第27話 夜の出来事!

家に帰ってきた。


ここからが私の勝負だ。



「今日はセイルがお風呂に先に入って」


「解った」



この後に「背中流してあげるね!」って何度入ろうと思ったか解らない。


だけど、セイルの私のイメージがあるから出来ない。



セイルの私のイメージは「清楚で身持ちの固い女の子」になっているけど、本当の私は違う「セイル限定のビッチな女の子」だ。


セイルって凄く良い臭いがするんだよ! 洗濯の前にセイルの服に包まれてみたり、色々臭いをかいだり思わずしちゃう。


セイルだったら何時押し倒されても良いし、嫌わないで貰えるなら自分から進んでそういう事もしても良い。


嫌わないで貰えるなら「押し倒したい」何時もそう思っている。


だけど、「清楚で身持ちの固い女の子」のイメージが邪魔をする。


「それを崩した時に嫌われるかも知れない」そう思ったら、出来ないよ。


それじゃ、最初からビッチだったら..多分今頃セイルはミランダの物になっていたかも知れない。


ミランダは胸も大きしいお尻も大きい..それなのに痩せている。


セクシー、ビッチ、そこでの勝負なら勝ち目は無かったと思う。


胸が小さく、お尻が小さい、ずん胴女の私は「清楚」で勝負するしか無かったんだ。






村でのあの日が忘れられない。


セイルが私をトーマから取り戻してくれた日は凄く盛り上がった。


なのに..それから進展が無い。


あの時一緒に水浴びまでしたんだから、そのまま習慣化してしまえば良かったのに、その後、躊躇したら元に戻ってしまった。


本当に私は馬鹿だ..



だけど、今日はこれがある。


セイルが自ら買ったこの服がある。


これはセイルが自ら買った物だ..つまり、着てても問題ないし、それ所か運が良ければセイルを悩殺出来るかも知れない。


久しぶりのチャンスだ。



《どれを着ようかな?》


一番破壊力のあるのは、スケスケの生地で下着が丸見えの服+スケスケで穴が空いた下着だ。


だけど、これは卑猥すぎるような気がする。


あくまでこの服を着るのは「本当は恥ずかしいけど、約束だから我慢して着る」そういう女の子だ。


そんな女の子がこの組み合わせを選ぶだろうか?


絶対に選ばないよね。


そう考えると、「パンツが絶対に見えるミニスカートのワンピース」か「胸元が大きく開いて胸が見えてしまうシャツ」のどちらかにスケスケの下着辺りが無難だ。


悩んだ末、私が選んだのは「パンツが絶対に見えるミニスカートのワンピース」とピンクのスケスケのパンツだ。


これなら「恥ずかしながら我慢した」そう見える組み合わせだと思う。



うん、これが良い。



「ユリア、お風呂空いたよ!」


私は他の服をかたずけると今夜の武器を手に持ってお風呂に向った。


何時もより念入りに髪を洗い、体も念入りに隅々まで洗った。



《これで完璧よね》



実際に穿いてみると..凄いわこれ..



「セイル、お待たせ!...って寝ているし」


人がこれだけ悩んだのに、呑気に寝ちゃって、全くもう!


引っ叩いて起こそうかと思ったけど、そうか、そうだよね...


セイルが疲れていない訳がないよね、帝都に来てから冒険者になって、私の為に頑張ってくれたんだ。


疲れてない訳無い。


この部屋に、服、村では食べれない、お菓子に凄く美味しいお肉。


セイルは物には執着しないから..これ全部私の為の物だ。


私の為だけに頑張ってくれたんだ..勇者のセイルが。


お姫様でもなく、聖女でもない、ただの村人でお針子の私の為に..



だったら、こっちに着替えよう..


私は「スケスケの生地で下着が丸見えの服+スケスケで穴が空いた下着」に着替えた。


多分、これがベストな筈だ。


そして、セイルの頭を胸に抱きしめるようにして眠った。



明日..セイルは驚くだろうな、うん楽しみだ。





.......眠れない..


......眠れない..


眠れるわけ無いじゃん! 思わず勢いでやっちゃったけど、スケスケの服を着て胸にセイルの頭押し付けちゃっているし..


そこにセイルの息が..胸にあたるんだよ!..ヤバイって..これ!


こんなんじゃ..不味いよ..鼻血が出てきた..だけど手はセイルの頭の下だし、嘘セイルに抱きしめられちゃったよ、逃げられない..


どうしよう? 凄く幸せだけど、眠れないし不味いよ..


まぁいいや、うん今は凄く幸せなんだから、後の事は後で考えよう...私は欲望のままセイルの頭を抱きしめた。








頭が冷たい..僕は頭に手をやった、手に着いた液体は..


血じゃないか、僕は怪我したのか何があったんだ!


あれっ、ユリア..僕を抱きしめてくれていたんだ。



せっかくセクシーな服着ているのにこれじゃ台無しだな。


僕はベッドから抜け出してタオルを濡らしユリアの顔を拭いてあげた。


しかし、一番凄いのを着てくれるとは思わなかったな..まぁ鼻血だして涎を垂らしてちゃ台無しだけど。


多分、ユリアは気が付いて無いと思うけど、僕の一番好きなユリアはこの間抜けな感じのユリアなんだ。


これは僕だけが見る事が出来るユリアだ..凄く可愛い。


「お休み、ユリア」


僕はユリアにキスをすると腕枕をして抱きしめるようにして寝た。




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