第25話

「この変態ッ! さっきから──ばっかり掴みやがってッ! その腕輪嵌める気があるの!?」


「…………そこにおっぱいがあるから?」


 さっさと腕輪を嵌める為に俺はレイラの腕を捕まえようとしているのだが、俺の目的がバレているから中々腕に触れられない……囮として分身体を近付けても直ぐに消されるからな……。


 さっきから攻撃を掻い潜って掴む事が出来るのはのみだ。


 こんな時でも、どうやらおっぱいに対する執念が凄いようだ。欲求不満とは怖いものだな……お陰で攻撃がなんとか避けられるんだけどさ。


 そんな俺なので変態と言われても否定出来ない……しかし、お前もショタで死姦癖の疑いがある十分ヤバい変態だろうがッ!



 というか、後10分ぐらいしか時間がねぇんだよッ!



 大人しく捕まれよなッ!



 ◆──《エルク分身体視点》──



「おーい、マイ起きろ〜!」


 分身体の俺は孤児院に戻って、マイを起こしている。


 俺の作戦にはマイがどうしても必要だからだ。


 しかし、揺すったりほっぺをぺしぺししたりしても起きる気配がない。


 やるしかねぇな……。


「──マイ、許せ……いくぞッ!」


「ん、あぁん… ん、んん!? …ひゃん……そ、そこ…──」


 俺は張りのあるおっぱいを揉みしだく。


 これはセクハラではない、強制睡眠の呪縛から解き放つ為のだ。


 しっかし、良い声で喘ぐなぁ……これはもう襲ってしまっても良かろう?


 いや、ダメだダメだ。


 本体があいつに見つかる前になんとかしねぇと……。


「マイ〜起きてくれ〜頼む〜ッ!」


 俺は1段階を上げる事にした。


 気合いを入れて胸の突起を弄りまくると──


「──ひゃッ、アッ、あぁん……アアァァァァ──」


 返って来たのはだった。


 あかん、起きねぇよ……どんだけキツい薬盛ったんだよッ!


 仕方ない……で行くか──



 ◆──《エルク本体視点》──



 ──もう、時間がねぇ。


 やるしかねぇな──


ッ、捕縛しろッ!」


 分身体を『幻覚魔法』でマイに見せかけて特攻させるが──


「妙な技に幻を使っただけでしょ? ──これぐらいで捕まるかッ! あの薬はそう簡単に目覚める品物じゃないわッ!」


 直ぐに瞬殺される。


 動きの鈍い分身体ではおっぱいすら掴めんな……。


 だが、これで──


「チェックメイトだ」


「──なッ!? これは──水?! しかもこれは魔術!? いったい何が本当で何が偽物なのよッ!?」


 で捕縛する事に成功する。


「今回はちゃんとがいるぜ?」


「じゃじゃーんッ! マイちゃんてば起きてるんだなぁ♪」


 景色と同化させていたの姿を見せる。


 本当、起きなかったらどうしようかと思った……間に合って良かった良かった。


 どうやって起こしたのかって?


 そりゃー、爆発しそうな本能を抑え込みながら、した。


『ひゃッ、アッ────』


 って叫びながら起きたと思ったら鯖折りされた。


 なんとかした後、走りながら作戦を説明して今に至るわけだッ!



「──って事で大人しく捕まって、組織のお仕置きを受けてこい──」


「や、やめてッ! そ、そうだ見逃してくれたら気持ち良くしてあげるからッ! お願いッ! 何でもするし、言う事も聞くから! ほら、その子みたいに奴隷になってもいいから組織には引き渡さないで! 男の子と会えなくなるゥゥゥッ──」


 俺は男の子の未来の為に無視して腕輪を嵌めた後、睡眠薬で眠らせる。


 決して、マイとティナの射殺すような視線が怖かったわけじゃない……。


 まぁ正直、レイラみたいな危険人物の奴隷とかいらねぇしな……蹂躙される未来しか見えねぇよッ!


 ちなみにこの腕輪は囚人とかに使う物で、加護や魔力の力を抑える効果がある。


 目が覚めても、そう簡単に逃げる事は出来ないだろう。



「エルク様──来ます」

「──!?」


 マイの言葉に冷や汗が噴き出す。


 ──もう15分経ったのか!?


 ──まずい。



 俺は『索敵』を使うが反応が無い。


 敵ではない? あいつらなら逃げた俺に怒ってるはずだから反応があるはず──



「──ご苦労様です。蜃気楼様」


 うおッ、いきなり現れるなよ……ビビるじゃねぇか……。


 現れたのは俺に今回の仕事を丸投げした張本人だった。


「──面倒臭い仕事はもう勘弁だぞ。こいつらを早く連れて行け、それとこれは返す──」


 早くこの場から離れたいので要件だけを伝え、ラウンズの称号であるエンブレムを投げ渡す──


「おや? 抜けるのですか?」


「俺にはこんな称号はいらねぇよ」


 正直、ラウンズとバレてろくな事がなかったからな。


「とても便利ですよ? スラムや、ある程度の権力者にも融通が効きますし。──更に今なら蜃気楼様のの時間稼ぎもしますよ?」


「うむ、それは返してもらおうか」


 俺は即答した。少しでも俺が逃げる時間が欲しいからな。


 それに既に15分経とうとしているのに、ここにリーシェさんが現れていないのは足止めしてくれているのだろう。


 頼りになるじゃねぇかッ!



「では、もうすぐ用意した足止めはやられると思うので解散──」


「え!? ちょ、ちょっと待てぇいッ!」


 エンブレムをこっちに投げ返しながら、消えやがった。


 その場に俺達は取り残される。


 これって騙されたんじゃ……。


 非常にまずい。こんな事なら話とかせずに逃げれば良かったッ!



 その時──



 ピコンッとまた音が鳴り、目の前に文字が表示される。



『残り15分でリーシェと接敵』


 俺は疑問符を浮かべる。


 さっきの表示で15分って書いてなかったか?


『あれはフェイクです。尻を叩かないと決着がつかなかったので本来30の所を15分と表示させました』


 てんめぇ────ぶん殴るぞ!?



 ピコンッ



『ええから、分身1体残して、はよ逃げろや──このチキンがッ!』



 なんなのこいつ!? 本当になんなの!?


 なんか口調も違うしッ!


 そもそも、お前って説明とかするスキルじゃねえの!?


『鑑定』が嘘ついたんですが!?



 ピコンッ



『これがデフォです』


 勝手に出てくんなッ!


 後、そのピコンッて音が鬱陶しいわッ!

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