第12話 誠実と信頼で世界中の人と協力する。
今日も空と海、地の果てから聞こえる。彼女の歌が。ILOVE YOU ILOVE YOU……
そこは風が立ち寄る場所。ユーディーと少年の2人は沈みゆく大陸の、切り立った崖の上にいる。眼下には、空と海に分断された世界が見える。天空には滅びた城がある。あそこにお前住んでるのか?とユーディー。いい加減僕の名前覚えてよ!僕はエィンジェルだよ!天使ってまんまかよ!とユーディー。あれは人々の集合無意識、この沈みゆく大陸と同じだよ。神は生きているかわからない愛する妹を探すためと、妹を葬ったであろう人類への復讐のため、海と空、地上を分断したんだ。
ここは天使の夢の世界。頭上に見えるだろう広い風と遠い街並みが。ほとんどの人間は死んで、夢に過ぎないのになぜ君は人間なんだ?ユーディー。
さあ?それを知りたいから、俺は、ビルが雲の上に浮かぶ天空都市群や大災厄によって海に沈んだ都市に行きたいんだ。俺の身体はまるで人間だけど、永久機関から作られているってじっちゃんが言っていた。何か方法を知らないか?俺はずっとどこまでも続く草原を駆け、その向こう、人が住めない、機械だけが戦い、動いている、沈んでいく大陸を旅してきたんだ。
俺はこの剣で世界のカケラを集め、この永久機関の身体で世界を再生させようと思っている。俺はそのために造られたんだと思う。
船が出ていますよ。さあこちらへ。
夢見る天空都市群【テレビジョン・シティ】から散らばった夢のヴィジョンが、海へとユーディー達を案内する。
どうすれば戦争がなくなるかでしたっけ。船が進むたび、海がパネルになって跳ね上がり、天へと帰っていく。
ここは、季節と月日によって、逆さまになる世界です。今日は逆さまの月日のようです。
ユーディー達はいつのまにか空の中で雲を漕いでいる。天空を漂う海の色は血のせいで真っ赤になっている。
おそらく先の大戦の血であろう。海になるほど流れたのです。人間それは愚かな種。今日もギア【歯車】で戦う、愚かな種。
ユーディーさん。あなたが戦闘で使うギア【歯車】は、あの歯車の城のオルゴールから出来ています。それと、その『剣』、今のうちに捨ててしまいなさい。誰にも見つからないどこかに。その剣の【歯車】は災いを呼びます。大災厄を導き、そして終わらせた、英雄の剣です。それは。あなたは、あなたを捨てた、空と海の民に復讐するつもりなのですか?
そんなつもりは今のとこ、全くないな。とユーディー。俺の父ちゃんはじっちゃんだし。エインジエルだって、悪い奴には今のところ見えない。俺はこのギア【歯車】の力で、世界を再生する。
さ。機械仕掛けの城につきました。
機械仕掛けの城の天井は、天使たちが口を開けて待っている。
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