




「いやでも、何かその程度かって感じだな。銃より弱そうだし」


「む」




 俺は手を前に出して空間を歪ませた。




『煽られたからってムキになるなよ。別に良いんだよ。弱いと思われたって』




 不安にさせた方がいいのさ。もしもの時にすぐ逃げようって気持ちが生まれやすくなるからな。




『口から出任せのくせにそれっぽい事を言うなよ』




 事実ではあるし~。




「前言撤回だな。他にも色々できるのか?」


「まあね。でも見せないよ。エネルギーがもったいないから」






『よりにもよって、何でワープにしたんだよ。結構減ったよ。もっと大切しろって君が言ったんだよ』




 いや、迫力が出て······ごめんなさい。




『これからも間違った事をしたら素直に謝るんだよ』




 はぁい。




『返事は短く』




 はいはい。




『''はい''は一回』




 はい!




『よろしい!』




 


「便利だな。通勤の時もよろしく」


「あ、私も」


「だから、エネルギーがもったいないから」


「通勤は必要だろ?一人増えるんだから、移動費も安くしたいし」




 そう言うと思ってましたよ。




「じゃじゃーん」




 そう言って手に持っていたアタッシュケースをテーブルの上に置いた。




「ずっと気になってたけど、何それ」


「何だと思う~♪」




 もったいぶった。無駄な時間だ。本当に下らない事をしたと思う。




「ドラマでよく見るのだと、お金か?」


「ピンポーン!大正解!」




 そして、俺はその中身を二人に見せた。




「ちょっ!え!何!まさか、さっきの空間をゴニョゴニョさせた能力で盗んできたんじゃないでしょうね!」


「いや酷いな。俺は犯罪を犯した事がないのが自慢だと言うのに」




 あれ?道端に落ちているお金を拾うのは犯罪?そんな気がしてきたな。でもま、俺はもう人じゃないからいっか。人権無視して俺を捕獲するかもしれないしな。




「自動販売機の下とか、ゲームセンターに落ちているお金をセコセコ集めて銀行で札束にしたんだよ」


「どうやって······」


「周りに飛んでる虫がいるだろ」


「えっ、うわっ!」




 ネズミくらいの大きさだと監視しにくいから小さく飛べるようにしておいた。それを今、大きくしたのだ。ネズミくらいだとお金を拾えて便利だが、飛べないのは不便だ。




「これ、ネズミか?」


「大きさの調整は自由自在。これで集めたのさ」


「成程、理解した。それで、このお金はどのくらいあるんだ?」


「約490000000円」


「「490000000円!!!!!!」」




 さぞ驚いただろう。なんと言ったって、二週間も行方不明になっていた一人息子が、宇宙人に拐われたと言い出し、挙げ句の果てに大金を持って帰ってきたのだ。嬉しいなんてレベルではない。そんな単純な言葉で言い表せない。




「ま、これは俺の金だから、二人は今まで通り働いて」


「「えっ······」」




 天国から地獄に落ちたような感情の急激な変化。その絶望に満ちた表情はちょっと面白かった。




「当然だろぉ~」


「いや、でもそんなあるなら、一億くらい」


「一億を軽いと思っていらっしゃる!生涯年収の半分くらいだろ」




 どこぞの小娘を思い出す。ダレスはお金に触れずとも生活できる事を知っているから仕方ないが、父は駄目だろ。




「ケチ!」


「当たり前やん」


「そうね。諦めましょう。これは蓮のお金なんだから。いくらインチキな方法で入手したとしてもね。で、これを何に使うの?」


「ダレスの滞在費。百万あれば足りる?」


「まあ、足りるんじゃない?でも、宇宙人なんでしょ?服とかは?」




 俺はダレスを見た。




「普段着は今着てるのだけ」 


「日本語上手ね」


「うん!パパに教えてもらったんだ」




 そう言って、俺の方を指指した。




「「え?」」




 あれ?説明はしょりすぎたかな?




「言ってなかったっけ?」


「全くもってこれっぽっちも」


「いや、さっき精液を抜き取られたって言ってたけど、まだ二週間しか経ってないのにその大きさは······宇宙人の技術なら可能、なのか?」


「可能らしい」


「二週間で言葉を覚えるなんて、頭良いわね」


「日本語だけじゃない。共用語も覚えているんだ。バイリンガルってのだな。天才すぎてまいっちまうな!」


「ふふん!」




 褒めるとすぐに調子に乗る。俺と同じ性格だ。悪い部分だな。




「もうお祖父ちゃんか。蓮は童貞を風俗で捨てると思ってたのに。孫なんて諦めていたのに。こんな事になるなんて···感慨深いなぁ。でも、無理やりはキツイな」


「人生なんて苦痛しかないだろ。失う苦痛、色々と」




 それにしても、五十代でもないのに孫なんて今時珍しいな。




「ねぇねぇ、ダレスちゃん。お祖母ちゃんって言ってみて」


「お祖母ちゃん!」


「うーん。私ももうそんな年なのね」


「そうだよ。今気付いたの?」




 頭をグリグリされた。




「あだだだ」




 いや、本当はそんなに痛くないが、反射的に言ってしまう。




「一言多いわよ」


「ぎゃ、虐待だ!」


「時代ね」




 もはやギャグも通じない。地球は暗黒期に突入しかけている。片足を突っ込んでいる状態だ。




 グゥ~




 空腹期収縮により、ダレスのお腹の音が鳴った。




「お腹空いた」




 さっきまでは道端にあるタンポポで食欲を満たそうと考える程度だったが、我慢ができなくなってしまったようだ。


 ちょうど俺の料理らしきものがある。




「母、俺の分ダレスにあげて良い?」


「ええ。でも、お腹空かない?」


「光合成できるから大丈夫」


「本当にできるのか!?」


「うん」


「便利だな」




 ダレスは自分専用の箸をかばんから取り出して料理を口に運んだ。




「美味しい!」


「そう、良かったわ」




 満足そうにパクパクと口を動かしている。よっぽど空腹だったらしい。帰る前にパンでも買えば良かったか。


 そして、そんな姿を見つめていると、心境も変化してくる。


 あー、なんで譲っちゃたんだろ。馬鹿な事したなぁ。人が食べてる姿を見ると、心なしかお腹が空いてきた気がしてきた。半分こにするとか、もっとやりようがあっただろ。




『相棒が情けない』




 だってさ、目の前で食べてるんだぜ?仕方ないだろ。あー、ワープして近所の店で手頃なパンでも買いたいな。買おうかな。でも、やっぱりお金がもったいないかな。止めようかな。




『あまりうるさいと、無理やり抑制しちゃうよ』




 できないだろ。




『できないよ。同意がないとできないなんて不便だよ。だから同意して?』




 危なっかしいんだから仕方ない。同意なんてしないよ。




「ご馳走さまでした!」




 両手を合わせて満足そうにしている。


 この笑顔が見れたから、やはり譲ったのは正しい選択だったのだろう。




『でも、本当は······』




 や、止めろ!心の奥にしまった感情を引っ張りだしてくるな!




『つい』




 ついじゃないのよ。欲望を抑える蓋をこじ開けようとするのは良くない。本当によくない。




『わかった。わかったから』




 気が緩んだのか、表情がコロコロ変わってしまった。




「やっぱり、どこかおかしくなっちゃったのね。可哀想に」


「病院に行けば治るかな」


「パパって元々ああだったわけじゃないんだ。知らなかった」




 この説明が一番面倒臭いんだよな。黙ってよ。




「大丈夫だから。病院なんて行かなくていいから」


「何の根拠もなく大丈夫って言ってるな?病院に行くと宇宙人の説明が面倒臭いってのは分かるが······」




 一応根拠はあるんだけどな。




「心の病気なんてそのうち治るさ。ね」




『うんうん······って、誰が病気じゃい!』




 流れること滝のごとし。よいツッコミだ。褒めてつかわす。




『·········』




 選ばれたのは沈黙という行動だった。


 そして、




「それは間違った医療知識だ。テレビでやってた」




 父が口を開く。




「宇宙人の話をテレビでやってたん?」


「心の病院の話だよ。いつもみたいに変なポーズしたり、突然ゴッドパワーとか言ったりしないでしょ······あれ?」


「なんか、普段の方がおかしい気がしてきたな」


「パパってだいぶ変なんだね」




 あれれぇ?俺ってそんなおかしいとか変とか言われるのか?




「平常運転だな。何の問題もナッシングゼロだ」


「ふっ、そうだな」




 笑われた。




「そうねぇ」




 呆れられた。




「やっぱりパパは昔から変だったんだ」




 何で俺がこんなにボロクソに言われなければならんのだ!解せぬ。




「じゃ、病院は行かなくてもいいな」


「まあ、うん」




「さてと」




 俺は立ち上がり風呂に入る準備をした。


 汚れ等を吸収すれば清潔なので、本当は入らなくてもいいのだが、それはそれとしてお湯に浸かりたい。全身を伸ばし、のびのびと自分の時間を味わいたい。




「待って。ダレスちゃんと一緒に入って」


「え?何で?」


「使い方分からないでしょ」


「そんなもん教えればすぐできるようになるさ。難しい操作方法ってわけでもないし」


「パパと一緒に入りたい!」


「えぇー」




 


 ただでさえ狭いうちの浴槽が更に狭くなるし、ダレスは一歩目でズルッと転けるし、散々だった。


 でも、一人だと頭をぶつけて血が出ていたかもしれないので、結果的には良かった。安全第一だ。






「ちゃんと歯 磨けよ」


「みはいへるよ磨いてるよ」




 歯ブラシを口に咥えているので何を言っているのか分からないが、多分大丈夫だろう。


 ダレスの歯は特殊なので少し時間がかかるが問題なく終わった。虫歯は怖いので焦らせるような事を言っては駄目なのだ。




「ダレスどこで寝る?一応、布団と床の選択肢があるんだけど」




 床にペタリと手を付けて、




「床は嫌だ!硬いから駄目!布団がいい!」


「分かった、俺が床で寝るよ」




 硬いし冷たいから俺も嫌だが、これも仕方ない事だ。親なんてもんは我慢の連続だ。受け入れよう。




「待って!」




 そう言って服の袖を掴んできた。




「どしたん?」


「寂しいから一緒に寝よ?」




 縋るように俺の方を見つめてくる。可愛いやつだな。


 いや、でもなぁ~




「狭いからゆっくりと休めないだろ」


「隣で手を握っててほしいの。パパは床の方にいてもいいから。そうすればスペースも確保できるでしょ。······だめぇ?」




 きらきらと輝く瞳が魔性の魅力を放ち、否定のできないオーラを形成している。


 ダレスは我が儘なところもあるが、このくらいは容認しよう。俺が我慢すればいいだけの事だ。


 でもなぁ、




「結局俺は床で寝るのね。···分かったよ。寂しんぼのダレスの為に隣にいてやるよ」


「ありがと♪あと、私はそんなに寂しんぼじゃないよ」




 そんなこんなで俺達はようやく眠りについた。






「パパ、眠れない。なんかいつもと違うから慣れない」


「羊を数えてみろ。ただ数えるんじゃなく、羊が柵を越える姿を想像するんだ。ほ~ら、羊が一匹」


「羊が二匹 羊が三匹 羊が、四匹 羊、が、五匹 羊が······」




 やがて、羊を数える声は聞こえなくなり、健やかな寝息だけが静寂な場を包んだ。




 いや、寝るの早いな。羊で寝るなんてよっぽどだぞ。寝る事にかけて天才なのかもしれん。かの射的とあやとりの達人のように。


 ま、寝るのが早いのは素晴らしい事だ。健康でなにより。






「うぅ、ママ······」




 その目には一滴の雫が浮かんでいる。


 当然だ。一歳にも満たない感情を理解した赤ちゃんが、ある日突然母親をなくしたのだ。しかも目の前で。忘れる事のできない、否、忘れてはいけない記憶だ。それでも、向き合えば向き合うほど悲しくなってくる。恋しくなってくる。でも俺にはどうにもできない。何も守れないクソ雑魚ナメクジだって、ずっと引きずっている。俺もダレスと同じだ。それがせめてもの救いなのだろうか。








「ねぇ、パパ」


「ん?どうした」


「明日はママの誕生日だよから、サプライズで驚かせよ。きっと喜ぶよ」




 ニヤリと、ダレスは悪い顔をしている。




「サプライズかぁ。準備するの面倒臭いんだけど······。しかもバレないようにやるんだろ?結構キツイな」


「パパの能力があればすぐじゃん」


「そうだな」




 そういうわけでサプライズが決定した。




「ダレスはこっちの部屋に入らないように気をそらすんだ。終わったら呼ぶから」




 こそこそと小さな声で話す。発覚したらつまらなくなるからな。小さな行動が大切だ。




「うん。ママと一緒に遊んでるよ」




 ダレスはリミーのところまでドタドタと慌ただしく歩いていき、




「ママぁ!一緒に遊ぼ!」


「何して遊びますか?」


「ババ抜き!」




 リミーは少し考える仕草をして




「それだとジョーカーを誰が持っているのか分かって面白くないですね。パパも呼びましょう。その方が楽しいですし」




 選ぶゲームを間違えてしまった。痛恨のミスだ。




「あっ!ま、その······オセロにしよう!うん、そうしよう。ひっくり返した時の音がクセになるからね」




 なんとか誤魔化せただろうか。




「オセロがやりたいなら、それでいいですけど······」




 疑われたようだ。いや、ちょっと違うかな?


 どちらにしろ、ダレスにはこのままやり通すという選択肢しかない。




 真ん中に四つの石を用意する。




「ママが先攻で良いよ」


「そうですか。では」




 ニュルッと手を伸ばしオセロが始まった。


 先手必勝という名の如く、盤面は黒で埋め尽くされていく。このままリミーの勝ちになるのか、そんな流れができていたが、風向きは次第に変わってくる。


 


「······置けるところがありませんね。パスです」




 そして、石はダレスに渡される。それからだった。色が白に変わり始めたのは。


 まずは角が取られ、次に辺が取られる。その繰り返しだ。最後は9対55でダレスが勝った。




「やった······あっ」




 今日はダレスにとって母親の誕生日だ。今やっているのも気をそらす為の遊び。そんなもので負けて嫌な気持ちにさせてしまって台無しだ。


 ダレスは恐る恐る顔色を伺い······




「前はあんなに負けていたのに、強くなりましたね。パパに教わったんですか?」




 大丈夫そうだ。むしろ、喜んでいる。どうやら無駄な心配だったらしい。




「うぅん、違うよ。パパに負けたのを見て気付いたの。特徴があるなって。だいたい、パパはプライドが傷付いちゃうから、ゲームのコツとかは教えてくれないよ」


「言われてみれば、そんな気もしてきますね」




 俺の評価とは一体······。まあ、教えてないのは事実なんだけどさ。


 それから何回か石をひっくり返し合っていたところ、何の前触れもなく声がかかった。




「お~い、リミー! ダレスー!」


「あら?何でしょうか?」




 何かもう気付いてそうな表情だ。


 


「い、行ってみよう」




 そこには飾り付けがされた部屋と、中にはそこそこのサイズのケーキが用意されていた。




「俺の国では誕生日の日に家族でケーキを食べる習慣があるんだ。あと、プレゼントを渡す習慣もね」




 そう言って、小さな手紙が取り出された。


 リミーは驚きながらも手紙を受け取り、封を開け中身を読んだ。どうやら気付かれていなかったようだ。




「ずっとこんな日が続くと良いですね」


「パパ!朝だよ!起きて!」




 不意打ちでその速度から逃れる事はできない。


 問答無用で開けられたカーテンの向こうから、今日も太陽が顔面をこれでもかと照らしてくる。


 俺は仕方なく身体をのっそりと上げる。




「はぁ、朝か」




 地球に住む人間ならば経験した事があるだろう。心地よい夢から強制的に引き離される苦痛を。


 でも、これは仕方のない事だ。サプライズ誕生日なんてなかったし、あれは都合の良い妄想だ。いつまでも浸っているわけにはいかない。浸っていたら、本当の記憶さえもあやふやになって、溶けて消えてしまう。


 俺の住む世界は、どうしようもなく、ここらしい。




「さて、学校か。嫌だな」




 今更学校なんて、と言いたいところだが、数学や理科が完璧でも、英語や社会は並程度だ。記憶を奪って知識を得ても補完できないものはある。あるいは、都合の良い英語圏の犯罪者なんかを吸収すれば、英語はマスターできる。だが、記憶を知るのは気持ち悪いのであまりやりたくない。




「ダレスは今日は何すんだ?暇なら漫画とかラノベ貸すけど······。あ、読む前は手を洗えよ」


「それも良いけど、今日はここら辺を散歩してくるよ」


「迷子になるなよ。いや、お前は大丈夫か。武器は見えないように隠せよ。銃刀法違反で捕まっちまうからな」


「オモチャだと思われるんじゃないの?」


「それもそうだな。でも隠せ。耳だってちょっと違うんだからな。厄介事は嫌だろ?」


「そうだね」




 ダレスはすぐに銃をかばんに入れた。




 俺はというと、朝食を食べ、歯を磨き、二度寝して、ダレスに叩かれて、制服に着替えた。


 いつもとは違うルーティンだ。これぞ一行矛盾。




 両親はちょっと前に仕事に行った。色々と電話をしたのか疲れていた。




「さてと」




 重い足だ。よくもまあ、昔の俺はこんな物を使って道を歩いたものだ。感心してしまう。




「いってきます」




 だが、いってらっしゃいはない。どうやらダレスは漫画の魔力に魅了されてしまったようだ。


後書き

ソーラン ソーラン ハイッ! ハイッ!

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