第2話 お婆さんの反射神経

婆「あらあら!なんて可愛い子かしら!」


お爺さんが息を切らして大事に抱えて帰ってきた小さな子供を見て、お婆さんは歓喜の声を上げました。


爺「実はな…ゼェ…罠に…かかっておったん…じゃ…周りに誰も居らんし…捨て子…みた…いじゃ…ハァハァッ…」


婆「お爺さん…一回お茶でも飲んで落ち着いてくださいな」


ふらふらと倒れそうになりながら息を切らすお爺さんに、お婆さんはすかさずお茶を差し出しました。


爺「ンヒッ…すま…すまんの…ゴクゴクゴク…」


婆「あっっぶない!!!」


ガシッ!!


お爺さんはお茶を飲んで気が緩んだと同時に、もう片方の手で持っていた赤子を落としました。


…しかし、お婆さんの華麗なるファインプレーで無事に怪我なくキャッチ。


お婆さんは体勢を整えて赤子を愛ではじめました。


婆「よっこいしょっ…あぁ…本当に可愛らしい。この世のものとは思えないくらい可愛いわぁっ♪」


爺「ぅああ…すまん!婆さん!今度はちゃんと持つでな!」


お爺さんがまた抱えようと手を差し出しましたが、お婆さんは知らんぷり。


婆「あらあら。もしかしてお腹が空いているのかしらね?待っててねぇ、すぐご飯にしましょうねぇ♪」


爺「あれ…婆さん?儂ももうちょっとその子を…あの…婆さん?えっと…あの…仕事に戻るわなぁ…」


先程の失態でお爺さんはやんわりと接触を拒まれ、渋々竹取の作業に戻る事にしました。


爺「儂、もうちょい抱っこしたかったんだがのぅ…」


振り返ると。小さな子供は必死にご飯に食らいついていましたが、お爺さんの方をチラッと見てニコッと微笑んだ様に見えました。


爺「儂、頑張る。めっちゃ頑張る!」


お爺さんは先程までふらふらだったのが嘘の様にルンルンで竹林へと戻っていきました。

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