勤務中に邪な計画を立てる

 職場には繁忙期と閑散期というものがある。

 業界や職種によってその時期はさまざまだと思うが、今日の私はとても暇だ。

 私が担当する事務は、天候やお客さんの采配に振り回されるウェイトが高く、業務量のコントロールが難しい。後回しにできない処理が一日に集中するのはザラだ。


 そのためぽっかりと暇な日ができてしまう。


 家に帰って用事をこなしたいところだが、当日に午後休を申請するのは躊躇ためらわれる。


 人が辞めるタイミングで新規案件がぶっこまれた先輩たちが、必死で業務をこなしているからだ。


 「暇なので帰ります」とも言えないし、手伝えばそのまま自分の業務になってしまう。善意で手を出したら自分の仕事になるの、何でなんだろうね。職場七不思議のひとつだ。

 

 あとの六つは知らんけど。


 過去の経験から学んだ私は、沈黙することを選んだ。


 書類を片付けたり、不要物を処分したりするが、もともと片付けは苦手だ。すぐに飽きてしまう。


 マニュアルはとうの昔に作っているし、そもそも教える相手がいない。手持ち無沙汰になった私はふと思いついた。


 空いてる時間に小説書けるんじゃね……?


 目の前には高性能PCがあり、WiFi環境も家とはレベル違いに高い。


 悪魔の囁きに従いGoogleのマイドライブを開いたものの、サインインする間際に思いとどまる。


 万が一、私が使用しているパソコンに問題があれば閲覧履歴を探られるのではないか。そして、私用で会社の備品を使っていたら何かしらのペナルティが課されるんじゃ……。


 リスクが高すぎる。すぐにブラウザバックした。

 ならばWordなどのテキストエディタで作成したファイルを自分のGoogleメールのアドレス宛に送ろうか……ってメールも履歴残るやん!w


 うーん、やっぱり手書きが一番無難だろうか。手元見られたら言い訳できないけどね。


 大人しく業務改善とかに頭を悩ませたほうがいいな、きっと。

 でもいけないことしているみたいで楽しいんだよね、仕事中にそれ以外のこと考えるの。


 まあ、たまには悪巧み、してもいいよね。心に余裕は大事だ。


【余談】

 ポメラを使ってオフライン作業をしてみる案も検討したが、「何それ?」って周囲の関心を引いてしまうのは危険だ。休憩中になら使えるかも。試してみよう。まだ手元にないけどねw


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