第33話 ギルダーカマキリ


セイルはカフェを出た後、近くの草原に来ていた。


目当ては「ギルダーカマキリ」虫の力が見ただけで手に入るなら是非とも欲しい。


何故なら、ドラゴンビィに続いて大好きな虫だからだ。


セイルが無能だった頃、もし生まれ変われるならドラゴンビィかギルダーカマキリになりたい。


もしくは彼らの様な生き方をしたい、そう考えていたからだ。


そして、今の自分はその力を手にする事が出来る。


だからこそ、此処に来た。


緑色に擬態する彼らは此処に住んでいる。


草原中を探しまくった。


「虫の勇者」になってから僕は虫に避けられている。


まぁ虫にとって僕は大きな虫に見えて、尚且つ蜂、蜘蛛、蟻が複合されて見える。


確かにキマイラみたいで不気味だ。


寄り付かないのも当たり前だ。


ただ、取り込まれた虫には味方に見えるらしい。


ギルダーカマキリを探すがなかなか見つからない。


暫く探すとようやく見つかったが死にかけていた。


更に良く見れば、小さな鳥に殺され掛かっている。


僕は素早く近づくと鳥を握り殺した。


「ギルダーカマキリ」は既に虫の息だ、ここで僕は「虫の聖人」「ビィナスホワイトの経験」がある事を思い出した。


恐らく、聖女と同じ事が出来ると確信した。


「ヒール...何も起こらない、やり方が違うのだろう」


考えていたら、頭の中にどうしたら癒せるかが浮かんできた。


掌に力を集中して治るように祈る...それだけで見る見るギルダーカマキリは治っていった。


《お前が助けてくれたのか?》


「まぁそんな所だよ」


《そうか、済まないな...だが、お前は蜂と蜘蛛と蟻なのだろう? 蟷螂は入って無さそうだが》


「まだ入っていないだけで、僕は蟷螂も好きなんだ...鎌を振る姿がカッコ良いからね」


《そうか、そうか》



多分、お礼の意味なのだろう? 鎌を振ってくれて、擬態まで見せてくれた。


頭の中で鐘が鳴り響いた..恐らくスキルが身に着いたのだと思う。


「やっぱり、ギルダーカマキリはカッコよいな..良い物を見せて貰いました、これはお礼です」


《助けて貰った上に獲物迄貰って悪いな..あっお前も一部カマキリになったみたいだぞ》


「そうですか..それは凄く嬉しいな」



僕はお礼を言い、草原を後にした。



ギルダーカマキリの能力は何だろうか?


手に集中すると、手が蟷螂の鎌のようになった。


巨大な鎌が出る事を期待したがそうはならなかった。


あの剣は、よく考えて見たら固有スキルに「聖剣錬成」があるから多分そっちの能力だろう。


聖剣を連想するのでなくドラゴンビィの針をイメージしたら、右手が針のようになった。


とりあえず、手をギルダーカマキリの鎌に変えて木を斬りつけてみた。


簡単に木は真っ二つに切断できた。



《これを人に使ったらヤバイだろう...多分真っ二つだ》


そしてまた更に強くなった気がする。




ジョブ 虫の勇者 虫の聖人


ギフト ケインビィの経験 ビィナスホワイトの経験


固有スキル 意思疎通(虫限定)能力コピー(虫限定) 聖剣錬成


スキル ドラゴンビィ イエロースパイダー グリーンアント ギルダーカマキリ



解らなくなるといけないので、スキルについてメモ書きした。



結構遅くなったな..何かお土産を買って帰ろう。


今日はどんな格好でユリアが出迎えてくれるか楽しみだ。


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