第10話

「いってきまーす」  


はわわわわわ。この機械........ちゃんとあーちゃんの声聞こえるぅぅ!

これから毎日こうやってあーちゃんの声が聞こえると想像しただけでも、失神しそう。

それが叶った今、頭の中には快楽物質で飽和している。


「えへへあーちゃん......今日は入学式だね。頑張ってね!」


私は、とりあえずあーちゃんにバレるまでは同じ高校には行かないと決めている。


どちらかと言うと、あーちゃんを養うためにこの期間はお金について学ぶの。


最初の自己資金は、私の今までの、月のお小遣い、お年玉、おばちゃんおじいちゃんからたまに貰えるお小遣い、ぜーーーんぶ貯めてきた貯金。


少ないかもしれないけれど、私はこれで頑張る。

全てはあーちゃんのため.......そう思うだけでも何もかも頑張れる気になれるの。


とりあえず、3年間あーちゃんにばれなかったらのことも考えて親には通信の高校に通わしてもらっている、その間に自分磨きを頑張るのだ。


もちろんあーちゃんが大学行くってなら、私も勉強して行くつもり。難しいところでもあーちゃんラブパワーでやり抜くつもりだよ。


「あーちゃんのとなりぃ〜〜えへへへへ」


千里は蒼の部屋側の壁にだらしない顔で体全身を引っ付けていた。

あっ、そうだ。。せっかくあーちゃんのお家が隣にあるんだしお邪魔しよっかなぁ。


さすがに玄関のドアは閉めてるだろうけど私ならわかる!あーちゃんならベランダの鍵を閉め忘れてるということをだって昔からあーちゃんはおっちょこちょいだからねぇ。本当に可愛い。

あぁ.......あーちゃんに抱きつきたくなってきた。


よしっとりあえずそうと決まれば、早速.........。


幸いなことに、一階だからベランダから侵入しても落ちる危険がない。


えっ、もしかして。

千里は急に頬を赤く染め始めた。


(えっもしかして、私が落ちても大丈夫なように一階にしてくれたのかなぁ.......そうだったらもうあーちゃん抱き潰してしまうよぉさすが私の旦那様)


興奮が抑えきれない千里は、10分くらいでようやく妄想が静まりようやくベランダの壁によじ登り始めた。

自分のところから蒼のところに行くのは容易だった。


「よいしょっと」


ただだだ壁に登るだけだったので、なにも必要がない。千里はベランダのガラス扉を触り、優しく音が出ないように優しく開けてみた。


「あっ、やっぱり。もぅあーちゃんったら用心深くしないと変な人に入られるんだからね?」


絶賛、変な人に部屋に入られてその変な人に説教されている蒼は入学式に参席していた。


「お邪魔しま〜す..........ふわぁぁぁぁあーちゃんの匂いダァぁぁぁ」


ふんっふんっふんっと鼻息が超荒くなってしまう。

自然と頬や耳などが赤く染まってしまい、自分の中のあの欲がどんどん上がっていくのが感じられた。


快感により視界が真っ白で、虚ろな目をしていた千里はようやく部屋を視認することができた。

そこには、言うほどではないが少々小説や漫画が散らかっていた。

しかしゴミなどはしっかり片付けているようで、散らかり具合以外は掃除されてるように見える。


「本当に私がいないと片付けできないんだから...........そんなところも大好きだけど」


ひとつひとつ本を拾いながら本棚に直していった。

あーちゃんまた女の子の本なんてみちゃって私に言ってくれれば何にだってなってあげるのに。目の前にあなたのためなら何でもするって言う彼女がいるのになんで言ってくれないかなぁ。

けどあーちゃん昔から照れ屋だったし、もしかしたら恥ずかしいのかも?


昔はいつも照れながら私にかっこいいいこと言ってくるんだからドキドキ止まらなかったのを覚えてる。あの頃は本当に自分のことが抑えられなくてあーちゃんをただただ大好きしてたから迷惑だったかもしれない。


けどもう大丈夫!私だって賢くなったんだからあーちゃんも私のことすぐ認めてくれて即結婚に決まってるんだから!

部屋に侵入する人と結婚しないだろ普通なんてここでは言ってはいけない。































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