十四歳の刺青
黒犬
第1話
午前二時二十分、今日も私は手首を切る。白くて細い手首から少しだけ浮き出た青い管をカッターナイフで切り付けた。たらたらと腕をつたってくる赤い液体を見て少しだけ嬉しくなった。
「私、生きてるなぁ。」
傷跡に絆創膏をべたべたと貼って薄く滲んだ赤を撫でた。この傷が愛おしい。なによりこんなにも傷だらけの私が可愛い。私はそれを写真に撮るとアプリを開きその写真を投稿した。
『今日もまたきっちゃった、、、わたしってほんとうにだめなこだぁ(/ _ ; )』
あとは待つだけ。私は布団に入り目を閉じた。明日あの地獄を乗り越えれば、またこの幸せな世界が待っているのだから。
午前七時四十分学校に間に合うギリギリの時間に起きた。だるい体を無理矢理起こして
顔を洗い、歯を磨き、綺麗な黒い髪を一つにまとめた。
「行きたくなぁ……」
眼鏡をかけると重い足取りで学校へ向かった。
教室に入ると自分以外の生徒はほとんど来ており、楽しそうな話し声が聞こえた。
「おはよー!」
「髪の毛はお団子禁止でしょっ!て先輩から怒られてさー。」
「1時間目から体育とか普通にダルくね?」
「昨日のドラマのヒロインの子めっちゃ可愛かったんだけどー!」
「宿題やるの忘れた!写させてー!」
私はできるだけみんなの視界に入らないように教室の端を通って先に着いた。それと同時に担任の原田先生が入ってきた。
「はい、ホームルーム始めるぞー。」
そこからだらだらと長い話が続いた。登下校の時に道を横に並んで歩いてることについての苦情、そろそろ制服の移行期間にはいること、校庭掃除のボランティア、そのほか色々興味のないこと。居眠りをする子、内職をする子、友達と内緒の手紙を回す子、クラスの大半の子は話を真面目には聞いておらず、それを見た原田先生が
「おい、お前ら人の話を聞かないでどうする。社会に出た時、それじゃあだめなんだぞ!人の話を聞くときは……」
〈キーンコーンカーンコーン〉
ホームルーム終了の鐘がなった。
「……次からはちゃんと人の目を見て話を聞くように!以上、解散!」
一時間目が体育なので私達は更衣室に移動した。更衣室のロッカーは広いところはクラスの一軍女子が、その他の女子のグループは余った隅っこにどんどん自分の服を入れていく。私はどのグループとも被らないように余ったところに服を入れ、急いで着替え始めた。
「ねー、さっきのハラセンめっちゃウザくなかったー?」
隣で着替えている女の子達の会話が聞こえてくる。
「いや、それな?なぁーにが社会に出た時それじゃあだめなんだぞーだよ!話長すぎだっつーの。」
「ほんと、うちら次体育だからそれどころじゃないから早くしろー!って感じ!」
「「「ねー!」」」
私はその子達の会話を聞いて気分が悪くなったので、真っ青のダサいジャージを手に持って六月の太陽が照りつける校庭に急いで向かった。
十四歳の刺青 黒犬 @hinageshi_04
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。十四歳の刺青の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます