第58話 呼び出し
朝起きると王城から呼び出しが掛かった。
「セイル様、ホーリーに帝王様から呼び出しが掛かっております。」
帝王様は短気なのかな?
王国だと、話で聞いた限り呼び出しは「何時こい」という感じで余裕があった。
だが、帝国ではいつも馬車が来る。
「直ぐに支度するから暫くお待ちください」
傍でホーリーが青ざめている。
そりゃそうだ、敵前逃亡したんだ、何だかの罰がある。
そう思っているに違いない。
「大丈夫だよホーリー、僕は帝国の勇者だから王と同じ権限を貰って居るから酷い様にならない様にするから安心して」
「何時も迷惑ばかり掛けて申し訳ございません」
「大丈夫だから、気にしないで」
馬車に揺られて再び王城まで..しかし態々迎えに来てくれなくても、連絡が貰えれば何時でも行くのに。
「それじゃ、ユリア行ってくるね!」
「行ってらっしゃい!」
折角、ユリアの護衛にホーリーが加わったのにこれじゃ台無しだよ。
王城に着くと直ぐに謁見の間に通された。
帝王と同じ扱いで良いという話のせいか同じ段に椅子があった。
帝王が座り、僕が座るとその後ろにホーリーが立った。
「それで、今日はいったいどういった事なのでしょうか?」
「まずは、ホーリー今回の敵前逃亡の事だが、不問に致す」
「宜しいのでしょうか?」
「もう良い、あのマモンじゃ仕方ない、ただ周りが何を言うか解らないから、自分から償いとしてセイル殿の奴隷になった、そういう纏め方でどうだ!」
「それで、纏めてくれるなら有難いな」
「有難うございます」
「良い、ついでにホーリーが今現在フリーになっておるから、帝国の所属,セイル殿の奴隷兼勇者と言う事で準勇者という扱いにする」
「それはどういう扱いなのでしょうか?」
「セイル殿の奴隷だが勇者の権利があるという事だ、つまりはセイルの言う事以外、俺の言う事もきかないで良い..そういう事だ」
「本当に宜しいのでしょうか?」
「まぁそうしないと、イルタの国とゾラン教と揉める可能性がある、最も「破門と支援打ち切り」を世界に発表しているからそうそうは文句も言えぬと思うが」
「その辺はお任せします」
「ああ任してくれ..それで王宮でも一体、地竜を購入する事にした、オークションに参加するから楽しみにしていると良い」
「はい、有難うございます」
しかし、地竜なら簡単に狩れるんだけど、こんな簡単にお金が手に入って良いのだろうか?
「話はこれ迄じゃ、この後時間があるなら一緒に食事でもしないか?」
「いえ、家でユリア、すいません恋人が待っているので遠慮します」
「ほう、帝王である俺の食事より恋人か?」
「はい」
「はははははっ聞きしに勝る愛妻家だな!そう言えばそろそろ屋敷の方の引き渡しも2~3日で出来ると聞いた、俺の方から遊びに行かせて貰う」
「それならお待ちしております」
「成程、そう言えば、冒険者ギルドのマスターが「生活が安定したら結婚したい」と言っていたが誠か?」
「確かにそう言っておりました」
「勇者として国が決まり、大金も掴んだ、そして貴族街に屋敷を構えた...潮時なんじゃないか?」
そうか、確かにそうかも知れないな。
そろそろ、本当に考えて良いのかも知れない。
「確かにそうですね、屋敷に移って落ち着いたら真剣に考えます」
「セイル殿、家族って良いもんだぜ」
「僕には無かったもんです、その辺りも教えてくれませんか?」
「良いぜ、俺でも良いし、ギルマスでも、あれでも家族持ちだ..何でも聞くがいい」
「ギルマスが?」
「ああ、しっかり尻に敷かれているんだ」
そうか、結婚か、これは僕1人で考えないと..
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