第40話 マモン襲来②【ブレーブ砕かれた心】


「しかし、金貨5万枚とは帝王も張り込んだ物だな!」


「相手が、あのマモンですからな..そりゃ張り込むでしょう、だが案外したたかですぞ! 成功報酬制なのですからな」


「まぁ俺たちに掛れば、マモン等、楽勝だ!」


このパーティーは「ブレーブ」という。


アルス国の大昔に召喚された勇者パーティーの末裔である。


勇者の血を引くアーク。


聖女の血を引くマリカ。


賢者の血を引くコルダ―。


の三人パーティーだ。


剣聖と大魔法使いの血を引いた者はもう既に居ない。


何よりも血を重んじるこのパーティーは「勇者パーティーの血をひかない者」を仲間と見なさない。


だが、その過剰なまでの戦闘力は「3人で最強」そう言わしめるほどに評価されている。


その階級はミスリル、その理由はミスリルまでは国が認めたものだがオリハルコンは世界が認めなければならない。


アークは語る。


「魔王が復活すれば叩き殺してやる..そうすればオリハルコンに成れる」


アークは語る。


「英雄と俺たちを呼ぶが、ジョブが無いだけで俺は勇者だ」


マリカもコルダ―も自分達こそが勇者パーティーなのだと疑いはしない。


実際に、それぞれの上級職まで極めた彼らはアルスの国王に国内限定で「勇者」「聖女」「賢者」を名乗る事を許されている。



彼らは、今回の戦いで門の前で待ち構えていた。


先陣を切って戦いを挑み倒す為。



「貴様はマモンだな!」


「この俺を引き留めるとは、何者だ!」


「我こそはアーク、勇者の血を引く者だ」


「同じく、マリカ」


「同じくコルダ―..参る」



アークが走り、マリカが結界の呪文を唱え、コルダ―が極大呪文を唱える。


だが、アモンはそれでも動かない。



「ほう、そう来たか! 懐かしい物だ...面白い受けてやろう!」


マリカが結界を完成した。


この結界は自分達を守る為の物じゃない..コルダ―の極大呪文を閉じ込める物だ。


結界に閉じ込め、そこに極大呪文を放つ..それでも倒しきれない場合はアークの究極の一撃を放つ。


これこそがブレーブの必勝パターンだ。


龍種すらをも葬る必殺技だ。


「完成..行くぞエクスブロージョン!」


極大魔法が完成し、結界に閉じ込められたマモンに襲い掛かる。


マモンは微動だにしない。


「これぞ、勇者の血がなせるわざ、光剣だ!」



仁王立ちのマモンに勇者の持つ技光剣がさく裂した。



大地を砕くような大きな音が鳴り響いた。


だが、そこには無傷のマモンが立っていた。



「この程度か、お前らは勇者では無いな! 彼奴も、彼奴らもこんな威力では無かった..技は似ているが1/10の威力も無いわ!」


「俺は勇者だ!」


「その名前の重みが解らないのか? お前ら如きが名乗って良い名前じゃない...虫けらが死ぬが良い」


マモンはただ、拳でアークを殴ろうとした。


「させませんわ、プロテクション」


聖女が使う防御魔法..その力はオーガロードの一撃も防ぐ。


だが、パリンパリンパリン、ガラスが砕けるように割れた。


そして、そのまま拳はアークに当たり、アークは吹き飛ばされた。


「勇者も偽物なら、聖女も偽物、ハズレだ..手加減はした! お前が聖女が使う、フルヒールが使えるならあの男は助かるだろう..」



マモンが睨むとコルダ―もマリカも動けなくなった。


「「ひっ」」



マモンは力任せに彼らを殴った..他には何もしないただただ殴り続けた。


ただの暴力の前に、鍛え上げた技も魔法も何も通じなかった。


ブレーブのメンバーは命こそ助かったが..最早戦う事は出来なくなった。


戦う事に一番重要な、勇気 、ブレーブを失ってしまったのだから。





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