第15話

 両親を前にして、私は、

「実は、今アルバイトしている温泉旅館の跡取り娘と仲良くしていて、私が婿になり、温泉旅館を継ぐ約束をしました。大学生なのに、勝手にこんなことを決めて、 申し訳ないですが、父さん、母さんに了承してもらいたいのです。」


 母親は、

「相手の親御さんは、どう言ってるの?、私は、勇樹が決めた女性と一緒になることは、良いことだと思ってる。」


 父親は、

「まだ大学生なのに、将来の選択肢を狭める婿入りを、今の段階で決めるのは、 早いと思うけどな。」


 私は、

「旅館の娘さんは、千晴さんと言いますが、彼女を通してご両親の考えを聞いてもらったら、一応交際は認めるけど、まだ私は大学生で、今後私の考えが変わることもあるので、保留し卒業してからという考えのようでした。」


 私の話しを聞いた両親は、

「相手の両親の言う通りだと思う。勇樹の好きになった女性と交際をすることは、否定しないけど、まだ大学生なので、将来のこともあり、慎重に交際を続けてほしい。」


 そして、

「別に婿になることを反対している訳ではない、あくまでも、将来の選択肢を今の段階で、狭めてほしくない」

 と諭したのだった。


 これを聞き私は、

「今の段階で、私は千晴さんのことを好きです。将来結婚し、一緒に旅館の仕事をしたいと、思ってます。けど、今後何があるかわからないので、今は交際を続けて行きます」

 と言うと、両親は大きくうなずいた。


 このことを千晴さんにメールすると、

「やっぱり、親が言うことは一緒ね、それで、1月と2月はどうする?、こちらにはつ来れるの?、ちゃんと教えてね、それによってシフト決めるから。」


 ああ、千晴さんの頭の中は、何か実務的で、将来の結婚は確定として、まずは、今月や来月のデートのスケジュール調整を聞いてきた。


 1月は、もう千晴さんのシフトが決まっていて、祝日や土日を含めた前後は休めない。

 私も大学の授業を休んでまで千晴さんと会うのは、心がとがめる。

 だって、せっかく両親が負担してくれている、大学の授業料を無駄にしている気持ちになる。


 そして、千晴さんから、デートの日時を決めるメールが来た。

「2月25日から春休みが始まるので、平日でも大丈夫ですよ。」

 と答えると、千晴さんは、

「絶対、2月28日にしてね。待ってるから。電車の時間も教えてね、なるべく早い電車が、いいけど。当日のプランは私が考えておくからね」

 と、返信が来た。

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