第24話

 エルクは私を助け出すと戦闘を開始した。


 そして、信じられない光景を目にする──


「──ちッ、いったいどうなってる!? 何故当たらない!?」


「レイラ──その程度か? ラウンズともあろう者が擦り傷一つつけられないとはな? さすが新人だな」


 レイラと呼ばれた女はエルクに遊ばれている。



 軽口を叩くエルクにレイラは何度も何度も攻撃を仕掛けるが──


 どんなに速く動こうともエルクは紙一重で攻撃を避けている。


 私は夢を見ているのだろうか?


 確かにエルクはSランクパーティに在籍していた。他のメンバーであればこれぐらいは出来るとは思う。


 だけど、私は今回──エルクを見て本能で雑魚同然だと思った。


 そして、介入するまでの戦闘を見ている限り、完全に弱者だと確信していた。


 戦闘が開始してから私が介入するまではDランク相当、今のエルクの動きはCランク相当──


 これはおそらく身体強化魔術を使ったからだろう。


 レイラは身体強化魔術と風魔術で速度を上げてAランク相当の動きなのに


 私でも避けるのがギリギリな攻撃も受けずに渡り合っている。


 むしろ押している。



 確かに幻や実体の伴う妙な術を使って翻弄はしているけど、それだけじゃない。



 Cランク相当の強さであのスピードを捉えるには先を読まないと無理。



 これが──



』のエルク?



 エルクは腑抜けていなかった?


 いえ、普段は力を隠している?


 必要な時しか力を使わない?



 私の胸はギュッ、と熱くなる──



 この安心感──まるで助けてもらったあの時みたい。頼もしいなぁ。



 助けるつもりが、助けてもらうなんて……余計な事しちゃったな……。


 頭をポンポンッてされたのも懐かしかったなぁ……本当のお兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな?


 私の中でだけ『エル兄』って呼んでもいいよね?



 でも、女性関係がな……今も事故か何かわからないけど、し……。



 ◆



 ひゃっほーッ!


 今の俺は無敵だぜッ!


 まさかここでするとはな!


 今の俺ならレイラぐらいの攻撃ならなんとかなるなッ!


 これは来たなッ!


 俺の時代が来たぜッ!


 これならリーシェさんであってもなんとかなるかもなッ!



 ──おわッ!? 分身体が消えた!?


 ──今のがこっち来たら危なかったな……調子に乗って煽りまくってるせいでとんでもねぇ速度で攻撃されてる……。


 使ってて良かった『幻覚魔法』『分身』スキル!


 まぁ、煽ってるのは接近戦に持ち込む為なんだけどな。


 やはり、慢心はダメだな……身体能力に差があれば通用しない。



 それにこれ──



 遠距離攻撃くらったら絶対に避けれないしな……。



 今避けていられるのは初手の攻撃でお陰だ。


 避けた時に違和感を感じたんだ。


 そして何故かレイラの場所がわかった。



 この力は何を隠そう──



 という意味不明な力だッ!



 俺のにより覚醒したのだろう。なんせレイラのおっぱいは半分以上が曝け出されているからな。


 動く度に服から飛び出しそうだッ!


 それを見たいが為に頑張ったら攻撃もそこそこ見えるようになるとは思わなかったぜッ!


 どんなに速く動こうとも、おっぱいの場所はしっかりとわかる。



 これが世間で言う──第六感という奴だろう。



 いつ弾けたお胸様が見れるのか──


 一瞬たりとも見逃せないッ!


 おっぱいを見る為に動体視力が普段よりもかなり良い気がするぜッ!


 何より、俺は『慈愛の誓い』で死線を掻い潜ってきた男だ。メンバーとの馬鹿みたいな模擬戦で鍛えられてるから目は元々かなり良い。



 そして身体強化魔術のお陰で体もそれなりについていっている。



 今ならどんなおっぱいでも掴み取る事が出来るだろう。



 レイラがまた俺の背後に回る──


「無駄だ」

「あぁ、ん……」


 こうやって、おっぱいをにすれば、攻撃される前に止める事が出来るのも発見だ。


「──この変態ッ──んん、あ、ぁん──」


 更に動いても俺のテクでを弄ってやればこの通り──



 無力化も可能ッ!



 しかし、レイラのおっぱいはすげぇ柔らかいな……柔らかすぎると言っても良い。


 なんせ手が吸い付くように完全におっぱいに埋もれている。


 シリアスな戦闘からエロ一色に変わるとは思わなかったぜッ!




 さて、早く戦闘を終わらせなければならん。


 なんせレイラのおっぱいを掴んだあたりからティナが凄く睨んできていて怖いからな……。



 しかし、どうやって腕輪嵌めようかな? 俺の攻撃速度じゃ中々当たらん……攻撃がたまに当たる事もあるんだが、直ぐに再生されるからなぁ……。



 このままだとタイムリミットが来てしまう……。



 その時、ピコンッと音が鳴って文字が表示される──



『リーシェ接近まで後15分程。早く片付けろ、このおっぱい狂がッ!』


 はあァァァァッ!?


 1時間以上は余裕であるはずだろうが!?


 しかも勝手に『鑑定』が発動してるとか意味がわかんねぇよ!?


 いや、まぁ情報はありがたいんだけどさ……最後の一言酷くね!?


 俺はおっぱいに狂ってねぇよッ! 欲求不満なだけだッ!



 それより、俺の居場所がバレたのか!?



 ど、ど、ど、どーしよ!?



 と、と、と、とりあえず目の前のレイラをなんとかせねば──

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る