第10話

 そして、12月千晴さんから、アルバイトのお誘いのメールが来た。

「年末から正月にかけ、予約でいっぱいになりそうな勢いなの。またアルバイトに来てくれない?。両親も是非にとご指名なの、お願い。」

 私は即、了解のメールを送り、両親に話すと快諾してくれた。


 どうも両親は、休みの期間中遊びに歩かれるより、アルバイトしてくれた方が安心するし、社会に出てからの経験の一部を、今獲得できることもあり、このお誘いを歓迎してくれている。


 12月末に電車で向かうと、ホームには千晴さんがいて、ありったけの笑顔で迎えてくれた。

 一緒に改札をくぐり、この前の駐車場に着き車に乗り込むと、千晴さんが、

「お帰りなさい」

 と言って、私にだきついてきた。


 私も抱きしめ、

「会いたかった」

 と言い、唇を近づけると、千晴さんは目を閉じ待ってくれている。


 唇を合わせ、舌を入れると、千晴さんの舌も応えてくれ、逆に私の口に侵入してきた。

 そんなキス千晴さんの積極的なキスを受け入れた後、落ち着くと、千晴さんは、

「ずっと待ってた。いつも勇樹君のこと考えてた」

 と言ってくれ、

「私も、ずっと千晴さんを思ってた。」

 と返し、再び抱き合った。


 しばらくして車を出し、郊外の道に入ると千晴さんは、

「両親から、勇樹君のことを根掘り葉掘り聞かれて、将来婿さんになってくれるかな?、なんてことも言い出すのよ」

 と、冗談っぽい口調で話していたが、私は真面目な口調で、

「将来、千晴さんと結婚して、婿になっても良いと思ってますよ」

 と言うと、

「えっ、」

 というと、車を停め、私の方を向き、

「それ、本当にそう考えているの?」

 と聞いてきた。


「はい、真剣に考えてます。私の家は両親がサラリーマンだし、弟もいるし、問題ないと思います」

 と言うと、千晴さんが抱きついてきた。


「ありがとう、本当にいいのね」

「はい、千晴さんと初めて車で町に行った時、『後を継いでくれる人としか、お付き合いでない』と言ってたので、それを覚悟してキスしましたから。本気です。」

 そういうと、大きな目には涙をたたえ、今にも泣き出しそうだ。


 案外、千晴さんて泣き虫なのかなと思いつつ、抱きしめ、背中を撫でてあげていたら、本当に泣き出してしまった。

「驚かしてごめんね。千晴さんのこと大好きだから、絶対結婚したいと思ってる。」

 そういうと、ますます泣き出してしまった。


 抱き合いながら泣き止むのを待っていると、

「お父さんとお母さんに言ってもいい?」

 と、涙声で聞いてきたので、

「はい、私もアルバイトから帰ったら、両親に言いますから」

 と言った。

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