第13話 初の学園行事

入学して初の休日を終えて、1ヶ月が過ぎた。

5月中旬に入る頃、先生から重大発表を受ける1年生だった。


「よし、もうお前たちが入学して約1ヶ月半が過ぎた、お前たちもだいぶ学園生活になれてきただろう、そしてあっという間に6月に入るんだが、お前たちも薄々わかっていたと思うが、6月1日にある学園行事がある、この行事は成績にも関わってくる、しっかりと聞くように」


どうやら、6月1日に学園行事があるらしい。

今思えば、この1ヶ月間、学園らしい行事は全くなかった。

基本、訓練と勉強のみ、正直別にこれだけでもいいのだが、まぁ普通の行事と言ったら、体育祭とか、文化祭、あと何があるかな?まぁ期待はしないが。

この1ヶ月、初の休日以来、特に変わったことはなかった。

なんなら、課題などでそれ以降の休日も潰れてしまった。

学園というより、やはり軍人学校って感じだ。


「6月1日に行われるのはクラス対抗剣術勝負だ」


剣術勝負?しかもクラス対抗。


「そうこれは1年生のクラス同士で争う行事、これはクラス単位で評価され、最終的に勝利数が勝敗を決める、さらにこの行事には先生や軍人の方もお見えになる、その人に評価されれば、さらに単位をもらうこともできる、特に剣術が得意な者は頑張ってほしい」


なるほどね、言うなれば、この2ヶ月の成果を見せろってことだ。

しかも、剣術か、これは魔術もいずれあるかもしれないな。

しかし、クラス対抗か、相当時間がかかりそうだが、そこら辺はどうなんだろう。


「出れる人数は10人までだ、俺たち先生は一切、お前たちには介入しない、クラスでしっかりと出る生徒と順番を決めるように、以上だ」


なるほど、人数は決まってるのか、なら納得だな。

先生はそのまま教室を退出した。

どうやら、残り時間は自由にしていいらしい。


「なあなあ、伯!」

「なんだよ…」

「もちろん、出たいよな!!」

「いや、あんまり、俺は興味ないかな」

「え〜強いやつと戦えるんだぞ!!しかもAクラスと戦うチャンスもある!出るかしないだろう!!それにお前、剣術の評価高かっただろう」

「それはまぁ、そうだけど」


最終的な現在の評価はB、剣術だけならAを取っていた。

まぁ魔術はEだったけどな。


「よし、じゃあ、みんな今回の行事についてみんなの意見を聞きたい」


このクラスを取りまとめているのが、あの爽やかイケメン、青山拓(あおやまたく)成績もこのクラスではトップで女子から男子から信頼されているクラスメイトだ。


「今回の行事は僕たちの成績に大きく反映される、やはりここは剣術の成績のいい人を出場させるのがいいと思うんだけど、どうかな?」


質問を投げかけると、ほとんどの生徒が頷いた。

さすが、我らがCクラスのリーダー(仮)だな。


みんな、何も嫌味も言わず、ああいうのがいると他の生徒が考えるのを放棄するからいけない。

「だけ、一様、そんな生徒はいないと思うけど、出たくない人がいれば言ってほしい、無理に出場させるわけにもいかないからね」


これは断れないパターンかな、ああやって出たくない人はって言って入るけど、あれは絶対に出場させるための巧みな言葉だ。

もし、ここで断る奴がいれば、その行事の後、いじめや、疎外などを受ける可能性がある。


「とりあえず、今週の金曜日に剣術の評価順にまとめてみんな見せるよ、もし不満や出たくない人がいればその時に聞き入れるよ」


こうして一旦、話し合いは終わった。

まぁ話し合いですらなかったが。

授業が終わり、3人で帰宅する道中。


「いや〜楽しみだな!!クラス対抗剣術勝負!!」

「楽しみすぎだろう」

「だって勝負だぜ、勝負!!燃えるよな!!」

「そんなに燃やしていたら、本番で燃え尽きるよ?」

「うるせぇな、大きなお世話だ!!」

「ほらほら、熱くなりすぎ…タコみたい」

「なっ!!貴様!!」

「キャ〜!!襲われちゃうよ〜〜助けて伯くん」


そう言って奈々は俺の背後に隠れる。


「はいはい、お前ら一旦静かにな」


本当に元気な奴らだな。


「そういえば、拓君が完全に仕切っちゃったけど、大丈夫なのかな?」

「どうだろうな、まぁ剣術の評価順にまとめるって言ってたし、大丈夫だろう」

「だと、いいけどね」

「それに剣術の評価順なら俺たちが選ばれるのはほぼ確定だろう?」

「どうかな…もしかしたら、選ばれない可能性もなくはないと思うが…」

「それこそ、ありえねぇよ!!心配性だな!!伯は!!」


青山拓…ああいう人間は大抵裏がある、それにあの場の支配する能力は恐ろしい。

何もなくても油断しない方がいい。

それに俺はクラス対抗剣術勝負より、確かめたいことがある。


「蓮也が脳天なだけでしょ!!」

「あ?なんなら勝負するか?」

「いいよ、ボコボコにしてあげる」

「お前ら、勝負するなら、明日にしろ」


そんな他愛のない話をして家に帰宅した。




学園本部・学園会議

10人の学園の責任者と学園長が輪になって椅子に座る。

学園会議は生徒たちの育成方針、行事に管理など話し合い、最終的に学園長がまとめて、王育成機関・本部に報告しなくてはいけない。


「今回のクラス対抗剣術勝負は見応えがありそうですな」

「ですな、なんせ今回は注目の生徒が4人もいる、それに」

「その4人以外にも優秀な生徒がいるとか…これはもしかしたら、新しい風が吹くかもしれないな」

「ええ、これほど楽しみなのは久しぶりです」


会議は今までにないほどに盛り上がっていた。

注目の星波麻那など王候補に近い人物が4人に加え、評価Aを受けたものが複数いたなど、この世代は相当注目を浴びている。

こうして会議は順調に進み、夜8時ごろに終わった。


「ようやく終わったわい、わしも年じゃな」


一息付き、椅子に深く座る。


「年老いているのはいつものこと…」

「おっ!びっくり、本当に心臓に悪いわい、もう少しマシに出てき方はできんのか、アルファ」

「見つかってもいいのなら、堂々と真正面から来るけど?」


アルファは冗談気味な言葉で返す。


「勘弁してくれ、でどうだったあの少年は…」

「そうだね、まぁ強さで言ったら強いよ、確実にね、ただ飛び抜けて強いわけじゃない、まぁ王候補に入れるか微妙なところ」

「なるほどな、つまりまだまだ王候補になれる可能性があると、」

「そんなこと言ってないけど…」

「引き続き、頼むぞ」

「はぁ〜〜わかった…」

「いつも、すまんな…」


少し目を離すとアルファの姿はもうなかった。


「そういえば、最近よくないニュースを聞いたな、念の為、これはわしが調べておくかの、生徒の安全もしっかりせんと、学園長としての面目がたたんしな」


こうして会議は完全に終わったのです。

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