第9話 神白奈々とデート?後編?《剣王》模擬戦

ドームは基本、剣術大会、魔術大会、祭ごとなどでよく使われる施設で、それ以外に使われることはほとんどない。

しかし、例外ももちろんある、それは七元王絡みである。

七元王は絶対的力と権力、発言力があるが故に、ほとんどの要望が誰も意見を言わずに首を下に振る。

そして、七元王の絶対的地位の中で、人間の中でも一定の発言力があるものがいる。

その一人が全大会統括会長・豪是隆元(ごうぜりゅうげん)、全大会統括会長になる前は剣術、魔術ともに優秀で一部では破壊者と呼ばれたほどの男、七元王の人たちもかなり評価していた大物だ。

そんな豪是隆元が今回、《剣王》にある提案を行った。

その結果、今回の《剣王》との模擬戦だ。


「観客の人数はどうだ?」

「満員です、会長」

「そうか…《剣王》様と戦う対戦相手はしっかりと揃えてきたんだよな?」

「ご心配なく、選りすぐりを用意しました」

「くれぐれも、《剣王》様の期待を裏切らないようにな」

「安心してください、私の人選は完璧です」

「ふん、下がれ」

「はっ」


一人になると、豪是隆元はゆっくりと椅子に座る。


「まさか、本当に《剣王》様がこんなもようしに参加してくるとはな…何か裏があると見るべきか、、うん?」


観客席を眺めているとある人物に目がいく。


「はははっ!!、あやつめ、また何か企んでおるな…《剣王》様と…これはやはり裏があるな」


席を立ち上がる。


「見届けてやろうではないか…ガハハハははは!!」



剣王控室

過去なんて些細なことだ。

私はそう思う、だっていくら過去を振り返ったって過去は過去だ。

だから、私は決して振り返らない、ただ前に進むだけ、それは今でも変わらない。

そう、この剣と同じように……。


「《剣王》様…お時間です」

「わかった、すぐ行く」


振り返らない、私は今まで強敵と出会ったことはない。

そして恐怖すらも感じたことはない。

だって私は生まれた時から最強であったから。


「だからこそ…」


あの時、感じたあのなんとも言えないあの感覚を確かめたい。

この模擬戦はウォーミングアップ……戦いですらない。


「さぁ、ウォーミングアップを始めようか」


《剣王》ミラ・ヴィクトリアは光り輝く、門をくぐる。


「さぁ、やってまいりました!!今宵は《剣王》様とチャレンジャーとの模擬戦です!!模擬戦と言っても《剣王》様の剣技を見れるのはとても貴重です!!そこの運のいいそこの君!!《剣王》様の剣技を目に焼き付けるんだ!!」


会場は一気に盛り上がる。

それもそのはず、ほとんどの人たちは《剣王》が戦った姿を観たことがないのだから。


「この私!!ニックネーム・Mが司会を努めさせていただきます!!とっ!言うわけで最初の対戦相手はこいつだ!!カモン!!」


すると扉からとある人物が登場する。


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「元Aランクの軍人!!ラゴップ・チョップ!!」


鍛えられた筋肉、研ぎ澄まされた魔力はまさしく、Aランクレベル。


「みよ!我が筋肉を!!」


そう言いながら、観客に筋肉を見せつける。


「そして今回の主役!!我らが、偉大なる王の一人!!《剣王》ミラ・ヴィクトリア様だ!!」


輝かしい金色のロングヘアを靡かせ、剣を二刀を鞘に収め、輝く黄金の瞳は、観客を対戦相手を魅了した。


「おっと、つい次見とれて…ゴホンっ、では!!各選手は指定の位置についてください!!」

「《剣王》様と戦えてとても光栄です!!」


そして二人は一定の距離を離れ、向かい合う。


「それでは!!ラゴップ・チョップVS《剣王》ミラ・ヴィクトリア様の模擬戦、開始です!!」




時間は少し遡る


「ここがドームか、大きな」

「ねぇ、これなら、思い切って戦える広さも取れるし、模擬戦にちょうどいいよね」


本当にここで《剣王》が模擬戦をするのか、そう思うと本当に運がいい。

なかなか見れないし、しっかりと目に焼き付けないとな。

そのまま流されるがままに会場に入り、席に着く。


「それにしてもすごい人数だな」

「だねぇ〜確か、最大5万にぐらい入るらしいよ」

「ごっ5万!!、それはすごいな」


観客人数5万人かぁ、これは相当儲かってるんだろうな。

それによく見ると、お偉いさんぽい人も何人かいる。

魔力量も…これは…

観たものは衝撃なものだった。

観客全員の魔力量が最低でも軍人レベルの人たちばかりだったのだ。


「もしかして…」

「あ〜気づいちゃった?実はこの模擬戦を見るためにいろんなところの権力使って、来てる人が多いらしんだ、だからあまり目立っちゃダメだよ、目つけられたら、人生終わりよ」

「ああ…」


なるほどね、どの世界でも権力とかあるのね、まぁない方がおかしいか。

しかし、逆に考えろ、権力を使うほどこの模擬戦には価値があるってことだ。


「それにしても、本当に人が……うん?」

「どうしたの?」

「いや、なんでも」


あの銀髪のショートヘア、どこかでどこかで見たことがあるよな、いやいや、まさか、ナイナイないよ。

少し目を逸らしながら、さっき見た方向に目を合わせる。

やっぱり、いるわ…、いや〜本当によく目に付きますな〜〜、ありえるか!!!

と言いたいところだが、とりあえず、意識しないでおこう。


「そろそろ始まるよ!!」

「やっとか…」


そして色々Mさんが喋った後、《剣王》ミラ・ヴィクトリアが登場した。

おお、すげぇ〜美人だ、一周回って同じ生物とは思えない。

それに、魔力量がダントツだ、しかもただ多いだけじゃなく、密度もレベルが違う。

すると一瞬、《剣王》ミラ・ヴィクトリアがこちらを向いて、すぐに向き直した。

あれ?今、こっち向いた?いや、気のせいか。

そして色々進んでいき、ついに1回目の模擬戦が始まる。


「それでは!!ラゴップ・チョップVS《剣王》ミラ・ヴィクトリア様の模擬戦、開始です!!」

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