第57話 ドラゴンステーキ
狩を始める前に状況を整理しよう。
この間、デーモンホッパーレッドアイの能力を手に入れた。
正直言うとデーモンホッパーレッドアイは恐ろしい虫だと思う。
僕のイメージは「非情な殺戮者」、例えばドラゴンビィが勇者や騎士ならこの虫は、「魔王」なのかも知れない。
農薬や効果的な魔法薬が出来るまで大量発生した場合は人間は殺されるしか無かった。
まずはその脚力を試す、足に集中して跳ねてみた。
嘘だろう! 木々を越えて更に上空まで飛び上がった。
これなら、跳ねるだけで王城すら飛び越えられる。
まるで空を飛んでいるようだ。
よくよく考えればドラゴンビィの能力があるから空だって飛べそうだけど飛べない。
何かスキルを使うコツがあるのかも知れない。
今夜でもホーリーに聞いてみよう。
今の僕の能力は
現在のセイル(メモ書き)
ジョブ 虫の勇者 虫の聖人
ギフト ケインビィの経験 ビィナスホワイトの経験
固有スキル 意思疎通(虫限定)能力コピー(虫限定) 聖剣錬成
スキル ドラゴンビィ イエロースパイダー グリーンアント ギルダーカマキリ アーマードシールドインセクト デーモンホッパーレッドアイ
だ。
さて、僕は何を狩れば良いのかな?
この辺りで一番強いバグベアーは簡単に狩れる。
そう考えたら次は竜種辺り、一番下の亜竜を狩る事を検討するべきかも知れない。
マモンは亜竜どころか龍種すら倒せるのだからチャレンジするべきだ。
ワイバーンか地龍、どちらにするか?
どちらにするか考えて僕は地龍にする事にした。
地龍は固そうだけど、マモンにすら打撃が与えられる僕なら多分倒せる、もし通じなければ逃げれば良い。
ワイバーンは空だからもし勝てない場合は逃げきれないかも知れない。
通常なら3日間掛る場所だが僕なら半日で行ける。
結果から言うと簡単だった。
マモン程の固さは無く引き裂く事は簡単で体は大きいがただそれだけだった。
ギルドの収納袋は優秀で遭遇して倒した6体全部を収納出来た。
結局、今回はデーモンホッパーレッドアイの能力は使っていない。
この能力を実戦で使うのは次回に持ち越しだ。
さて今日はこの位で帰るとするかな。
「お帰りなさいセイル様..今日も倉庫ですか?」
「はい」
ここ暫くは来なかったせいかセシルさんの顔色が良いな。
「さぁどうぞ」
僕はホブゴブリン12体とホブゴブリン4体を出した。
「今日はそれだけですか?」
「いえ、それだけじゃ無いんです」
「えっ」
僕は地龍6体を取り出した。
見た瞬間にセシルさんの顔が凍り付いた。
「地龍ですね..しかも6体..1体でも騎士団が2小隊でやっとなのに6体..それでそれはどの位の期間で狩ったのですか?」
「半日ですね」
「またですか..まぁ勇者ですから..そう勇者ですからね、解りました..地龍はオークションに出すルールがあるので実際の落札額から2割ギルドが貰ってその残りがセイル様への支払いになります」
「解りました、また口座の方にお願い致します」
「はい、またギルマス呼んできます」
「はい、お願いします」
「今度は何だ? またセイルか?」
「私ばかり驚くのは嫌なのでご自分で見て下さい..」
「また何かあったのか?」
「見て下さいね」
「なっなっ地龍じゃないかしかも6体..まぁ勇者が2人なら当たり前か?」
「違います、これはセイル様1人で狩ってきたんですよ?」
「そうかやっぱりセイルは凄いな」
「余り驚きませんね?」
「だってよ..セイルはマモンと互角に戦えるんだぜ! そう考えたら亜竜なんて楽勝だろう」
「そう言われてしまえばそうですね!」
「しかし、亜竜とはいえドラゴンか、ステーキが食べたいな」
「あれは美味しいですよね」
「だったら1体の足を1本解体お願いします..それを三人で分けましょう?」
「良いのか? これ凄く高いんだぞ?」
「本当に私も良いんでしょうか? 私ドラゴンステーキなんて生れて2回しか食べてないんです、しかも2回とも一口だけです」
「はい、美味しいならユリアとホーリーにもご馳走したいですから」
「解りました、それじゃ足1本直ぐに解体しますね」
「あっ、俺がやってやるよ、高級品だからな」
今日の夕飯はドラゴンステーキだ、きっとユリアもホーリーも喜んでくれるよね。
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