第1話 改変された竹取物語
昔々あるところに。
竹を取り、様々な用途に使って暮らしていたお爺さん、その妻であるお婆さんが住んでおりました。
お爺さんの名前は「讃岐の造(サヌキノミヤツコ)」。
お爺さんが作る竹細工はとても質が良く、国も認める程でした。
ある日。
お爺さんがいつもの様に竹林へ入り、竹を取っていると…。
何処からか、シクシクと悲しげに泣いている声が聞こえてきました。
爺「おや…?誰も居ないのか?おーい!何処だぁ?返事をしておくれぇ!」
返事はなく、それでもか細くシクシクと泣く声。
お爺さんは耳を傾け、声の聞こえる方向へと進んでいきました。
?「うっうっ…ううっ…」
…その場所はお爺さんが前日に獣道で仕掛けた罠からでした。
中には三寸くらいの小さな小さな子供が目を腫らしながら泣いていました。
爺「あやや!こんな小さな子供が罠にかかっておったわい!…よしよし、怪我はないか?」
お爺さんは慌てて罠の入口を外し、その小さな子供を優しく抱えました。
「……。きゃぁっ」
抱えられた小さな子供はお爺さんをじっと見つめ、満面の笑みで笑いかけました。
爺「ほぁ…なんちゅう可愛さじゃあ…。おや…腹が減ってるんかいの?よーしよし!お婆さんに聞いてみて、すぐご飯を食べさせてやるからのっ!」
お爺さんの指に必死に吸い付いてご飯を強請(ネダ)る小さな子供に、お爺さんはもうメロメロ。
あまり揺らして驚かせない様にしながら足早に家へと帰りました。
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