第6話

クール便で送られてきたのは、焼きそばの麺10食、ソース1本、レシピを読んで調理に挑戦してみることにした。


焼きそばは、麺が太くて茹で麺のように柔らかく、ソースは市販のウースターよりも、スパイスの刺激が少なく、若干甘酸っぱく感じた。


材料として用意するのは、焼きそば麺、ソース、キャベツ、合挽ひき肉、生卵、福神漬だ。


まず、フライパンをガスにかけ、十分温まった後、油を引き、キャベツを炒め始め、そこに水で薄めたソースを少しかけ、キャベツに味付けをする。


その後、水分がなくなってきたら、ひき肉を投入し良く炒め、その後、麺をほぐしながら入れ、同時にソースも入れるが、一気にソースを入れるとフライパンの温度が下がるので、少しづつ入れ麺に味をなじませつつ、炒めることが必要とのこと。


同時に、目玉焼きも作っておくことが必要のようだ。

注意事項として、目玉焼きには、水を入れないこと!、蓋をしないこと!と書いてあった。

その理由として、水を入れたり、蓋をすると目玉焼きが水っぽくなるので、弱火でじっくり、作ると、カリカリになって、後で焼きそばに乗せた時食感が良いと書いてあった。


また、家庭用ガスコンロの火力では、一度に二食分作るのが限界なので、無理はしないこと、とも書いてあった。


昼、千晴さんの自宅の台所を借り、二人で二食分作ることになり、千晴さんは、キャベツちぎりと、目玉焼きの調理担当でだ。


レシピ通り作成し、焼きそばを大きめの2枚の皿に盛り付け、上に目玉焼きを乗せ、

脇に福神漬を添えた。


さっそく食べてみると、千晴さんは、

「あっ、ちょっと甘酸っぱく濃い味だけど、目玉焼きの黄身をからめると、すごいまろやか。福神漬と一緒に食べると、またちょっと濃い味になるのね。それに麺が太くて、もちもちしていて、とっても美味しいよ。」

と、合格点をいただいた。


私も食べてみても、千晴さんと同じ感想が出てくる。

そして、千晴さんは、

「これ、一食屋台で出すとしたら、量が多いと思う、この半分でいいんじゃない。目玉焼きは1個付けてもいいけど。」


私は、

「伯母さんから送られてきた、麺やソースの値段は、麺が1個50円で10個だから500円、ソースは1本500円、これに卵20個、キャベツ、ひき肉の値段を加えても、3千円ほどだね。あ、それに送料が約千円で、約4千円。20食だと、1食あたり200円か、どうだろうね?。」


千晴さんは、

「儲ける必要はないけど、ガス代やパックの容器、それに割り箸とかあるから、

250円で売っちゃおうよ」

と言い切った。


それから、二人で焼きそばを食べ、夜に千晴さんのご両親と調理人さんに食べてもらう、ことにした。

その結果、ご両親と調理人さんから、口々にお褒めの言葉をいただき、何と、

「お昼のメニューに加えたいくらいだ」

と調理人さんから言われ、かなり嬉しかった。


あと、調理人さんからのアドバイスで、当日現場で調理して1時間以内くらに売るのであれば、パック詰めを作り置きして、それを売っても問題ないとのこと。


1食を250円で売ることを了解いただき、材料費は旅館が立て替えてくれることになったが、問題は、何食分注文するかということだ。


伯母から送ってもらう関係で、当日の追加注文は無理なので、多めに麺100個、200食分を、ソースも10本送ってもらうことにし、お祭りの前日クール便で届くよう伯母に電話した。


その際、伯母は、お祭りの時には、焼きそばを焼く鉄板の周囲を、焼きそばを焼く前から、ぐるりと目玉焼きが取り囲んでおり、鉄板の縁の熱で目玉焼きをじっくり焼き上げているとのこと。

これは、おおいに参考になった。

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