第84話

 ミゼリーさんとヤる時は薬の効果で自我が飛ぶ。


 俺が意識を取り戻した時はいつも立てない。


 これは媚薬の効果で意識が無いまま本能でがむしゃらに行為を行なっているからだろう。


 しかし、今回──俺には秘策がある。


 抜ける前にまでは『体力自動回復』スキルのみだった。


 今では『健康』もある──これさえあれば自我が吹き飛ぶ事なく俺のテクを駆使して乗り切れるはずだ。


 特に『身体強化(極)』があるのが助かる。


 魔力の消費は激しいがをすれば──


 かの聖剣エクスカリバーを使った勇者のように己の道を斬り開けるはずッ!!!!


『聖剣とお前のナニを同列に扱うなよ。確かに白いオーラが出る聖剣だがな……』


 俺の聖剣からも白いの出るから良いじゃねぇかッ!


『一応言っておく。あの媚薬を完全に無効化するのは無理だぞ? まぁ、多少の自我は保てるかもしれんがご無沙汰のお前は獣になるのは確定だな。慣れたら可能性はあるがな』


 は?


 待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て──


 あの媚薬ってそんな強力なのか?!


 その事実にドン引きなんだが?!


 なんとか意識を強く持たなければならないな。



 そんな事を考えているとミゼリーさんから声をかけられた。


「エル──私は感じにくい」


「ん?」


 感じにくい?


「私は絶頂した事がない。媚薬を使えば確かに気持ちは良い。だけどこれまで逝った事がない」


 …………なるほど、それでいつもヤった後は余裕だったのか。


 ──ってそんな場合じゃねぇよ?!


 今の言葉からミゼリーさんは媚薬で意識が飛んでないのがわかる。


 俺が媚薬で意識飛んだら負け確定じゃんッ!!!!


 しかし、既に勝負方法は決めている……今更引くに引けない……。


 だが。そんな事ぐらいで引く理由にはならない。


「それぐらいのハンデがあって良い勝負ですよ」


 ここで負ける事は許されない。


 そう、これはハンデなのだ。俺は不利な状況から下克上をするのだ!


「ちょっとムカついた。今回は媚薬のを使う。私も正々堂々勝負したくなった。原液ならいつもより感じられる」


 原液? そんなのあるの??


『自滅(笑)更なる泥沼に乾杯』


 お前どっちの味方だよ!?


『いや、期間が不明なエッチをずっと見させられるんだぞ? 少しぐらい楽しませろ』


 てんめぇ、絶対に具現化させて好き放題させてもらうからなッ!!!!



 しばらくすると、人気の無い森に到着した。


「とりあえず、ここなら人は来ない。エルのテントを出して。『隠蔽魔術』と『結界魔術』を使う」


 ミゼリーさんが魔術で誰にも見つからないようにしてくれるなら邪魔が入る事はないだろう。


「これでいいか?」


 俺は高級テントを『無限収納』から取り出して設置する。


「問題ない」


 俺達はテントの中に入る。


 しかし、相変わらずミゼリーさんの魔術は凄いな……。


『当然だろ。そいつ『』だしな』


 は?


 はあぁぁぁぁぁぁぁッ?!


 何で『慈愛の誓い』にそんな大物がいるんだよ!?


『さぁ、面白くなってきたッ!』


 全然面白くねぇよッ!


 そりゃ、魔術も桁違いだわなッ! なんせ大賢者だしッ!


 とんでもねぇ暴露ありがとよッ!


 はぁ……これからそんな人とまぐわるのか……。


『絶倫王vs大賢者。これは見物だな』


 ちなみに勝率は?


『10%あれば良い方だな。お前が意識を持っていかれなければ原液の効果もあるからテク次第で五分五分だ』


 それだけあれば十分だな。戦闘より遥かにマシだし。


『というかお前久しぶりだろ? 自我を保てるのか?』


 正直、不安しかない。


「エル──脱いで」

「ん、あぁ……?!」


 ふとミゼリーさんを見ると既に裸になっていた。


 俺も言われるまま服を全て脱ぐ。


 2人とも生まれてきた姿だ。


 ミゼリーさんは体格は俺と同じぐらいで、胸はあまり大きくない。


 だが、とてもスレンダーでスタイルは良い。


 背中のラインとかとても綺麗だ。


 更にアメジストのようなの透き通った髪色が幻想的に見える。



 うん、自我を保てるか更に不安になってきたな。


 ミゼリーさんも大賢者らしいが、その前に1人の女性だ。原液を使って勝負する以上はお互いに意識が飛ぶ可能性もあるだろう。



 お互いに見つめ合う──


 頬を赤らめて、恥ずかしそうに局部を隠す姿は欲求不満の俺には刺激が強い。


「お願い、久しぶりにキスして」

「わかりました」


 俺達はヤる前に必ずキスをする。


 これはミゼリーさんが『キスして貰えば幸せを感じれる気がする』と言っていたからだ。


 裸でキスして俺の股間が既に暴発しそうなんだが……このままヤりたい……。


「エル……今回、初めて原液を使うけど、私は意識は飛ばさない」

「俺もそのつもりです」

「では、これを──」


 俺は媚薬の入ったグラスを渡される。


 いつも飲んでたのより色が濃いな……。


「飲む前に確認です。正々堂々、一対一で勝負です──そして、どちらかが負けを認めるまでヤり続けます。俺が勝ったら見逃して下さい。ミゼリーさんが勝ったら、連れ帰ってもらって結構です」


「わかった」


「「乾杯──」」


 一息に飲み干す──



 こ、これは──かなり不味い。


 これが原液の効果か……呼吸が以前に飲んだ時よりも荒い……既に頭がボーっとしているし、下半身と胸がドクドクしている。


 今の所、直ぐに意識は飛んでいないのが幸いだな。


 だが、このままだと欲求不満が媚薬の相乗効果で爆発する。


 ピコンッ


『今更なんだが──勝ったら魔契約の解除はしてもらわないのか?』


 ──はッ!? しまったァァァッ、忘れてたァァァッ!!!!


 既に勝負は始まったし無理だな……。



「ん、んは…いつもより……感じる…凄い……」


 ミゼリーさんも艶っぽい声を上げている。1人で胸やあそこを弄っていた。


 俺は淫らなミゼリーさんを見て胸が更に熱くなる──


 今回、魔契約は解除しなくてもいいや……目の前にヤれる人がいる事でどうでもよくなった。


 なんたって久しぶりだしなッ!


「エル──原液の効果が予想以上で……凄く疼くの……もう濡れてる……来て──我慢でき、ないの」


 M字開脚したミゼリーさんは俺を挑発するように言う──


 微かに覚えているのは、2人で激しく求め合いながら体を重ねた──


 他にもミカが『うわぁ……』とドン引きした文字を表示させていたような気がした────

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