第60話 【閑話】 何も解らないのに


「女神イシュタ、創造神様がお呼びです! 今直ぐ行くように」



可笑しいわ、滅多に女神になんて呼び出しは来ない。


しかも、創造神様、最上位の神じゃない。


そんな方から声が掛る..そんな事は普通は無い。


声が掛るという事は、良い事か悪い事かどちらかだ。


今の自分は、どう考えても手柄も無い、それじゃ何かやらかしたのか? そういう事も無さそうだ。


検討もつかないまま私は創造神様の所に出向いた。


「お前が違反をしていると邪神側から訴えがきておるぞ」


「何の事でしょうか?」


「お前は過去の勇者の魂を転生させて能力を与えたのではないか?」


「その様な事はしていません」


「そうかの? こちらでは既に過去の勇者セイルの魂が今現在存在している事は知っておるぞ!」



何、あれ、確かに似ていると思った。


瓜二つだったから咄嗟に言った嘘だったのに、まさか本当だったの?



「そうですか? 私はその様な者に接触をしておりません」


「それは解っておる、だが可笑しな事に感謝の祈りが届いているそうじゃないか?」


「それは」


「女神たるものが嘘はいかんの!」


「すみませんでした」



「まぁ謝って許される事ではない..だがもっと大きな問題がある」


「何があるのでしょうか?」


「他の神が知っているなか、お主は知らぬのか? 火中の女神が知らぬとはこれも由々しき問題じゃ」


「本当に何か解りません」


「セイルがマモンと互角に戦ったそうじゃ、あの規格外品にな」


「なっ、あのマモンにですか?」


「そうじゃ..そこが一番の問題なのじゃ..あの世界に関わっている神全員から話を聞いたが、今あの世界には勇者は1人、それもかなり能力を押さえたホーリーという者1人しかおらんのじゃ」


「私もそう聞いています..魔王が復活しない限り、私は勇者を誕生させる気はありません」


「だが、実際はどうかの? どう見ても、強力な勇者が存在しておる、しかもそれは過去に勇者だった者の魂を宿しておる..そしてその感謝は全てお前に入っておる、どう説明するんじゃ?」


「それは私にも解りません」


「まぁそうじゃな..だが邪神側の神々は、お前がズルをしたと思っておるよ」


「私は何もしていません」


「それは証明できるのかの? まぁ良い、3か月の期間をやろう、真相を突き止めるのじゃ」


「解りました、ですが出来なかったらどうなるのでしょうか?」


「さぁ、邪神側が納得いく説明が出来なかったら、最悪女神から落とされる可能性もある、そう思った方が良いな」


「解りました、必ずや真相を突き止めます」



とは言った物の創造神様や他の神が知らない事を私一人で調べられる宛などは無かった。




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