第66話 【閑話】 神の解決

「女神イシュタ、創造神様がお呼びです! 今直ぐ行くように」



不味い、本当に不味いわ..あの後神託を降ろしたが何も解らなかった。


こうなったら直接、当人を呼び出して話を聴こう、そう思っていたのに神託が時期的に行えなかった。


だが、まだ日時はある筈だわ。



「お呼びでしょうか?創造神様..」


「それで調査の方は進んでおるのかの?」


「それが..」


「もう、良い..儂の方で調査をした!」



「私の無罪は証明されたのでしょうか?」



「くだんの件は無罪じゃが、お主..二つもミスをしておるぞ」





一つ、実績があり世界を救った勇者の魂のケアをしなかった。


その為、無能という形で銀嶺の勇者の魂が苦しむ事になった。



二つ、信者に嘘をついた。




「それは..」



「一つ目は兎も角二つ目は重罪じゃな..女神が偽り嘘を広める等..だが今回は。結果的にその嘘が偶然本当だった、しかもその結果セイルは救われた」



「それでは..」



「勘違いするでないわ、それも偶然他の女神が力を貸してくれたから起きた事じゃ」


「それでは、私はどうすれば良いのでしょうか?」


「罰として、そなたの持つ森を今回其方に力を貸した女神に無償譲渡、その代わり誕生した勇者の所有は女神イシュタそちらの勇者とする、邪神側には、転生した勇者の魂にマモンの様なイレギュラーが起きた..それで纏めるしかないの」



「それで宜しいのでしょうか? その力を貸してくれた女神に申し訳ないと思うのですが」



「そのものはもう天界に帰り、もう下界に関わらないで生きるそうじゃ..だからその住処としてお主が森を譲渡すれば丁度良かろう」


「森の対価に勇者..私としては申し訳ない位です」


「これで、この話は終わりじゃ..まぁ黒ではなく灰色ではあるが、仕方無かろう! まぁくだんの勇者は魔族側とも仲が良いので邪神側の怒りも実は納まっておるでの」



「寛大な処置有難うございます」



これは偶然起きた奇跡だった。


セイルが銀嶺の勇者の転生した者だった。


そして虫の勇者になり、上手く「虫」の部分を隠せていた。


戦いのなかマモンと友情に近い物を結ぶようになった。


偶然のうちどれかが欠けていても..話は簡単に終わらなかっただろう。


もし、セイルが魔族に牙をむけていたら、邪神側は絶対に引き下がらなかった。



「これからは、セイルは女神イシュタの勇者じゃ..ちゃんとフォローもするのじゃな..あと、ホーリーという勇者もイシュタ教に入信したからそちらのフォローもするのじゃ..」



「創造神様..神とはいえ、一世代に二人の勇者を持つことは問題があるのでは無いでしょうか」


「あっ...まぁ良い、幸い魔王は誕生していないし、かの勇者達は魔族と仲が良い...儂から話そう」




創造神が間に入った結果、邪神側はあっさり特例を認めた..何故なら魔族に邪神が神託を降ろした結果、セイルは魔族にも人気があった。


そして魔王はセイルが生きている間には復活しない。


だから問題視されなかった。


こうして神々の間の話し合いは終わり..今度は創造神とイシュタの二柱で教皇に神託を降ろした。


これはイシュタがまたポカをやらないか創造神が恐れての事だ。


セイルが勇者の転生でありながら、勇者となったのは「銀嶺の勇者には創造神が特別な加護」を与えた為と説明した。



だが、創造神もイシュタも気が付いていなかった。


教皇は女神絶対主義で、ただでさえ勇者を大切に考えている..


普通は教皇ですら..女神の神託は滅多に貰えない..


それなのに..女神と一緒に、それ以上の存在、創造神が共に神託を降ろしてきた。


こんな事すれば..



「セイル様は、唯一無二の存在、命を捧げるのです..女神ばかりでなく、更なる至高の存在創造神様からの寵愛を受けた方、今現在だけでなく過去も含み、真の至高の存在...全て捧げるのです...いいですね?」



「「「はい」」」


「我らの命も心も体も勇者の者..全てを捧げるのです」




「「「はい」」」



ますます暴走させる事になった。



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