第87話

 ◆──アリア視点──


 さて、今日は再度謁見に向かう日です。


 王と交渉し、ロッテさんを犯罪奴隷から解放する許可を頂きます。


 ただ、王から許可を頂いても犯罪奴隷からの解放はとても手続きが面倒臭いです。


 次に教会に行き、『贖罪の宝玉』に触れてかどうかの審査に入ります。


 この『贖罪の宝玉』は罪を許されるだけの事をしたかどうかのを積んでいるかを確認する魔道具らしいです。


 そこで問題ないと判断されると、やっと奴隷商にて解放することが可能になります。


 犯罪奴隷の解放は本来はとても難しいです。


 まず、国からの許可が降りる事がほぼありません。


 冤罪であっても、ここで最初に躓きます。大量のお金を積めば許可は取れるかもしれませんが……。


 国から許可をもらったとしても『贖罪の宝玉』での審査がある限り──冤罪を除き、犯罪を犯した者が許されることは普通はあり得ません。


 この二段構えの手順をクリアする事が難しい為、犯罪奴隷の解放は本来現実的ではないと言われています。


 何より、買った者がそこまで面倒臭い手順を踏んでまで解放する事がないのが現状です。


 だから、犯罪奴隷に落ちたら死ぬまで奴隷です。



 しかし、ロッテさん場合は条件を全てクリアされています。


 国の陰謀があったとしても、【絆】の後押し──そして今回の活躍の褒賞があれば確実に許可は降りるでしょう。


 それに『贖罪の宝玉』は今回のロッテさんが薬を作って国を救った事で条件は確実にクリアしています。


 おそらくエルク様はそこまで考えて行動されました。


 ロッテさんを助ける為に国まで救われるなんて本当──お優しいお方です。


 交渉で失敗は許されません。


 1号さんにエルク様の状況をお聞きしましたが、連絡がつかないそうです。


 相手はあの『殲滅』のミゼリーです。私が一方的に負けてしまうぐらい強いです。


 エルク様と言えども──簡単に倒せる相手ではありません。


 少し心配なのは、マイさんが独自で開発した『追跡魔術』の反応が消えたという点です。


 魔道具では範囲が限定されますが、この魔術は世界のどこにいても居場所がわかるという素晴らしい魔術です。


 この世界に反応が無い──


 おそらくミゼリーが何かしらの結界などで遮断した可能性が高いです。


 被害が出ないように激闘をされているのでしょう。



 エルク様は昔から先を見据えて行動されます。


 ロッテさんの件も私達だけで出来ると判断をされているはずです。



 さぁ、皆も準備が整いましたし、王城に向かいましょう。


 メンバーは私、ロッテさん、マイさん、ティナちゃん、ライクさん、ハゲゴリラ(ギルマス)です。


 無いとは思いますが、武力行使されても城の兵士や騎士団ぐらいは問題ないはずです。


 既にエルク様が【深淵】を退け、『殲滅』のミゼリーも遠ざけてくれましたからね。


 問題があるとすれば──


「この間の近衛騎士団の姉ちゃんいねぇかな〜」


 このハゲゴリラです。


 こいつはどさくさに紛れて近衛騎士団の女の子の胸を揉んだ屑ですからね。


 ロッテさんの『不能薬』でお仕置きされたのに懲りてないようですね。


「そこのハゲ──「誰がハゲ──」──これを見なさい──『貫く弾丸ミーティア』──」


 マイさんもさすがに黙認出来なかったようで、ハゲに話しかけた瞬間に凄まじい魔術を空に向けて放ちます。


 すると、雲が消し飛びます──


 ハゲは口をパクパクさせて固まっています。


 そして、マイさんが殺気を放ちながら告げます──


「ハゲのせいで台無しになったらナニを潰すか、消し飛ばす」


 ──と。


 そこからハゲは大人しくなりました。



 このマイさんの魔術の威力は正直──


 ドラゴンぐらいなら一撃で仕留める事ぐらい出来るかもしれません。


 ちなみに私に撃たれたら避けます。私は小細工で戦うタイプですので……。



 ────


 ────────


 ────────────



 私達は謁見の間に到着して、王と対面します──


 王は命を助けてもらった事と、国を本当の意味で救った事に感謝してくれていました。


 ロッテさんの解放許可はすんなりと頂けました。


 ここで問題が1つ発生します。


 ハゲではありません。


 監禁していた宰相が逃げたと──


 そう王から言われました──



 ◆──エルク視点──



 やっと──


 やっと終わった……。


 目の前にはぐったりしたミゼリーさんがいる。


 ミゼリーさんは──


「もう、らめ……でも、もっとしてほしい……」


 そう、呟きながら気を失っている。


 その場に立っているのは俺だッ!


 完全勝利だッ!


 最弱とはいえ──あの『慈愛の誓い』の1人にッ!


『私にはお前が鬼畜にしか見えなかったがな』


 うっさいッ!


 手を抜いたら俺が負けてたわッ!


 エクストラスキル──『絶倫王』────


 これ──マジでヤバかった。


 まず、『絶倫』だ。これはお互いの感度を更に底上げする事が出来た。


 敏感にさせた後は『魔力具現化操作』を使う──


 触手を作って前戯をした。


「な、なに…これ……ひ、ひもちいい……」


 すると、こんなミゼリーさんの甘い声が聞こえて来た。


 だが、逝かせる事は出来てもミゼリーさんは余裕があった。


 ここで役に立ったのは『根性』──


 結果的にあの後10日間ずっとヤり続けた。


 数日間ミゼリーさんを逝かせても根を上げなくて、先の見えない戦いに心が折れそうだったが、これのお陰で最後まで突き続けられた。


 普通ならば薬の効果も上乗せされていて腹上死してもおかしくないはずなのだが『不屈』が俺を生かしてくれた。


 何より──


『魔力成長(エロ)』と『体力成長(エロ)』が1番助かった。


『身体強化(極)』を使ってヤり続けても体力と魔力が尽きなかった。というか出す度に回復して俺は余裕ができた。


 逝き続けたミゼリーさんは「まら…まら──負けてない……エル……と一緒に……かえ……るの……」


 と諦めなかった。


 俺はここで容赦なくトドメを刺す為に『身体強化(極)』の部分強化を使用し──


 今出来る最高の一撃をお見舞いした。


 すると──


「──フゴォォォォォォォッ──」


 雄叫びを上げたミゼリーさんは痙攣した。


 さすがにこれには一瞬意識が飛びかけたようだったが、なんとか耐えられた。


 次の一撃を放とうとすると、ミゼリーさんが初めて少し当たりをそらそうとした。


『魔力具現化操作』でミゼリーさんを逃げないように固定した俺は今回覚えた必殺技であるでトドメを刺した。


 ミゼリーさんは声にならない声を上げて失神して今に至る──



 とりあえず、ヤり切ったぜ……。


 これで連れ戻される事も無い。


 しかし……性欲が膨れ上がり過ぎてる気がする。


 今は溜まり溜まった物を放出したから、そこまでではないが──今後が凄い心配だ……。


『ちなみに他とヤって爵位持ちの悪魔が現れても勝てないからな?』


 ……どうにかなんないの?


『とりあえず、そこの術者に頼んで解かせてみたらどうだ?』


 そう、だな。それが1番無難だろう。


 ミゼリーさんに目を向けると覚醒したようで俺に熱い眼差しを向けていた。


「ミゼリーさん。約束守ってくれますよね?」

「……敗者は勝者に従う」


 おぉ、なら魔契約解いて貰おうッ!


「俺の魔契約解いてくれませんか?」

「……ごめん、無理」


 ん?


「何故?」

「何重にも魔術式を組み込んだから私でも解けなくなった……」


 え?


「じゃあ……これ解けないんですか?」


 コクッと頷くミゼリーさん。


 ミカさぁぁぁぁんッ!!!!


『そうだと思った』


 ふざけんなよォォォォッ──


『大丈夫だ。『絶倫王』で伸び代はあるからな。戦闘にもちゃんと使えるから悪魔が出てきても勝てるぐらい強くなれ』


 ……はぁ……仕方ないか……。


「……とりあえず、約束通りにして下さいね?」


「わかった。でも、私は。口止めの約束はしてない」


 し、しまったァァァァッ!?


『お前、相変わらず抜けてんな。1人でギリギリなのに複数相手にしたら逃げれないな。物理的にもな』


 確かに、ミゼリーさんでもけっこう頑張らないと勝てなかったのに複数相手とか絶対に無理だ。


 そして、捕まれば今度こそ逃げれないのが1番痛い。おそらく監禁まっしぐらだ。


「……出来れば黙っててくれません?」


「なら取り引きする」


「取り引き?」


「……エルが定期的に抱いてくれるなら黙ってる。監視してるからしたくなったら行く」


 へ?


『良かったな。セフレとストーカーが同時に出来たじゃないか』


 そもそも断る選択肢が無いじゃんッ!


 居場所バレた時点で逃亡劇の始まりだしッ!


「……じゃあ……それで……」


 俺は承諾して、この件は終わりになった。



 はぁ……。



 ──どうしてこうなった!?

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