第5話 さぁお着替えいたしましょ!

 白いブラウスから見えるほんのりピンクの二つの蕾。それをまずはなんとかしなくてはいけない。そう思って「着替えませんか?」とは言ったものの、それを後悔する僕。


 ぐおー! 僕の家にお姉さんに着替えてもらえるような服はないじゃないかー!


「ねぇこうちゃん、このティーシャツとか、どうかなぁ?」


「だ、ダメだと思いますっ! それだと余計にすけ……。いや、はい。白いティシーシャツはやめましょう。てか、僕、自分で着替えましょうなんて言っといてなんですけど、あの、お姉さんにきてもらえるような洋服を持っていなかったというかですね」


「そお? 私このオーバーサイズのティーシャツとか結構エモいなって思うんだけどぉ?」


「そ、それは絶対ダメです! それあの、首回りがゆるゆるになってる系のティーシャツなんで!」


 そんなもん着たら、少し屈んだだけでおっぱいが丸見えだって!

 あ、そんなこと妄想したら、また……。


 くっ! 友坂幸一郎! もじもじするなっ! これでも立派な成人男性なんだから!


「でもこれがいいなぁ。うん! 楽な格好でいい感じだし、これ借りるねぇ!」


「え?! や、ちょっとお姉さん! あの、そんな……てかっ! 脱ぐなら脱ぐって……すいません、僕後ろ向いておきますね……」


「え? やだ。見ててくれなきゃ寂しいじゃん?」


「え? 寂しいって……」


「だって、バッテリーが切れるまでの仲なんだよ? それに恋愛擬似体験ってことは、こうちゃんの彼女っていう設定になるわけだし? ふふふ。なんならこうちゃんがボタンをはずしてくれる?」


「や……、えっとそんなことは僕にはできないというか……あ、あの? お姉さん? 」


「ボタン外すの手伝ってくれないの?」


「やだって、そんな場所のボタンを外すってことはですね……その、手が胸に……さわっちゃうというか……」


「ふふふ、彼女設定なんだし? さわっても、いいよ?」


 くっ! なんでそんな可愛らしい表情で「さわってもいいよ?」なんて言うんですかっ! 積極的にも程がありますからっ!


「ほらぁ、こうちゃん、一緒にお着替えしよ? ぬがせて……? はやくぅ」


「ややや、そんな無理ですって! むり無理無理無理むり……あ……僕の手をそんな握って見つめられてもですね……」


「ほら、ここだよ? ここからはずすんだよ?」


「あふっ……耳元でささやきはあのちょっと……それに僕の指に指を絡ませてくるなんて……」


「ふふふ。照れちゃってこうちゃん可愛い。ここから、ほら……。こうやって……あ、ひとつ外れたね」


「ひ……とつ外れちゃいましたね……」


「はい、じゃあ、その下もはずしていこっか?」


「や、あの、これ以上下に行くと、その、む……ねが見えてしまうので……僕は無理だななんて……」


「むりじゃないよぉ?」


「あふっ……アァ……僕の指が動いてるんじゃなくて、動かされてるからですよ……ね……?」


「そうぉ? こうちゃんの指も動いている気がするよ?」


「いや、決して僕は……あぁ……二つ目のボタンも外れてしまった……」


「よくできました、ふふふ」


 マジでー? マジでマジでー? お姉さんの白くてぷるんぷるんのお胸があらわになりかけているぅ……。これ以上ボタンをはずしたらはちきれそうなそのお胸が僕の目の前に……?


「はい、もう一個?」


「や……もう……僕は……あふっ……あ! あの、その背伸びしてまで僕に吐息をかけるとかしなくても……?」


「だってぇ、可愛いんだもん。でも、そうね。あそこにいく?」


「え? あそこって?」


「あそこのソファ。うん、そうしよ! はい! こうちゃんがここに座って、私がよいしょっと、ほおら、これなら背伸びしなくてもこうちゃんの耳元で囁けるでしょ?」


「えっと、あの、この体制は……」


 ソファに座った僕の膝にお姉さんが乗ってきたー! 無理だ、目の前にはブラウスのボタンが外れてもうほとんど見えているお姉さんのお胸がぁ……ぁ……


「これなら耳元で囁きやすい。ふふふ。ぺろっ」


「ひゃあっ!」


「その反応が可愛い♡ ほら、じゃあ、こうちゃん、私のシャツを脱がせて?」


 積極的すぎるお姉さんが僕に迫り来る! こんなことなら普通の女の子が良かったと思うのにぃ……僕の身体は正直だぁ……。


「ほうら。はやく♡」


「無理です……」


「ほうら、着替えますか? って言ったのは、こうちゃんだよぉ?」


 あああ、お姉さんの身体が僕にさらに近づいてくるぅ……ほとんど生な状態のふくらみがぁ……僕の胸にむきゅってくっついたぁ……



ふわふわだぁ……



もうダメ……





——プシュー……





「もう終わり? ふふふ、可愛いこうちゃん♡ まだ先は長いのに♡」






 ラブコメ製造BOXから出てきた僕の理想のお姉さんは、積極的すぎて僕の身体が持ちません。誰かこのラブコメ製造BOXのリセットをしてくれませんか?






battery 9330

to be continued……








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る