第30話
伯父に送ってもらった、市の人口減少と高齢化対策の施策が書いたファイルには、実に様々な対策が書いてあった。
主のものを列記してみると、福祉分野では公共施設のバリアフリー化、自宅をバリアフリー化するさいの補助金交付、男女の出会いを促すイベント開催への補助金交付、出産祝い金の高額支給、乳幼児がいる家庭の市営住宅家賃の減額、雇用を増やすための、誘致企業への補助金交付等々。
市の施策は、一覧表になっていたが、数えるのが嫌になるほど様々な施策があり、どこの自治体も、似たりよったりのことをしているそうだ。
そして、既に10年程前から人口減少と高齢化対策は実施し、5年に1回程、その時々のトレンドを取り入れ焼き直ししているにも関わらず、出生率は上昇しない、都市部への転出に歯止めはかからないという。
そこで、今回は、卒論の内容を観光業に絞り込み、研究テーマを、
「観光業による地域経済の活性化への取り組み」にすることにした。
今までの取材で知ったことを、自分なりにまとめてみた。
国の施策
内容
インバウンドによる外国人観光客の積極的な受け入れによる、GDPの維持向上。
課題
受け入れ施設の従業員不足。
外国資本の介入。
自治体の施策
内容
外国人観光客受け入れのための施設整備、多言語のポスターや観光パンフレットの作製。
課題
特定観光業者への肩入れができない。
来るのかわからない外国人観光客に対応した施設整備への税金投入。
観光協会の施策
内容
英語、中国語、韓国語等で案内できる、観光案内人の雇用や育成、観光事業者に対する、外国人観光客受け入れ体制構築セミナーの開催
課題
外国語に堪能な人は、募集しても応募してくれないし、今いる観光案内人が、外国語を習得するのは、不可能に近い。
小規模な事業所などは、来るかわからない外国人に対応した、多言語表記の説明書作製や、従業員の英会話の勉強は、かなり難しい。
観光協会の係長さんからのメールには、私が取材で特に質問しなかったから、言わなかったけれど、こんなこともやっていると、観光案内人とセミナー開催について、
教えてくれた。
こんなことをしているうち、8月10日になり、私は千晴さんのいる温泉旅館に向かった。
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