第3話 肉体的な接触の積極性をお試しあれ♪ 

 ラブコメ製造BOXから出てきた僕の理想通りプラス積極性マックスな知的美人が僕に迫りくる……。まさか、そんな夢のような出来事なのに、恐怖を感じてしまうだなんて! くっ! 僕はどこまで初心うぶなんだ!? ここはラッキー! って大人の階段を踏み外しちゃう覚悟を持ってだな! ああ、でも……そんなことは絶対無理だ……。


 そう言っている間にも、お姉さんは僕ににじり寄ってくる……。


「ほうら、こうちゃん? 私といろいろ恋愛経験値を積んでいきましょ?」


「あの、その……ぼ、僕にはまだそんなのは、あの、はやすぎるというか……」


 獲物を狙うライオンのように、僕にじりじりと迫りくる知的美人なお姉さんから逃げられない。じりじり後ろに下がってるけど、ああ、もう壁際まで来てしまって、これ以上後退りができないって! さらさらと流れる黒髪を耳に掛け直し、ぼ、僕の顔まで後十センチ!? ああ、なんで顔を少し傾けたんですか!? それってそのままきたら軽くない方のキスする傾きじゃないですか!? 見たことしかないけどね! したことなんてないけどね! でも確実にそういう角度に見えてしまうー!


「あの……」


「なあに? ふふふっ。こうちゃんかわいい♡」


 はうっ! お姉さんの吐息が僕の鼻先に……。近すぎて、見てはいけないと思いつつ、どうしても釘漬けになってしまう! お姉さんのそのぷるんとしたピンクのくちびるからの……白くて柔らかそうな胸の谷間と……両サイドに見えるこれまた……ピンクの……ん?!


 ピンクの?! ち! ちくっ……!?


「み! 見えてますからっ! 」


「ん? こうちゃん? 何が見えてるのかなぁ?」


「み! 見えてますって! 」


「だからぁ? なにが見えてるのかな?」


「あの、その、む……胸の先っぽの……突起物が!」


「え……? 胸の先の突起物……? ああ、下着をつけてないんだった。ふふふ」


 え?! 下着をつけてないんだった!? て、裸でやってきたから!? て、そこで微笑むとか、ないわー、ないわー。しかもなんか嬉しそうなのはなんで!?


「あ……」


 ゴクリ。


 うそ……。スカートの下から微かに見える……? いや、これは微かにっていうレベルじゃないっ! お姉さんのお尻が、いやお尻なのかお股なのかの隙間が……向こうの壁際に置いてある鏡で結構チラ見えなんですけどぉ!?!? 見えそうで見えないけれど、見えているその隙間の空間! くぅ! 今まで見たことのない景色を拝めるのに、なぜ僕は目を逸らしてしまうんだー!? てか、お姉さんのその体制が良くないっ! 四つん這いはダメ! 絶対ダメだってぇー!


「まずはここからかな?」


「はふんっ!」


 僕のぉ耳たぶをぉお姉さんがぁ……噛んでるぅー! 全身の力が抜けるぅー…… こんなことってぇー……。


「もっと?」


「あはふんっ……」


「もっともっと?」


「ああ……ふっんっ……僕、ち……力が抜けてしま……う……」


「かわいい♡ もっとしてあげる……ぺろんっ!」


「あぁぁー……」


 僕の意識が僕の中から消えてゆくー……。膨れ上がっていた下半身ももう限界だと言っているー……。





——プシュー……。






「もうはてちゃった? まだ何にもしてないのに。ふふふっ。こうちゃんってかわいいのね♡」






 僕は完全にラブコメ製造BOXの設定をミスったと思った。恋愛初心者すぎる僕に積極的な女性は無理だった……。これじゃあ恋愛経験値を高めるより前に僕の精気が吸い取られてしまう!? 積極的にも程があるー!!!









battery 13573

to be continued……

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