第7話
「うち的には、完全に切り離して考えてるから。」
「それ無理じゃねえか。」
「向こうからしたら、まあ無理だね。」「図にして表したら旦那はピラミッド型、自分は風船型なんですよ。」、ふとした検索がきっかけでSNSを通じて結婚していることを知った。こんなバンバン自撮りをUpしていればそういうこともあるだろうが、アカウントを見つけた時には随分と驚いた。SNSには自分が知る彼女よりも自己プロデュースされた見せたい自分がそこにあった。「旦那はどう思ってるの?」に対する回答はそれは相手を騙しているだけだろうとしか思えなかったが。「旦那ちゃんは、ピラミッド型で、パートナー、妻が最優先事項、2番が友人、家族みたいな。そのもう何もかも仕事とかも何もかも捨てて妻の元に駆け寄るっていうのが俺って言ってて。」「なるほどって。」これは偽らざる旦那の、この自分の目の前で裸になってる妻への愛情なんだろう。
「でも、うちはそのあの旦那が。旦那ちゃんがおって友達がいて、仕事があって、それが均衡に保たれてて、メンタルが安定するっていう人間なんですっていう話をしたら。」「なるほどって。」「ちょっと考え方が違ううんじゃないかって。」「その、もし、その私的には、その、旦那ちゃんっていう、ま、風船が1つ破裂したとして、他は何かで膨らませばええやんっていう考えだね。」
「あなたはそうだね、あなたは。」これは旦那が聞いたらちょっとしんどいなって思う。
「友達をずっと増やす、仕事を~めっちゃ頑張って、か、他の埋めれる依存先をいっぱい作るタイプ。」「依存先をこう順位付けするタイプとで、ちょっと違う。」
「なるほどね。」「言いたいことはわかるわ。」彼女の心の中にいくつか風船があって、それが膨らむことで中が満たされるイメージなのだろうか。万が一どれかが割れたとしても変わりの風船を膨らませればいい。これが男女差なのか個体差なのかはよくわからなかったが、説明されたイメージは自分にもわかりやすかった。
「うんなるほどね。」
「そういうこと、ああなんかちょっと考え違うよねってなって。」
「いや。そそこはね。別にあのどっちの考えも、あの。分かるし、成り立つと思いますよ。」「問題は。」
「うちがその不貞行為をしているという。」
「そうそうそこですよ。そういう人に、ヒエラルキーをつける。優先順位つけてしかもあなたの最上位に来てる人が裏切られたときに。」
「え、今なんかちょっとそのヒエラルキー的にはうち2番目か3番目ぐらいに下がってる状態で。」「要は大事にされてる感じがしないって言ってるけど。」「まあいいや、まあ、別にあの別に冷えられても、なんか、別にいいんですけど、ま下がるとどうなるかっていうと、他のことを優先するんだよねっていうこと。」裏切られたときに旦那はどう思うかという話をしようとしていたのだが、どうやらヒエラルキーのなかのポジションが下がったという話になったらしい。
「ま、そうは言ってもさ。」「要は裏切りを許容するかってのは別じゃないですか。」
「そうですね。でもなんかそれを言及、聞いたら聞いたら。」「うち、もっとひどい時期があったんですよ。」「ニューキャバ(札幌ではそういうらしい)って言って、ま、こっちでキャバクラ。キャバクラで働いてた時には終わり時間が大体1時ぐらいで。うんで、そっからお客さんの後飲みに付き合うっていうのがアフターっていうんですけど、アフターに付き合ってて、その次の日のその仕事7時からやってんのに、次の日の朝とか昼前とかに帰ってくるっていう事態を許容してたんですよ。旦那は。」「うちもまた飲みに付き合ってたし。」
「その状況って実際その家庭状況的には酷すぎるから。」
「それに慣れちゃったから、今マシじゃねみたいな。」どうやら今の状態は以前よりはマシということになってるらしい。
「え?それは旦那が妻はエロいことをしてるっていうことを知った上で?OKなの?」
「うん、それはしてないよね。もちろんOKしてるわけないよね。」「薄々感じているかも。」
「いや、それは単にさ、飲みで、遅かったことを共有したっていう話でさ。」
「言われたことあるよ。その、今、どうせ、男と一緒に寝てるんでしょみたいな。言われることあるけど、うち、ただ普通にバーで潰れて寝てただけなんだけど。」「そん時は、なんかそのなんて言ったっけな、そっちの勝手な妄想で決めつけないでくれみたいな。」
「それ、事実だったかどうか知らんけど。」
「で、なんかそれでま勝手に決めつけてくれみたいな。そ、そんなイチャモンつけられる筋はないんだよねって話になって、その場は収まった。」逆切れじゃねーか。
「事実はどうだったん?」
「事実は普通にバーで寝てた。」
「まあまあ、それだったらまだいいやんね。」「でも、これは違うだろう。」
「これは違うけど、なんかその序盤の方で割とふかしすぎて、うんみたいな。」「実際、今夜遅いやん。」「9時過ぎとかになると遅いやんってなって。」「そのご飯だけでこんな時間になるわけないじゃんてなった時にも、うちもそう思うよ。」「ごはん一次会だけで、そんな普通に7時に始まって9時に普通に終わるやつ。」「12時に帰ってくるとかって、何事ってなった時に、ま考えられることは2次会3次会に誘われたって言って、リピーターのお客様だから行きました。」いい大人がそんなちゃちな言い訳を毎回信じるものなんだろうかと思ったが、それを拠り所にしてこの家庭は成り立ってるんだろうなと思った。
「で、もう1つの案として、今のような状態。エッチしましたって。」「でもうちはもう前者を押すわけで。」「どう、どうしても。」一応正直に言うパターンも考えてたらしいのは笑った。
「その実際にあったことを言わないのがこの円満に繋がるのかなっていう話をした時に、あの、嫌みたいなってことは、俺に嘘ついてることじゃんって言われて、そう嘘つかれるくらいなら言った、言ってもらった方がいいって言われた。」「なるほどみたいなオッケーって。」本当のことを少し混ぜた嘘という奴なんだけどそうやって維持してることはわかった。
「それ嘘じゃん。」
「でも、まあ、嘘つくときは、ほんとのことをちょっと混ぜた方が嘘は成り立つからな~と思ってる。」
「何一つ解決してない。」
「で、解決させる気はないもん。」「解決させようと思ったら、うち、貴方と会えなくなっちゃうじゃん。」
「解決せず、むしろ本当のこと言って、あなたの家庭が続くイメージもないってことや。」
「続かないね。」
「無理でしょ。」
「続く、続いたとしても、多分、半年後ぐらいに爆発して離婚するね。」
「うん、てかね。」「まあ、身も蓋もないこと言うと、あなたは変わらんから。」「うん。」
「それを、ま、所詮こんなアバズレって言って、気にしない人か。騙すしかないんだよ。」「気にしない人か。」
「我慢するか?」
「我慢は無理でしょ。」「人間そんな風にできてないだろ。」
「だって。なんかうちの言ってることって、結構矛盾してて。」「なんかその矛盾してるっていうか。」「不健全なことをしてますよ、で、その上で私のことは100パーセント愛してくださいっていうことを、まあ、そこまで言ってないけど、そういうことになってるんですよ。」
「てなると、まあ。おっしゃってた通りに。憎しみ、買った時、どうなるんだろうみたいな。」
「もう無理だね。俺なら許さんよ。」「僕もね。上の子供はまあ、結構生意気なことを俺に対してややらかしてくれたけど、俺は基本全部許したけど、それは子供だから。」
「そのおっしゃってた通りで、そのそんなこと許せるのはもう親くらいやねって話なのはま実際、そうなんやと思うけど、ま許されなかった時にどうするってアクションの時に、うちってなんか、別に命の価値低いから、死ねばええやんと思ってるんだ。」
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