第16話
俺は用意された部屋で1人目覚める──
マイとは部屋を分けてもらった……我慢出来ない可能性があるから……。
はぁ……昨日は散々だったな……。
まさか直ぐにバレて、本番無しの店まで辿り着けないとは……。
お陰で我慢しながら、マイと共にもう一つの予定である敵の視察をする事になってしまった。
正直──マイの追跡能力は『慈愛の誓い』のメンバーを超えてるかもしれん……。
絶対に手が出せんな……出してあいつらみたいになったら逃げ切れる自信がないッ!
そういえば視察の結果──
敵の事が少しわかった。
『幻影魔法』があれば潜入捜査も簡単だからな。
敵組織の壊滅は正直容易いだろう。
問題があるとすると──
暗殺者『
気配も感じず、音も無く殺し──
裏の世界では俺と同じく正体不明の存在として有名なのだが──
こいつがここにいる理由がわからない。
敵組織も『
ここで、何故俺が『
俺はこいつを半年前ぐらいに見た事がある。
一度、こいつに襲撃された事があったからな……。
生き延びた数少ない人だと断言しよう。
まぁ、基本的に1人になる事が無かったから助かっただけだけどな……。
確か襲われたのは夜中にリーシェさんと一緒にいた時だった……。
あの時は普通に焦ったな……マジで。
まさかリーシェさんに襲われてる最中に襲撃されるとは思わないだろ?
いきなり解放されたと思ったら、短剣が俺の喉で止まってたからな。
マジで死ぬかと思った……。
更にリーシェさんの怒りが凄くて、恐怖もヤバかった……。
確か周りの建物が倒壊する事態になってたな……。
結果的に『
どうでもいい情報だが、俺の息子も危機を察知して萎んだ。裸の女性を見ていても怖くて萎むなんて事が起こる事に驚いたものだ……。
尚、追い払った後の蹂躙は凄まじいものだったと明記しておく。
だって……朝方まで襲われたんだぜ?
まぁ、今はこの話は置いておこう。
ちなみにその時見た『
獣人の少女だった。獣人と言っても人と獣を足して割ったような外見なのだが、種族によってその割合は異なる。
共通しているのは人族に比べると五感や筋力がかなり強いし、柔軟性がある。
『
12〜13歳ぐらいの子が暗殺者として俺を殺しに来た事に驚いた記憶がある。
後で俺が襲われた理由を【絆】経由で聞くと──
『ハーレム野郎に天誅をッ!』
──と酷い理由だった。
こんな事があってからだな……パーティを抜けたいと特に思ったのは……。
一応、そいつらにはお仕置きしといた。
それより──
問題は『
おそらく最低でもSランク寄りのAランク相当だ。Sランクパーティで色々と見てきた俺が言うから間違いない。
正直、『
もはや、神頼みしかあるまい──
つまりッ!
【
きっと、子供を助ける為に動いている俺に神様はきっと必勝の何かを授けてくれるはずだ。
運の要素が強いが、俺の経験上──
選択肢が無い時の方が、その時必要な物を貰える気がする。
まずはどんな形でのルーレットか確認だ。
俺は【
すると、目の前に副引きとかで回して使うガラガラ抽選器が現れる。
「……これを回せってか?」
ふと、前を見ると玉の色により景品が表示されていた。
仕様が変わったのだろうか?
とりあえず、項目を見る──
金色:エリクサー
銀色:スキル『変装』
赤色:魔道具『透明マント』
緑色:スキル『身体強化』
黒色:高級お菓子(大量)
俺の善行を神様は汲んでくれなかったのは分かった。
だって、こういう抽選器ってさ……ほとんどがハズレばかりだろうに……。
とりあえず、このチョイスについて少し考えてみようと思う。
エリクサーが選択肢にあるという事は、それだけの傷を受ける可能性が高い事が予測出来る。
戦闘になったらまともに戦わないようにしようと思う。
他の3つはこの間もあったような……。
これらがまだ必要な場面があるのか気になるんだが……。それとも神様が選択肢を考えるのが面倒臭かったのか?
出来れば『身体強化』が良い……戦闘にもなるだろうし、戦闘力の底上げが出来るなら是非欲しい。
このハズレ枠だけは1番当たってほしくねぇな……。
高級お菓子とかいらねぇよッ!
まぁ、回さないと始まらんな……。
俺は抽選器をガラガラと音を立てながら回すと──
コロンッと玉が一つ出た。
色は──
「神は俺に死ねと申すか……」
──黒色の玉だった。
救いが無いな……。
最後の晩餐代わりにお菓子を食えという事か……。
俺は四つん這いで絶望していると──
目の前にピコンッという音と共に文字が表示される。
[『無限収納』の使用を推奨]
「は? ──上から何か降ってきた? お菓子?! まさか──」
天井からお菓子が大量に降り始める──
俺は即座に『無限収納』を使用して中に入るように入り口を出す。
お菓子は吸い込まれるように『無限収納』の中に収まっていく。
止まる気配は無い。
お菓子何年分あるんだよ!?
しばらくしてやっとお菓子の雨が止む。
「いくら何でも多すぎるだろ……」
そう言いながら、床に散らばったお菓子を回収していると──
「失礼します。朝食のお時間です──どうされました? あら、お菓子じゃないですか!?」
シスターが俺を呼びに部屋に来た。
視線は床に散らばったお菓子に固定されている。
お菓子は高級品だ……女性は目の色を変えるのが普通と聞く。シスターも例外なく欲しそうな顔をしている。
「あー今行く……お菓子を皆に配ろうと思って出そうとしたら床に散らばってな……」
「それは私も貰えるのですか?」
シスターは俺の両腕を掴みながら凄い迫力で聞いてくる。
「も、もちろんさ。シスターにも配るよ?」
「──嬉しいですッ!」
シスターは俺を鯖折りするぐらいの勢いで抱きついてきた。
嬉しいのだが、痛い……おっぱいは気持ち良いけど──痛い……あと、股間も張り裂けそうだ。
とりあえず、お菓子はこんなにいらないからシスターと子供に配るか……。
しかし、今日のシスターは昨日の夜のシスターよりおっぱいが少しだけ大きい気がする……。
日替わりで大きさが変わるのか?
後でマイに聞いてみよう。
ついでに『俺の息子をなんとかしてくれ』とも聞いたら本番無しでやってくれないだろうか?
ダメだダメだ……泥沼確定になる……。
俺の欲求不満がヤバいな……この状況をなんとかしたい……この件が済んだら何か考えよう……。
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