第9話

「一階のお部屋って空いてますか?」


「お客様、上層階の方じゃなくてよろしいのですか?景色とか綺麗ですよ?」


私、青山千里はこのタワーマンションの見物にきている。このスーツを着た人がお部屋の紹介をしてくれるそうだ。


「大丈夫です、ありがとうございます。高校生なって一人暮らしなのでお金もなくてですね。取り敢えずお部屋の中身を見せてもらっていいですか?」


「なるほど、お客様大人の女性に見えてしまいましたので。申し訳ありません。では、こちらへどうぞ」


言い忘れたけど私がここにきた理由は、独り立ちとかそんなもので来たわけじゃない。

全ては、私のすべて、あーちゃんのため。

あーちゃん。藤本蒼って言う名前で、とてもとてもとてもとーーーーってもかっこよくて可愛い子なの。もうね、あーちゃんのこと見ただけでね

もう抱き潰したくなるほどねとても魅力的なんだよ?。どんな感じなっていえばね?みんな小動物の可愛い動画とか見た時、どうしようもなく可愛く見えるよね?それと一緒だよ。あーちゃんはね、ご飯食べるだけでも小動物みたいに可愛くて、撫で撫でしたくなってもうどうしようもなく可愛いの。

前だってね?トイレできてえらい!って言ったら恥ずかしいのかずっと黙ってたもん。もう可愛くて仕方がないよね。


それとね、幼稚園の時にねそのあーちゃんと結婚を約束したんだぁ。婚約ってやつ?あーちゃんが幼稚園の時ね「ちーちゃんが覚えたらな」って言ってくれたから私その時からずっっと覚えたの。一回も忘れたことないよ。だってあーちゃんのこと一生見てたもん。小学生の時は、取り敢えずあーちゃんの後ろをついて行ったり、中学の時は盗聴とかしたなぁ。けどね、全部あーちゃんのためなの。幼稚園の頃から私はこけやすかったり、ドンくさいって言ったら良いのかな?とにかくミスが多くてね。そんな私をいつもあーちゃんが守ってくれたの。あーちゃんが私の唯一の味方だった。周りの人は私のミスに呆れて怒ったり、最終的には私のミスが当たり前のように扱われてきた。けどあーちゃんは私の小さなミスでも慰めてくれたり、あーちゃんに迷惑かけても許してくれたり、私のためにアドバイスしてくれたりしてくれたの。そんなの惚れないわけないよね?

だからね、そんな弱かった私は次は私があーちゃんを守らなきゃって思った。大人になったら、私を守ってくれて分、どんなことからもあーちゃんを守らなきゃって。だから、盗聴もついて行くのも全部あーちゃんのためなの。


これ以上あーちゃんのこと喋っちゃったら、もっと早口になっちゃうし言葉の数も増えるから一旦止まるね。


それで、私は案内されたお部屋に移動した。


「では、こちらになります」


104.........間違いない、ここが私の家になるお部屋だ。確信できる、隣のお部屋から私の栄養分(あーちゃん)の匂いがするから。


「あーちゃん待っててね........」


この匂いのためなら、何もかも捧げることができる。


「お客様?」


「あっ、すみません。ありがとうございます、お邪魔しまーす」



「わ〜キレイですね!」


「ここは、建設されてから誰もすまれたことのないお部屋となっております」


「へ〜そうなんですね」


変なオスの住処でもなさそうだし、メスの住処でもないから最高ね!


「こちらが........」


それから私は着いてくる家電や、内装を見て回った。




















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