第23話 ゲームが始まる前にゲームのラスボスが出ました
その顔は、まさに【ほめらぶ】のラスボスで。
「お喜びください
わけのわからないことを
どうしよう。【ほめらぶ】では聖女との
勝てるのだろうか。私が不安に思う間にも、事態は進んでいく
ノワールの足元が光り、無数の
暗くて気づかなかったが、
「
「お前、もしかしてバーサークグリズリーを
気づけば、わたしはそう言っていた。
ゲームでヒロインを殺そうとしただけではなく、ヒロインの村まで燃やしていたとは。
ノワールが、ふ、と笑う。
「そんなどうでもいいことを気にするのですか? そこの
「救済とかいってごまかしてるけど、人を殺すののどこが救済なのよ!」
わたしの反論にも、ノワールは
「人はいずれ死ぬもの。生きることは苦しみ。では、苦しむ期間を減らすことは、救済で
「生きることの楽しみを見いだしてるわよ、イナカ村の人は」
「ご心配なく。救済された方々は、どなたも文句はおっしゃいません。それに、イナカ村はただの始まり。イェーガー村も、ヴィラン家の城も、
ふざけないで! つまりは死人に口なしってことじゃない!
死にたくないし、クリストさん
イナカ村の人たちは、
「人はいずれ死ぬ。でもね、一分一秒、
わたしは、一回死んだ。
あまりにも
「話し合いではわかり合えませんか。悲しいことだ」
そんなわたしの
「お前がそれを言うな!」
話が通じない。
「オーレヴィア、下がれ」
クリストさんの注意が、開戦の合図だった。
私に向かってきた
騎士達がクリストさんに加勢しようとするが、森の中なので木が邪魔をして、逆にクリストさんを斬りそうになっている。
「下がっていろ! 大人数だとかえって戦いづらい! 弓矢を使える者は合図があれば
「今だ!」
無数の矢が
「
高笑いする
「お望みの、
レインナイツがいいはなったのと、ほぼ同時に。
「そしてしもべも、もういないぞ!」
クリストさんの
だが、その
「下等生物のくせに
わけのわからないことを言いながら、ノワールは自分の周りに、
「待て!」
クリストさんが
「レインナイツ」
「申し訳ありません。いただいた矢を、
「何を言う。お前が貴重な武器を
「ありがたいお言葉、光栄です」
「
「……はい」
ふと私は思った。
クリストさん、変なところで
「お兄様、具体的にレインナイツに、なにをあげるの?」
そうわたしが聞くと、案の定クリストさんは何も考えていなかったようで、慌てた様子で「ええっと……具体的には」と考え始めた。
「代わりの矢と……取り急ぎ、
「
レインナイツの好感度下落対策もできたし、魔人もいなくなって一件落着、とわたしは思ったのだけど。
「若、代わりとおっしゃいましたが、
「……王家に頭を下げ、聖女の祝福がある武具を一式、
「聖女の血筋といえども、聖女の祝福がある武器は王家に管理されていますからね……クリスト様の立場で手続きをしても、一ヶ月は取り寄せにかかるのでは?」
「王族の方が直々に使うなら輸送時間だけで済みますが、我々に
「前の王様の時、
異世界のお役所仕事も大変そうね……。
と、騎士達のグチを眺めていると。
「武器はまだいい。あると分かっているのだから。敵の発言からして、勇者が
「
「オーレヴィアは予知夢こそ見ているが、聖女の絆や、治癒聖術は使えないから、聖女ではないのだろうな」
そうか、だからゲームでセオフロストは、聖女を探す時に「自分の呪いを解いてもらうため」ではなく、「王国の滅びを食い止めるため」って言うのか。
自分が呪われて死ぬからセイント王国が滅ぶ、ということだと【ほめらぶ】プレイ中は思っていた。
なので、「2年前から聖女を探しているが、見つからない」とゲーム開始の年の神聖歴400年に言うから、セオフロストが呪われたのって、399年のデビュタント前じゃなかった? と考察勢を悩ませるセリフで、わたしも色々と考えていたのだが。
燃えたイナカ村を調査して、王国は
わかるか! あの説明不足なシナリオで!
と、わたしが【ほめらぶ】のシナリオに対して何度目かわからない怒りをぶつけていたら。
「なにはともあれ、すぐ王家に
と、クリストさんが言って騎士達が帰りはじめたので、あわててわたしも彼らに続いたのだった。
そして、村長の村で急いで旅支度をととのえ、アンナと一緒に馬車に飛び乗り、私たちはイナカ村をあとにした。
「お疲れ様でした、オーレヴィア様」
「アンナこそ、お疲れ様……」
村を出発する時、アンナの母親が、アンナの手をぎゅっと
これって、女性同士でもセクハラなのでは? アンナ、口が引きつっていて明らかに
「どうすればいいかはわからないけど、アンナがお城に住み続けられるようにするね……」
悪意がないだけ、アンナの両親はたちが悪い。
わたしに失礼がないよう注意するのも、アンナの
村の
「ありがとうございます!」
と、女の子同士で絆を深めていると。
「オーレヴィア、お
馬車に乗ってからずっと無言だったクリストさんが、やっと口を開いた。
「……ちょっと思ってたんですけど、お兄様、なんで行きは馬だったのに、帰りは馬車なんです?」
「だってレインナイツに馬をあげちゃったから……しかも、馬がお兄ちゃんを乗せてるときより、レインナイツを乗せてる方が
窓の外には。
馬をもらってあふれんばかりの
「ねぇ、馬にはボクものってる!」
と、ショウ。
「身を乗り出すと落ちるぞ」
と、レインナイツはぶっきらぼうだが、馬車から見る限り、ショウとレインナイツは
「オーレヴィア様のクッキー、本当に美味しかったんですよ!」
「ねぇ、わけてよ!」
「全部食べてしまいましたね」
といった会話を聞きながら、仲良きことは美しきかな、とわたしがのほほんとしていたら。
「ぼくだってオーレヴィアのお
城に戻り、荷ほどきを終えた瞬間に、なぜかわたしの部屋まで付いてきていたショウが、盛大にだだをこね始めた。
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